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第3章12話

第3章12話


 第6感持ちの一番嫌な事は、幽霊が見える事だ。それも時折、悪霊が出て来る。

 日本に居た時は見えないふりをして通り過ぎるか、付いて来るのは祓っていた。


 こっちに来て良い事は、見える仲間が多い事だ。1人で怖がったり悩む必要が無いのだ。これは大きな違いだ。

 最後に悪霊らしき物を見たのは、水郷境のヒトモドキみたいになっている奴等だが皆で退治してしまった。

 その後、神様達が大量に移住して来たので水郷境では幽霊すら見ない。


「御屋形様よ、良い祠を作って貰い、お詣りしてくれる人達が増えたのですっかり力も戻って来たぞ」


「神様達の多くが、そう言ってくれているので嬉しいですよ」


「そこで相談なんじゃがな、元居た場所の神も兼任して良いかの? 昔からの信者が時折来てくれるのを見捨てる訳にも行かんのだ」


「俺は構わないですよ」


「呼ばれた時に行くだけじゃ。それと放って置くと神無里になってしまうのでな」


「それは困りますね。神無里になると悪霊が増えると言いますから」


「それなのじゃ、実はもう現れて悪さをしているらしい」


「神様だけで対処出来る?」


「そこなんじゃがな、そこまで力が戻っている訳では無いのでな。里に寄せ付け無いくらいなら出来るが退治がな」


 神様が俺をチラッチラッと見る。


「いいよ。悪霊退治は引き受けるよ」


「そうして貰えると有り難い」


「夜の方が良い?」


「夜でないと出て来んじゃろう。暁九ッに行こう」


 懐中時計で換算すると夜の0時か。


「じゃ夜にね」



 まだ昼だったので、水の里で水美に風呂に入れて貰い2人で昼食を食べながら夜の相談をする。


『ノッペラボウの小料理屋特製の弁当は美味いな』


 水美の最近のお気に入りだ。


『あそこの和食は全部美味しいよね』


 2人でビールを飲みながら弁当を食べていると、悪霊退治が面倒になって来る。


『水神様に悪霊退治の話しはしといた方が良いぞ』


『水郷城は皆で昼食中だから、2時か3時に言いに行くよ』


『そうだな。知世も楽しんでいる最中だからな』


 水郷城の食事も知世さんの身体に良いらしいので、少なくとも昼食は毎日水郷城で食べさせている。


『神様の食事は素材が違うのかな?』


『同じだ。だが城で調理されると神様用になる』


『そうなんだ』


『哲司が食べている弁当も、水の里に保管されて精霊用になっている。身体に良いのだぞ』


『知らなかった』


『まあ、水郷城の料理自体が水神様の恩恵を受けているがな』


 まあ、水郷城の水や空気で浄化されるだろうしね。

 食べ終えて少し昼寝をしてから水神様に会いに行った。



「哲司殿、相変わらず忙しそうだな」


 水神様は空間修復以来お休みモードだ。神様との話しをかいつまんで説明する。


「良い事だ。放って置くと水郷境にも悪影響を与えかねないからな」


「笹美の国の責任範囲なんですけどね」


「奴等に責任遂行能力が無いと言うか、悪化させている側だからな」


「文句を言っていても仕方無いので、今晩神様と行って来ますよ」


「済まんが、宣姫も連れて行ってくれんか


「分かりました。暁九ッに約束ですから、少し前に我が家に来るように伝えておいて下さい」


「世話になるな」


「儂も行くぞ」


「行くぞ」


 一眼姫とピョコリ瓢箪までやる気だ。余程ヒマなのだろう。


「皆で仲良くやってくれ」


 水神様が苦笑いしていた。



 水の里に戻って睡眠を十分に取って夜に備えた。


『心配しなくても、哲司は水系の攻撃は悪霊退治に使えるようになっている』


『前は駄目だったよ』


『私が付いている今は十分な力を持っている』


『知世達が真似しないようにしないと』


『大丈夫だと思うぞ。宣姫も知世も水郷城で恩恵を得ている』


 水美が言うなら間違い無いだろう。


 水郷境の屋敷に帰ると宣姫も来ている。皆で今晩の相談をしながら屋敷の食事をして、俺と知世さん以外は大浴場に行った。


「俺に付き合わなくても良かったのに」


「駄目です!」


 俺と知世さんは3階の風呂でゆっくりした。風呂から上がって知世さんの膝枕で寝ていると、起こされた。


「旦那様、時間です」


 用意をして、全員で神様の祠に行った。


「神様今晩は」


 皆口々に挨拶している。


「これは心強いな。では行くぞ」


 神様の古い祠の前に現れると、眼下の里に悪霊が大量に居た。


「光りを」


 俺が飛び上がって10戸ばかりの里を照らすと全員が飛んで光りを出した。


「光球」


 宣姫が、いきなり光球で攻撃を始めたので、全員光球になってしまった。

 見ていると順調に里の悪霊を退治しているので、俺は里の周りに居た悪霊を水美と一緒に氷球で退治して行った。


『里の中より多いな』


 片端から退治していくと、里の外だけで10体くらいになった。

 里に戻ってみると、神様が家に入り込んで残りが居ないか調べていた。


「いや助かった。これで何とか里を守れるようになった」


 里の者達は今まで余程怖かったのか、家から出て来ない。


「里の者に聞くと、宿場町の方から流れて来ているようだ」


 神様が教えてくれた。


「有り難う、神様。帰りに行ってみるよ」



 神様がもう少し里に居ると言うので、我々は宿場町の方に行く事にした。


「私達が水郷境に行く時に通った宿場町ですよね」


 知世さんが懐かしそうだ。


「最初の宿場町かな」


 夜中の宿場町に全員で飛んだ。


 矢張り宿場町の夜中は悪霊でいっぱいだった。

 全員で明るくする。


降雹こうひょう


 と水美がいきなり雹を降らせる。


「降雹」


 俺も降雹を放ち水美が先に撃ったのを誤魔化した。


「ギャー」


 心地良い悪霊の悲鳴の中、何とか耐えている悪霊を皆が狙い撃つ。


「光球」


 バタバタ倒して行くと、5分くらいで全滅させた。戸が開いた店や宿を皆で点検して終わらせ、宿場町から悪霊は退治された。


「簡単に終わらせ過ぎですよ」


 宣姫がブツブツ言っている。


「終わったのだから帰ろう」


 俺が言うと宣姫さんが連絡している。


「母が全員で1回城に来いって」


 皆で水郷城に顔出しに飛んだ。



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