第2章03話
第2章03話
タマ左右衛門さんと水郷城を出た。歩きながら話をする。
「水郷境の税は?」
「とんでもなく高くなっておりました。3割となっております」
「すぐに適性値に戻して下さい」
「1割で宜しいですね」
「何か問題は起きますか?」
「大丈夫です」
「小作は?」
「5割取っております」
「3割くらいでは駄目ですか?」
「それが適性値と思います」
「なら直ぐに実行して下さい」
「水郷境の財政は?」
「ガタガタです」
「幾らつぎ込めば治ります?」
「ざっと10万金貨くらいでしょうか」
「随分やられましたね。私も一部負担しましょう」
「いいえ、水郷城に100万金貨以上の余剰が有りますので、御屋形様にご迷惑は掛けません」
「分家の黒幕に笹美の国の噂が有ります」
「本当ですか!」
「まだ噂です。ここだけに」
「はい」
「水神様に出来るだけ水郷境に居るように言われました。タマ左右衛門さんには迷惑を掛けますが」
「私も御屋形様は暫くは水郷境に行かない事をお勧めします」
「ではお願いしますね」
知世さんは2階に居た。
「水神様に飛翔を貰ったから、これ知世さんが使って」
飛翔枝を知世さんにあげた。
「私は旦那様と常に一緒ですから要りません」
「いざと言う時用だからね」
結局受け取って貰って知世さんは嬉しそうにしていた。
「飛翔は水神に貰ったのか?」
天狗さんが聞いて来た。
「はい、水郷境と水郷城の間でも飛べる飛翔だそうです」
「流石に最高幹部だな」
「普通は飛べないのですか?」
「世界が違う無理だ」
何か凄い物を貰ったようだ。
「暫く水郷城に居ろとも言われたので、知世さんと食べ歩きです!」
知世さんが万歳ポーズをして、天狗さんが笑っている。
「そうだ! 野良陰陽師の片付けも許可されました。笹美の国の嫌がらせ臭いです」
「それは良いな。見つけたら呼んでやるよ」
「妖力や妖術を用いた道具類を売っている店を知っていたら教えてくれます?」
「昨日の寿司屋の近くだ。2~3軒隣だったかな」
「知世さん見に行こう!」
「はい」
「良いな。俺は嫁と話だ」
天狗さんの表情が暗くなった。
「頑張って下さい」
俺と知世さん一眼姫とピョコリ瓢箪は、貰ったばかりの飛翔で寿司屋の近くに現れた。
2~3軒隣では無く、お寿司屋さんの左側5軒目だった。
店内で台に並べて売っている。
「今、お持ちの数珠の買い取りもしますので声を掛けて下さい」
眼が3個有る男が話しかけて来た。
「有り難う」
「どなたの紹介です?」
「天狗さんです」
なる程といった感じで話し出した。
「数珠も余り増えると邪魔なので、奥様など呪い除けなどは髪留めとかかんざしにしている方も増えてます」
「それは幾らくらいです?」
「この髪留めなどは20金貨ですね。自分で外さない限り取れません。呪い除けの数珠が7金貨で買い取りしてますので。また、この髪留めはもう一つ能力を足せますので妖力増加を足してしまう方法も有ります」
髪留めは金色みたいな金属でフニャフニャ変形する。寝ても邪魔にならない造りらしい。
「なる程」
「一番のお勧めは妖力回復を髪留めに付けると宜しいと思います。妖力回復の時間短縮なのですが相当効果が有ります」
そんなのも有るんだ。
「余計な事ですが、お二方とも既に移動は御自分でお持ちのようですが……」
慌てて《能力》で見ると、知らないうちに生えていた。移動数珠を外しても能力は変わらない。知世さんも同じ事をしている。
「知らなかった」
「透明の数珠と気配消しを別々になってますが、まとめた数珠が15金貨で用意出来ます」
「じゃ、髪留めに《呪い除け》に《妖力回復》
と、《透明》と《気配消し》をまとめた数珠を2つ、妖力回復の数珠を1つお願いします」
「髪留めは25金貨に勉強させて頂きます。数珠は15金貨が2つで30金貨、妖力回復の数珠が10金貨ですね。」
俺と知世さんが、要らなくなった数珠を外して机に置く。
移動数珠が2つ、透明数珠が2つ、気配消しが1つ、呪い除けが1つ。妖力増加は知世さんに持っていて貰う事にした。
「全て7金貨で買い取りさせて頂きます。6本で42金貨です。お買い上げが65金貨ですので、23金貨となります」
俺が23金貨支払っていると職人さんが、知世さんの髪留めに《妖力回復》を足している。
「思ったより安いですね」
「人間社会だと最低3倍以上します。ここだと普通の妖怪は買いませんですし、値段差が有っても水郷城に普通の人間は入れませんですので適正値段で売られてますね」
なる程と思った。
知世さんが《呪い除け》と《妖力回復》の髪留めを付けて、左手に《透明と気配消し》の数珠、右手に《妖力増加》数珠を付けた。
俺も左手に、《透明》と《気配消し》の数珠を付け、右手に妖力回復の数珠を付けた。
「髪留めが嬉しいです!」
知世さんが後ろ向きになって俺に髪留めを見せている。
店主の三つ眼さんに礼を言って店を出た。
「またのご来店をお待ちしております」
後ろから声がした。
「お昼ご飯は何にします?」
「「「お寿司」」」
これでは食べ歩きにならないけど、お寿司屋さんに行った。
「二日連続ですね」
「皆さんが寿司と言いまして」
ピョコリ瓢箪以外はビールで、大トロから始まった。
「御屋形様は昨夜、大活躍でしたね」
「タマタマですよ」
「アナゴを」
知世さんがすっかりアナゴ好きになったようだ。一眼姫とピョコリ瓢箪も手を上げている。
「俺も、しっかりアブってツメ多めで」
全員頷いている。
「妖怪の行方不明が増えているの知ってます?」
「水郷城で?」
「水郷境です」
「また野良陰陽師ですね」
「次にウニを……」
知世さんが会話を無視して頼んでいる。
「俺にもね」
「全員でしょう?」
一つ目店主が言うと、一眼姫とピョコリ瓢箪が頷いた。
また3時くらいまで食べ続けて帰って来た。今日は2銀貨半だった。




