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第7章15話

第7章15話


 2月と言えば俺が水郷境に来た1周年であり、知世さんとの結婚1周年記念だ。


「旦那様と会って1年なんですね」


「あれから1年、早かったよね」


「2人供無一文だったのに様変わりしましたね」


 善姫さんと一眼姫、ピョコリ瓢箪も含め家族全員で屋敷の2階で、お茶とみたらし団子を食べながら話している。


「旦那様と知世さんの開拓地から水郷境までの話しは、何回聞いてもワクワクしますよ」


 善姫さんがニコニコして言った。


「儂も楽しかったぞ。毎日が戦いで飽きる事が無かった」


 一眼姫が嬉しそうに話し、ピョコリ瓢箪は頭を縦に振っている。


「これからも家族5人で仲良くやっていけるように、記念の旅でもしょうか?」


「いいですね。開拓地から水郷境まで徒歩の旅でもしましょうか?」


「松並村って、まだ機能しているのかな?」


「戦争でボロボロの筈ですよ。松木の神様と松木神社は引っ越して来ましたしね」


 知世さんが寂しそうに話していると水神様から呼び出しが入った。


『家族団欒中に申し訳無いが来てくれぬか?』


 家族団欒が分かっているなら後にしてくれれば良いのに。


「何か起きました?」


 水神様の控え室に行くと天狗さんも来ていた。


「また豊饒の神が来ていたのだがな……」


「今更、依能さんを返せとか言って来ました?」


「違うのだ。世間話をしたり意味不明でな、最後に言ったのが《光の神》が10日以上行方不明らしく、行方を知らないかと言って来た」


 ナンか嫌な予感がして来た。


「私は水郷境から出て無いのは多くの神々が知っている筈なのに何故私に聞くと言っても黙っているばかりでな」


「最近、人間にナメられたり馬鹿な神に変な事を聞かれたり大変ですな」


 天狗さんが煽るようにからかっている。


「無任所の神々。特に一神教の神が光の神を誘拐でもしたのでは?」


 俺が適当に言ってみる。


「有り得ると言えば有り得るな」


 天狗さんも尻馬に乗って来た。


「何の為にだ?」


 水神様が不思議そうに聞いて来た。


「例えばムフフな扱いをして神々の評判を落とすとか」


「それは有り得るな!」


「水神様に文句を言って来た奴らも、水神様の評判を落とそうとしているのかも知れないですし……」


「哲司殿、どうしたら良いかの?」


 水神様の弱気が始まった。


「神々の会議を開いて光の神を無任所の神に落とすか神権剥奪すれば良いですよ」


「そう簡単に言うな」


「だって行方不明と言う事は光の神はこの世界の神界に居ない訳でしょう? 皆さん何処に居てもバレバレなんだから」


「それもそうだな」


「なら神々の規定に反してません?」


「それもそうだが、誘拐されたのかも知れないしな」


「神々は自分の意思がないと、異世界には行けないのでは?」


「そう……だな。確かにそうだ!」


「森や山の神様と話しを付けてから、緊急神様会議でも開いて話してみたら?」


「それが良さそうだな!」


 森の神様と山の神様が来そうなので天狗さんと逃げてサピカ村の家に行った。

 依能さん、舞花さん、林弧ちゃん、ブリュネちゃん、が既に来ていてビールを飲んでいた。

 最近は少しでも時間が余るとこっちで休んでいるようだ。


「哲司、少し大事にし過ぎてないか?」


 天狗さんが心配そうに話し出した。


「天狗さん、ヤマコ村の新人女性は《光の神》だと思う。少なくともその可能性が高いですよ」


 皆はまさかと言う顔をしている。


「そうだった場合、先手打って光の神を悪者にしておかないと、こっちが悪者にされますよ」


「なる程な。あの馬鹿女と光の精霊がグルなのに、こっちが悪者にされたらかなわんものな」


「あの女性が光の神なら神々の協定違反は確実ですから、他の神々や精霊に見捨てさせないと、こっちが危うくなります」


 天狗さんが水神様との話しを皆に説明している。


『哲司は悪知恵が働くようになったな。でも良い案だと思うぞ』


 水美が笑っている。


「哲司殿の言う通り、あれが光の神なら全ての悪い証拠はこちら握っている。神々も精霊界に手を出した神の責任を取る気は無いと思うぞ」


 舞花さんも強気で押し通す気らしい。


「あれが光の神だとしたら、他の神も関わっていると思える。木の精霊が一緒だったから《森の神》とか《木の神》とかも考えられる」


 依能さんの言う通りなら神々の大スキャンダルになってしまう。


「大丈夫だ。関わっている神がいたら、奴らを真っ先に切り捨てるだろう。自分の身が危うくなる」


 天狗さんが冷静に判断している。聞いたら水美も同意見だった。


「ナンか可哀想な雰囲気だけど、全く罪悪感を感じませんね」


「林弧の言う通りなのだ。そもそも光の精霊が依能を嵌めた250年以上前から神界が精霊界に手を出していた事になる。依能を嵌めて手に入れた木の精霊はその頃から神界の道具にされていたのは明らかだ。

 神界は関係者をどんどん切り捨てて他の神々の潔白を主張すると思うぞ」


 舞花さんの説明に感心してしまった。


 水神様から連絡が入り、知世さんと善姫さんとヤヤさんを緊急呼び出しした事の事後承認を求めて来た。


「緊急神様会議みたいですね」


 俺は皆に報告する。


「大騒ぎしているのは、ボケた水神様だけだ。他の神々は光の神を切り捨てる事は決定しているだろう。後何人の神が名前を連ねて責任を問われるかの方が楽しみだな」


 舞花さんがとても冷たく言い放った。

 ブリュネちゃんだけがポカンとしていたのが印象的だった。


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