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第7章12話

第7章12話


 妖獣の売り上げを全員で山分けしても、結構な収入になってしまった。皆で明日からも鳥さん狩りに行く事になっている。


「鳥を追えば大オオカミや猪に行き着く。あれは効率が良いな」


 舞花さんまで楽しんでいる。サンリン町は何時もより賑やかな感じがする。


「屋台がやたら増えているような気がする」


 依能さんの言う通りだった。白人族の屋台が増えている。


「トポリ村の人達が2000人くらい来たらしいから、生きるのに必死なんだよ」


 屋台は家族全員でやっている食べ物屋が多い。我々は片端から目に付いた物を買っていった。


「食べ物の種類が増えるのは嬉しいですよね」


 焼き肉と野菜のサンドイッチをかじりながら善姫さんと林弧ちゃんが話している。

 既にヤクザも形成されているらしく白人族3~4人のセットが新しい屋台の近くをウロウロしている。

 ブリュネちゃんが簡易な服で姿を表して屋台で串焼きを買っていると、男達が絡んで来たようだ。

 不味いので助けに入ろうとすると、ブリュネちゃんがウンザリした顔で言った。


「雷」


 雷が派手な音で落ちて4人が倒れている。


「黙って付いて来いと言ってナイフを見せたので……」


 ブリュネちゃんが恐縮していると、今度は20人近くの白人族ヤクザが走って来た。


「この落とし前は付けさせて貰う!」


 ハゲで体格の良いのが怒鳴った途端に善姫さんが唱えた。


「降雹」


 全員を倒してしまった。これだけやれば、善姫さんはまた強くなったんだろうな。それにしても我が家の女性陣は短気で強い。


「御屋形様。続々と集まって来てます」


 林弧ちゃんが耳をピクピクさせている。


「仕方無いよ。全員片付けよう」


「警備兵は何をしているのですかね」


 舞花さんが不思議そうにしている。

 集まって来ているヤクザが、俺が寄付した槍を持っている。


「こいつ等、警備兵から装備を奪っているぞ」


 屋台や道から一般人が逃げたようで、警戒で見ると大通りは真っ赤に見えている。

 全員集まった頃に善姫さんとブリュネちゃんと林弧ちゃんが唱えた。


「「「降雹」」」


 先制攻撃で全滅させたようだ。俺や水美は出る幕が無かった。


「ここは水郷境でも水郷城でも無いんだぜ」


 言うだけ無駄で、林弧ちゃんが舌を出して終わりだった。


『結構持っていたぞ』


 水美はお金と数珠を集めたらしい。


「心配だから町長さんの家に行こう」


 途中で警備隊の詰め所を解放して、町長さんの家に行く。

 善姫さんは町長さんの奥様と仲良しで、何回か遊びに行っているので心配そうだ。


 町長邸に着いて警戒で見ると家の中と庭に50人近くの赤い点が見える。

 突然善姫さんが薙刀を出して消えた。他の女性陣も飛び込んで行った。


「何時からあんなに血気盛んになった?」


 天狗さんが驚いている。

 仕方無いので俺と天狗さんで町長さん家の外を片付けているうちに、町長邸から赤い点が全て消えた。


「旦那様、来て下さい」


 戻って来た善姫さんが俺を町長邸の中に飛翔で連れて行った。

 町長さんが娘さんを抱えて泣いている。奥さんと娘さんは乱暴されてボロボロになっている。


「旦那様。奥様の呼吸が!」


 善姫さんの慌て過ぎだった。じっと観察するとまだ微かに呼吸している。白人族の40歳くらいだけど、とても綺麗な人なので使われまくったらしい。

 酷い事をするものだ。水美に手伝って貰って、治療と再生と浄化でとりあえず治しておいた。


「皆で警戒を使って町中探索。残りを見付け次第片付けてしまって」


 何も言わずに善姫さんを除く女性陣は全員窓から飛んで行った。

 善姫さんは娘さんの治療をしている。奥さん程酷く無いようだ。


「御屋形様。お世話になってしまって……妻は生き返ったのですね」


 町民さんも奥さんが死んでいると思っていたくさい。


「町長さん。奥様の息は戻しておきました。ご家族の事も有りますが、ここはもう一頑張り。残りは家の連中がカタ付けてますから、もう安全です。

 これは町の乗っ取りです。全員死罪。家族全員追放くらいしないと駄目ですよ」


「分かってます」


 恩を仇で返されたのだ。さぞかし悔しいだろうけど

 解放された警備隊長さんが来たので、任せてリブズの所に行った。


「旦那。良く来てくれたよ。大活躍だったようだね」


「何時頃からこうなった?」


「3日くらい前。呆れたもんだよ。町の乗っ取りなんて」


 リブズが皮袋をくれた。


「7万金貨以上入っているよ」


「じゃ次の分」


 数珠を10本と飛翔枝を8本渡すと凄く喜んでいる。飛翔枝が高く売れるらしい。


 いつの間にか全員来ている。


「旦那様。後は町長さんと警備隊長さんに任せて来ました」


「林弧達は敵の本部潰したよ。親分らしいのも生け捕りにした」


「大活躍だったね。美味い晩飯でも食べようか」


 皆、首を縦に振っている。


「リブズ。いつものレストランを今晩7人予約出来る?」


「リブズに任せな」


 予約時間が来るまでサピカ村で風呂に入る事になった。


「2階の風呂は本当に景色が良くなりました」


 善姫さんと風呂でぼーっとしていると疲れが取れる。空気が格段に良くなっているので過ごし易い。


「町長さんは上手くやっているのかな」


「生きている関係者は明日広場で断頭。家族を捕らえて、今晩中に追放と言ってましたよ」


 なかなかの行動力なので感心してしまった。こういう事件、出来るだけ速やかに終わらせないと面倒になる。反対意見が出る前に終わらせるのは基本だ。


 1階に行くと全員でビールを飲んでいた。


「反乱した連中のを集めておいた。皆で分けよう」


「御屋形様、私も集めて有ります」


 林弧ちゃんもニコニコして皮袋を出している。依能さんが7等分してくれた。


「俺まで貰って良いのか?」


「天狗さんだって参加してましたでしょう」


 依能さんに言われて頭を掻いていた。舞花さんは金貨の山を見てニコニコしている。我々の前に姿を現すようになってから精霊らしくなくなって来ている。

 天狗さんも家を買いたいのだが、舞花さんがこの家に部屋まで持っているので困っているようだ。


『舞花は友人が出来て楽しくて仕方無いのだろう』


 こうしてヤマコの里組は水美の料理コレクションでビールを飲みながら暗くなるのを待った。




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