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第7章11話

第7章11話


 大ナマズさんのリクエストに応えて、軽く川の改造をしてニジマスとエビの放流は終わった。


「皆が魚釣りに来るので楽しいぞ」


 大ナマズさんとカッパで見回りをしてくれているようだ。川が民の憩いの場になっている。


「水郷城の堀でも釣りをする人達が増えてますよ」


 依能さんも満足そうにしている。


「大分働いたから、少しマッタリとしようよ」


 林弧ちゃんが万歳ポーズで喜んでいる。皆はサピカ村の別宅で水郷城時間の3日くらい休暇を取る事になった。


「知世さん、我々は善姫さんの母上の探索に行きますけど……」


「私だけ役立たずで済みません。お手伝い出来ないのが悔しくて……」


「体調を良くするのが優先ですよ」


 知世さんが善姫さんに謝っているのを聞いていると可哀想になって来る。2人がとても仲良しなので問題は無いけれど。


 一応水神様に報告してから行く事にした。


「また行くのか? 御苦労だな。哲司は身体に問題は起きないのか?」


「身体にですか? 全く問題無いですけれど」


「やはり哲司殿は迷い人だからかのう。どこにでも適合しているみたいだな」」


 水神様が感心するように俺を見ている。


「水神様、何故私だけ駄目なのでしょう?」


 知世さんが真剣な顔で聞いている。


「水郷城に入れる者は少ないのだ。第6感持ちであり長寿に適合してなくてはならない。何故なら水郷城は常世の一部のような場所なのだ。

 私がここの長であるのはその為だ。知世はなんとか水郷城には適合しつつあるがヤマコの国のような違う世界には、まだまだだな」


「ヤマコの国は他の世界と繋がり易いのですか?」


「そうみたいだな。違う世界の違う神の世界なので良く分からんが、あそこは町ごと村ごと飛ばされて来た者が多いようだし、元々は無人の地だった可能性も高いぞ。

 私の管轄外である事は確かだが」


 そう言えば、白人の人達は村ごと飛ばされて来たと言っていたのを思い出した。


 何時までも話していると時間が無くなるのでサピカ村別宅に飛んだ。1階には舞花さんまで来ている。


「御屋形様、お腹が空いた」


 林弧ちゃんがショボンとしている。サネリちゃんの所に行く事になった。


「御屋形様、良いところに来たよ鳥の丸焼き食べる?」


「「「「「「食べる!」」」」」」


「最近、大きな妖獣と言うか妖鳥が沢山捕れるので丁度焼いていたんですよ」


「大きいの?」


「大きい、大きい。林弧ちゃんでも満足しますよ」


「すぐ出るの?」


「後、ちょっと」


「じゃ出来るまで全員にビーフシチューとエールね」


 ビーフシチューを運んで来るのに、サネリちゃんと一緒に13歳くらいの青色の髪をお下げにした娘が来た。


「トポリ村のレンギちゃん。親戚なんだ」


 サネリちゃんの紹介にペコリと頭を下げている。


「トポリ村ってどこにあるの?」


「街道の向こうの大森林の真ん中あたりだよ。20年くらい前に村ごと飛ばされて来た珍しい村で、城壁ごとこっちに来たんですよ」


「城壁ごと?」


「そうなんですけど城壁の外の畑が来なかったので大騒ぎですよ。最近不作で半分くらいの人達は色々な町や村に引き取って貰って、現在は5000人くらいしか住んでないですね」


「レンギちゃんはサピカ村に住んでいるの?」


「家で引き取って食堂仕事を覚えるんですよ」


「そうなんだ」


「不作の食糧不足で先週トポリ村から500人くらいをサピカ村で引き取ったんですよ」


「500人も?」


「サンリン町は2000人くらい引き取ったらしいですよ。どうしても白人族の多い村が引き受けざるを得ないですし、比較的トポリ村に近いですから」


 相当酷い食糧不足が起きているようだ。

 レンギちゃんがショボンとして話しを聞いている。モロに田舎くさい娘だが1年くらいで相当変わるのだろうな。

 天狗さんが入って来た。


「やっと水郷城から解放された」


 いきなり来たばかりの俺のエールを飲んでいる。


「サネリちゃん、エール」


 笑ってすぐに持って来てくれた。


「天狗さん、良いところに来ましたよ。新型の鳥の丸焼きが来ます」


 善姫さんに言われて期待しているようだ。

 10分くらいでサネリちゃんとレンギちゃんが鳥の丸焼きを運んで来た。予想以上の大きさに皆が驚いている。


「「「「「「「オー」」」」」」」


 豚の丸焼きより大きい。

 運んでいるところで水美が何時もの早業で複製を保存皮袋にしまっていた。依能さんと林弧ちゃんと舞花さんが堂々と複製化してしまっている。

 林弧ちゃんが早速包丁を入れて巨大な足にかぶりついてた。


「御屋形様。これ美味いです!」


 善姫さんが胸肉を削いで俺にくれた。確かに美味い。胸肉なのに脂がのっているし、とても柔らかい。


「すぐおかわり出来るの?」


「焼くのに2時間くらい掛かりますよ」


 残念だが次回にまわすしかなさそうだ。皆でワイワイ話しているうちに全部食べてしまった。

 鳥は大量発生しているらしいので、皆で現物を見に行く事にした。


 サピカ村の近くの森に行くと草原部分で早速茶色の巨大な鳥が走っている。善姫さんが素早く氷弾を撃ち込んで倒してしまった。

 レベルアップを狙っていたブリュネちゃんが悔しがっている。


「ここら辺りに居ると妖獣オオカミや鹿、猪が大量に出て来るので安心しなよ」


「そうですね」


 ブリュネちゃんが笑っていた。


 側に行って見ると2メートル近い大物だった。顔が鳥で、猪に羽が生えているみたいな姿だった。


「これ飛べるんですかね?」


「無理じゃない」


 林弧ちゃんと話していると、また3羽森から走って来た。善姫さんと依能さんとブリュネちゃんが氷弾で倒した。ブリュネちゃんの御機嫌が少し良くなった。

 林弧ちゃんが回収に飛んで行った。


 それから2時間くらいで40羽くらい倒してしまった。


「オオカミや鹿なんかが全く居ないですね」


 舞花さんが不思議そうに話している。


「この鳥さん達が追い回して逃げたんじゃない?」


「御屋形様が正しいような気がします。奥に行ってみましょう」


 皆で林弧ちゃんについて飛びながら森の奥を探索すると、20頭くらいの群れを見つけた。

 全員で氷弾を撃ち込んで降りてみると妖獣の鹿だった。


「乱暴だよ。危ないじゃないか!」


 小物さんが怒っていた。


「済まんかったな」


 俺が謝っていると、善姫さんがオニギリを渡している。小物さんが急に大人しくなった。


「あの大きい鳥は、お前らを食うのか?」


「俺達は大丈夫だけど、オオカミや猪が食べられているぞ」


「あの鳥さん、そんな強いの?」


「強い。3羽くらいで固まって群れに飛び込んで倒す」


 遠くから狩って正解だった。

 色々と聞いてから、もう1個オニギリをあげると森の中に消えて行った。


 サンリン町に妖獣を売りに行く途中で、また鳥さんを14羽倒してしまった。


「もう十分だから飛翔で行こうよ」


 全員でサンリン町に移動した。



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