くノ三十四 イケメン
盗んだ馬車で走り出す
行く先も分からぬまま
暗い夜の帳の中へ
誰にも縛られたく無いと
逃げ込んだ この夜に
自由なれた気がした 18の眩星
読んで頂いている方々、大変ありがとうございます。
へのへのもへじーさん‥スパーダー先生に別れをつげ出立した時、修行前の服を引っ張り出して着たものの、小さくて話しにならず砂トカゲの皮で作った服を着て旅立った。
やはり女の子、みすぼらしさを感じサンドラ国に着いた眩星は、洋服店に直行し、上下黄色の革ジャンとパンツを着込み、それに黄色のブーツを履き腰には黄竜刀を下げ、城へ向かったのだ。
城の入口で、
「止まれ!何用だ!」
「今帰った。眩星だ。」
門番の男二人は、顔を見合わせ笑いだした。
「アハハハハ~バカを言う!姫様は飴色の髪に色白だ!ハハハ」
「信じなければ良い。勝手に通る。」
と告げ、眩星の姿が一瞬ブレたと思った次には消えていた。
門番の男達は、
「今のは‥何だ?‥幻か?」
次に眩星が姿を現したのは謁見の間。
「王は居るか!父上!今戻りました!父上!」
控えの間から出てきた王と王妃、側付き5名が謁見の間に姿を現した。
側付きが、
「誰だ!許可無くそこにいるのは?!」
「今戻りました。眩星です。」
「何をバカが!姫は‥」
「よくぞ帰りました。クレスタ。」
言葉を遮るように、話した王妃ローレル。
それに連られコロナ王が、
「オォーよくぞ無事で、髪の色も替わり逞しくなって何よりだ!」
「父上‥いや‥サンドラ国コロナ王よ!王座を賭けた勝負をお願いします。」
膝を付き、頭を下げた眩星。
その真剣な眼差しに、微笑んだコロナ。
「あい、分かった。ここに居るすべてが証人だ!
剣を持て、我の剣をここへ!」
「では私ローレルが審判を‥準備は?‥では、
始め!」
勝負は一瞬で終った。
神足で駆け抜けた眩星が、コロナの後ろ取り首筋に鞘に収まったままの刀を当て‥‥
「グッ‥参った‥」
「そこまで!止め!」
娘だからと、決して油断は無かったコロナ。
自分との力の差を見せ付けられただけだった‥
「え~取り合えず、私は世界を回りお婿さんを探しに行きます。それまで王はそのままで!以上!」
父コロナは目が点、母ローレルは苦笑い。
母ローレル‥コロナに見初められ王妃になったが‥彼女は800年前、最初の砂漠の民ジムニーの末裔。
オアシスを見つけ、砂竜と盟約を交わしこの地に住む事を許され、守り抜く代償に砂竜サンドラのドラゴン竜気を分け与えられた一族であった。
当のローレルは知るよしも無く、ただ覚醒遺伝により、眩星は竜気を内に秘め生誕し、へのへのもへじーさん‥スパーダーの修行により、竜気を開花させていたのだ。
ドラゴンから竜人に変化した時、体内にあるドラゴンパワーを凝縮し、様々な場面に活用する気力である。
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「彼‥肩に妖精を乗せてる‥それにしても‥イケメンだ‥」
((チャリン~))
「!!?チョッチョット!」
「私の彼氏にチョッカイ出さないで!」
「えっ?えっ?彼氏彼氏!大変大変!リーフの彼女彼女!」
ヤっちゃった‥ついイケメン取られたらと‥
‥失敗だあ‥
生暖かい目で宜しくお願いします。です。




