くノ二十八 成り損ねた
忍者ノート1 忍具 ウソ縄跳び
グリップがあり1メートルの縄跳び2組
手で持ちグルグル縄跳びの要領で回すだけで
回りからはキチッと縄跳びしている様に見える
鞭にもなる
ただの切れた縄跳びヒモ
読んで頂いている方々ありがとうございます。
彼女の家は先祖代々の貴族の家柄。
貴族と言っても貧乏貴族だ。
領地は無くその辺の商人とたいして変わない。
ただ広い農地のお陰で食べるには事欠かなく、家も少しは大きく、地下の物置には古くから骨董品が押し込んであった。
又、父は国王から呼び出しに何時でも応えられる様にと、時間がある時は剣を握り鍛練を繰り返していた。
彼女が6才の時、事件は起きた‥
夜中、兄の叫び声で目を覚ました彼女‥
「兄上‥?」
兄の身に何かあったのか?心配して、兄の部屋へ行ったが誰も居なかった‥
両親の部屋のドアが開いていたので、高鳴る不安な胸を抑え物音をたてずに静に中を覗くと‥
「ザス‥ドス!‥グチャ‥ビチャ!ドス‥」
ベットの上で馬乗りになりながら、両親をメッタ刺しにしている光景を目の当たりにした‥
夜目が慣れ凝視すると、そこには敬愛する兄の姿だった‥
「‥死ね死ね‥人間‥良くも‥騙して‥死ね‥」
「‥ヒィ‥」
叫び声を咄嗟に口を手で塞ぎ、自室へ用心深く戻ると、寝室の窓を開け自分は入口のドア影に身を隠し息を殺した。
程無くして、開かれたドアの前に人影が現れ、
「チッ‥気づかれたか‥」
開いた窓を見て、舌打ちした兄の声が聞こえた‥‥‥その後は良く覚えて無い‥
ただ、ベットの上の刀を持った兄と、肉が切り刻まれる音だけが‥彼女の中に残った。
それからの彼女は変わった‥兄の後ろで隠れ、顔見知りの臆病はいなくなり、
両親を殺した、兄の皮を被った化物を殺す事が、彼女の望み‥生きる目標となった。
知り合いを伝い剣術を習い、体を鍛え抜き死にもの狂いで毎日を過ごした。
更なる高みを目指すには‥自問自答の日々を送っていたセレナ。
そんなある日、竜仙人の話しを耳にした彼女。
人知れぬ山奥の大滝に住む龍仙人。
彼女は、来る日も来る日も大滝を探し回り3年が経った時、見つけた‥幅100メートル高300メートルの滝を。
その滝の脇にある大石の上に、座禅を組み瞑想しいるであろう人物。
彼女は確信し後ろから声をかけた。
「間違い無し!‥もし!貴方様は龍仙人ですか?」
ゆっくり振り返る人物‥
ボサボサの長い髪、白かったであろうネズミ色のロングローブ、脇には重々しい杖が置かれ、
‥体は人‥‥顔は鯉‥
彼女はその姿に一瞬戦きするものの、グッとこらえて、再度
「龍仙人ですか?」
「パクパク、そうじゃよ。ワシが龍になり損ねた龍仙人じゃ。パクパク」
永く生きた鯉は川を上がり、滝を登り龍となる。
そう!紛れも無く鯉の顔したホームレス擬きこそ、滝を登り切る寸前‥落ちてきた流木に叩き付けられ、龍ニナリソコネタ コイノ仙人
略して 龍仙人 その人である。
生暖かい目で宜しくお願いします。




