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異界奇譚☆くノ一  作者: 一心プラン
次の三歩 忍び足
28/45

くノ二十八 成り損ねた

忍者ノート1 忍具 ウソ縄跳び


グリップがあり1メートルの縄跳び2組

手で持ちグルグル縄跳びの要領で回すだけで

回りからはキチッと縄跳びしている様に見える

鞭にもなる

ただの切れた縄跳びヒモ


読んで頂いている方々ありがとうございます。

彼女の家は先祖代々の貴族の家柄。

貴族と言っても貧乏貴族だ。

領地は無くその辺の商人とたいして変わない。

ただ広い農地のお陰で食べるには事欠かなく、家も少しは大きく、地下の物置には古くから骨董品が押し込んであった。

又、父は国王から呼び出しに何時でも応えられる様にと、時間がある時は剣を握り鍛練を繰り返していた。


彼女が6才の時、事件は起きた‥

夜中、兄の叫び声で目を覚ました彼女‥

「兄上‥?」


兄の身に何かあったのか?心配して、兄の部屋へ行ったが誰も居なかった‥


両親の部屋のドアが開いていたので、高鳴る不安な胸を抑え物音をたてずに静に中を覗くと‥


「ザス‥ドス!‥グチャ‥ビチャ!ドス‥」


ベットの上で馬乗りになりながら、両親をメッタ刺しにしている光景を目の当たりにした‥

夜目が慣れ凝視すると、そこには敬愛する兄の姿だった‥

「‥死ね死ね‥人間‥良くも‥騙して‥死ね‥」


「‥ヒィ‥」


叫び声を咄嗟に口を手で塞ぎ、自室へ用心深く戻ると、寝室の窓を開け自分は入口のドア影に身を隠し息を殺した。

程無くして、開かれたドアの前に人影が現れ、 

「チッ‥気づかれたか‥」


開いた窓を見て、舌打ちした兄の声が聞こえた‥‥‥その後は良く覚えて無い‥

ただ、ベットの上の刀を持った兄と、肉が切り刻まれる音だけが‥彼女の中に残った。


それからの彼女は変わった‥兄の後ろで隠れ、顔見知りの臆病はいなくなり、

両親を殺した、兄の皮を被った化物を殺す事が、彼女の望み‥生きる目標となった。


知り合いを伝い剣術を習い、体を鍛え抜き死にもの狂いで毎日を過ごした。


更なる高みを目指すには‥自問自答の日々を送っていたセレナ。


そんなある日、竜仙人の話しを耳にした彼女。


人知れぬ山奥の大滝に住む龍仙人。


彼女は、来る日も来る日も大滝を探し回り3年が経った時、見つけた‥幅100メートル高300メートルの滝を。


その滝の脇にある大石の上に、座禅を組み瞑想しいるであろう人物。

彼女は確信し後ろから声をかけた。


「間違い無し!‥もし!貴方様は龍仙人ですか?」


ゆっくり振り返る人物‥

ボサボサの長い髪、白かったであろうネズミ色のロングローブ、脇には重々しい杖が置かれ、

‥体は人‥‥顔は鯉‥


彼女はその姿に一瞬戦きするものの、グッとこらえて、再度

「龍仙人ですか?」


「パクパク、そうじゃよ。ワシが龍になり損ねた龍仙人じゃ。パクパク」


永く生きた鯉は川を上がり、滝を登り龍となる。


そう!紛れも無く鯉の顔したホームレス擬きこそ、滝を登り切る寸前‥落ちてきた流木に叩き付けられ、龍ニナリソコネタ コイノ仙人

略して 龍仙人 その人である。


生暖かい目で宜しくお願いします。

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