くノ一 山田忍は死んじゃった
読んで頂いている方々ありがとう御座います。
私は、山田忍 45才です。
若い頃はアイドルの中森明菜子に似ている‥なんて事も言われました。
今は貞子に近いかな‥
家は北海道は苫小牧の下町で小さな板金工場を経営していましたが、経営不振により倒産し後に残ったのは、莫大な借金だけでした。そのため、私は少しでも借金の手助けが出来る様にと、高校を中退し札幌に出て働き初め、昼間の事務と夜の居酒屋での接客業で汗水流し毎日を過ごしていた矢先、両親は借金を苦に自殺。
借金返済に回す為、その時は既に生命保険は解約しており、借金はそのまま、現在も引き続き私が返済しいる現状です。
結婚は諦め、老後の蓄えても無く、只ひたすらに働くだけの生活。
そんな私にも一つだけ楽しみがあります。
幼稚園の頃から書き綴ったノート。今では23冊にもなります。
どんなノートかといえば、それは「忍者ノート」。
テレビアニメの[忍者ハットリさん]や[科学忍者団ガッチャイマン]、最近は[忍法丁ナルヘソ]などが大好きで、子供の頃から自分で考えた忍者グッツや新しい忍術などを書いては楽しでいます。
何処に行く時も、リュックに入れ前のアイデアを修正したり新しい忍具を書き足しをしたりするために、肌身離さず持ち歩いておりました。
その日も、夜の仕事の後片付けに手間取ったせいか、帰宅時間が深夜になってしまい、夜遅いと言えど自転車は盗難が多い為、何時も帰りは歩きです。
何時もの交差点に差し掛かった時、私の足元から一匹の猫が車道に飛び出し、右手から猛スピードの車が近づくのに気付いた私は、無意識に走り出して猫に飛び付き、身を呈して守ったのです。一瞬の出来事でした。
腕の中には猫、と勝手に思っていたましたが、薄れ行く意識で見た物は、小さなドラゴンでした。私の命が絶える時、遠くに
「‥ごめんなさい‥お姉ちゃん‥‥‥」
と、微かに声が届き私は終りました。
◇◇◇
「あれ?ここって何処でしょ?雲の上?」
『すまん事をしたの~。』
「貴方様は?」
『古代竜神じゃよ。』
「竜神様‥?」
『儂の眷属が迷惑をかけてしまっての~。』
「あっ!チビちゃんは大丈夫でしたか?」
『おかげで無事じゃよ。』
「良かった‥」
『での、お礼として新しく命を授け様と思っての~お前さんを呼んだんじゃ。』
「お礼ですか?」
『眷属達が多く暮らす、お前さん達の言う所の異世界に転生させようと思っての~。』
「異世界ですか?」
『若い肉体に戻すのじゃが、何か要望はあるかの~。』
「お言葉に甘えて、15才でお願いできますか?」
『分かったぞ。他には何かあるか?』
「甘え次いでに、リュックの中に有った忍者ノートのアイデアを2~3具現化出きれば助かります。」
『おー!あれか。あい分かった。全ての忍者ノートなる物を具現化する腕輪を授け様。』
「助かります。」
『では、歳は15才 忍者の腕輪 ついでに古代竜神の加護をつけ、異世界で第2の青春を楽しむがよい!』
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『ワシの願いを聞いてくれてすまんかったのを~インテグラよ。』
『んん!大した事ないよ御祖父様。』
『沢山の世界を渡り歩いて、あの子がお前の御眼鏡に叶ったんじゃな。』
『うん!自分を顧みない自己犠牲と瞬時の行動力。そして勇気がズバ抜けてたからね。』
『そうか、そうか、此れでワシのやり残した事も‥一安心じゃわい。』
『それに、お姉ちゃんが助けてくれた時、お姉ちゃんの記憶が僕に流れてきたんだよ。とても辛くて悲しい記憶ばかりだったから‥‥可哀想でさ‥‥』
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
◇◇◇
その言葉を最後に又、私の意識が無くなり、次に目が覚めた時は
遠くにドラゴンが飛ぶ別の世界でした。
「あら?服の指定はしなかったけど、丸襟シャツに赤のリボンタイ、それに白のサマーセーター。オマケに緑と黒のチェックスカートって、まんま高校の制服じゃない‥」
本当に15才‥高校生!?
前世では家の為、両親の為にと頑張ったけど、
此からは、この世界で自分のしたい事をやれるんだ‥!
今度は、悔いの無い青春を送ろう‥‥
私って、チョッと天然な処があるから‥心配。
ウダウダ考えてても仕方がないワ!
服のことは後で何とかするとして、これね!☆腕輪☆の使い方よね。
先ずは、
「蒸着!」‥「チェインジ!」‥「へん~しん!」‥?‥「デッビール!」‥?‥「加速装置!」‥?‥!‥!‥?!‥‥
「ハァハァ‥ハァハァ!‥ダメね‥」
声を出しながら色んなポーズをしてみたが、答えはNG!ノーグッド!ここで、「諦めたら負けよ!しのぶ!」
「瞬着!」‥「スイッチON」‥まだまだ!「パイルダーON!」‥‥?
‥‥あれ?
ここで私はようやく気がついたの、 腕輪の上の赤くて丸い部分がスイッチになってるって事にね。
何気に〔カチッ!〕と押したら、上にホログラム画像が浮かびあがり、
《初めての方へ》て表示と音声が聞こえてきて、それを指でクリックしたら、
《最初に指紋登録を行います。右手の指先五本をここえ押し付けて下さい。》
でね、チカチカした5ヶ所に指を当てたら、
《指紋登録は完了しました。》
《次に、声帯 声紋登録を行います。》
《腕輪を顔の前に位置して下さい。》
《次の言葉を、私の後にユックリ 丁寧に発音し復唱して下さい。》
《アメンボ アカイノ アイウエオ》
「あめんぼ あかいの あいうえお」
《イチフジ ニタカ サンドラゴン》
「いちふじ にたか さんどらごん」
《ナ ナグッタナ トウサンニモ ナグラレタコト ナイノニ》
「な なぐったな とうさんにも なぐられたこと ないのに」
《声帯 声紋登録は完了しました。》
《次に、貴方の名前を登録します。2回復唱して下さい。どんな名前でも構いません。又、一度登録した名前は変更できません。》
前の名前に未練は無い。一番最初にノートに書き40年間温め続けた名前を口にした。
「花隠 竜華 ・ はながくれ りゅうか」
《竜華様、ありがとう御座いました。これで全ての登録修了です。》
《次に、カテゴリからお好きな物をクリックして下さい。複数でもOKです。分からない時は、ヘルプをクリックして下さい。又、古代竜神の加護により、この腕輪は不滅の物となっております。
消失 盗難の場合、竜華様が【腕輪よ戻れ】と発音することで、オートリターン機能で手元に戻ります。それで、お疲れ様でした。》
こうして、私 山田忍は、新しい名前 花隠竜華として異世界で生きて行く決意を堅めました。
生暖かい目で宜しくお願いします。