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第四話 星の準則 その2

「あはは、初めまして。私、〈アスタ〉。よろしく!! 私には決まった姿形なんて

ないから、真紀ちゃんの幼い頃の姿借りてるのさ!」

「あ、あんた何者よ!? まさかホントに神様や悪魔とか宇宙人とか言うんじゃ……」

「リーナちゃん、私悲しいっ!! よりによってあなたが、低教育のサルを手なづける

為にサル山の大将達が考えたシステム(宗教)のシンボル(偶像)位しか思いつかない

なんて!!」

「じゃあ、一体なんなのさ、このバケモノがっ!!」

「ば、バケって……(苦笑) わかったわ、リーナちゃん。始めっから順を追って、

判りや~~すく教えてあげるから、よぉ~~く聞きなよっ!!」

 お嬢様の痛いツッコミにとまどいながらアスタさんは少し考えた後、口を開いた。


「あなた達の感覚で言うと、今から二百二十億年以上前までの宇宙ってのは千種類位

の元素が動きのない、とても小さな空間に散らばっていただけなのよ。その元素群が、

ホントに何かのハズミでたまたま、一個の原子がとなりの原子にぶつかり〈動き〉と

〈電子の流れ〉が出きて、それが変化を待ち望んでいた元素に次々とぶつかっていき、

小さな爆発が産まれ、連鎖反応で巨大な爆発に膨れあがり、現在の宇宙が始まったわけ」

 さりげなく宇宙創生の凄いお話を聞かされている気がするんですが。

「その際に電気エネルギーの動きが無くては生きられない有機生命体と、無くても

生きられる無機生命体が産まれたの。有機生命体というのはあなたたち動物のことで、

無機生命体というのは鉱物とか金属っていう、あなた達が日常で〈物〉とか

〈元素〉とか呼ぶ物質のことよ」

「〈物〉に動物のような魂や意志があったの!?」

「そうよ。驚いたでしょ。でも有機生命体は、無機生命体の意志も言葉もわからないし、

生活で利用しているから、生命があるなんて普通思わないよね」

 日本人はツクモ神に慣れているので物に魂が宿るという考え方にはあまり抵抗は

ないけど、それでも物に魂が宿っているとか、物が話すとか言おうものなら、変人扱い

されるよな。

「でも、工場の工作機械や自動車とかパソコンに〈意志〉を感じることがあるでしょ?

あれはね、何万という複雑な物質が集まってるところに、電流を流すと電子の流れが

出きて、無機生命体が一時的に疑似有機生命体に変化するから感じる現象なのよ」

「うーん……、つまり、あんたの正体は、その無機生命体の超高級なヤツなわけ!?」


 リーナお嬢様が睨みつける。

「んー、まあね。正確には私は〈地球〉そのものなのさ。それであなた達が

今話してるのは〈地球〉の意志と話してるってことになるねっ!!」

「うええぇぇ――っ!! ち、地球……!?」

「ヤバそうな奴相手にしてるなとは思ってたけど、私、地球にタメ口

きいてたのかーっ!!」

「地球みたいな大きな心で水に流してあげるから安心して(笑)」

 アスタさん絶妙なボケでんな(笑)。


「それでね、私たちが飛び散って〈星〉になる際に、各星――、無機生命体

同士の間で、簡単な準則(ルール)をとり決めたのよ。パワーバランスも考えず

に、各星が好き勝手にバラバラに発展しちゃうとマズイから最低限のルールを

決めたわけね。ルールがないと暴走するのはあなた達人間と同じよ」

「ルールがあっても無視して暴走する国もたくさんあるけどね」

「太陽みたいな星が発展し暴走し過ぎると、周りの無機生命体や有機生命体

も、全部巻き込んで滅ぼしちゃいますよね」

「そういうこと。それでね、取り決めた準則ってのはこんな感じなのさ」


【星の準則】


第一条

各星の保有する元素は一定量を守り、絶対に外の空間や外の星には出さない。


第二条

各星が保有する有機生命体が持つ力は、星自身を超えてはならない。


第三条

第一条、第二条を守る限り、各星に成る無機生命体は好きな物理法則を決めて、

自由な姿をとることができる。


第四条

第一条、第二条を破りし〈異常〉に対しては、散らばりし全星は協力して、

その消滅にあたること。


「これって……、じゃあNASAの宇宙開発は……!?」

「言語道断!! 私の目が黒いうちは、絶対そんなふざけたマネさせないっ!!

ロケットの発進トラブルや宇宙病eteでいろいろ妨害してやってるのに、

いい加減気づいてやめなさいよね!!」 


 うわ~~、アスタさんと宇宙開発関係者の相性は最悪だ。


「月にロケット撃ち込まれた時はホント焦ったんだから。月は私の身体の一部

だから、まだいいけど、あの後、基地なんか作られて、他の星にでも行かれた

日にはシャレにならないっーの!!」

人類の宇宙開発事業には腑が煮えくりかえっているらしい。

「ただでも火星や金星とかに〈趣味悪いよなー地球。準則無視するような

有機生命体なんか蔓延はびこらせてよぉ、俺たちみたいに準則行使して

さっさと始末しろ。すっきりするぜ!!〉とか言われて笑われてるんだから!!」

「趣味で生かされてた僕たちって一体……」

「怒りで興奮して忘れてるみたいだから、今、地球から打ち上げてる

民間ロケットや火星や土星飛んでる宇宙探査機のこと言うの黙ってようね

ハルロー」

 小声で耳打ちするお嬢様。

「とまあ、私の正体と星の準則については話したから、次は私とあなた達

人間との関係について話すね」

どんな爆弾発言が飛び出すのか、聞いてる僕らは、おっかなビックリだ。

「昔から、あんた達人間って、こちらの意志を伝えずにほっとくと、

どんどん好き勝手に馬鹿なコトするでしょ?」


 いや、そもそも意志どころかアスタさんの存在自体、みんな知らないって。 


「やっと人間達も話し合いできる知恵がついてきたかなと思って、千年くらい

前から真紀ちゃんみたいな優秀な娘達を探してきて、この星の代表的な支配者

のところへ度々、私の意思伝達のために使いに出したのよ」

「へえ、十六夜さんの前任者さんか。どんな人たちなんです?」

 興味本意で聞いてみた。

「キリスちゃんとかモーゼちゃんとかクレオちゃんとかヒミコちゃんとか

いっぱいよ。その娘たちを通じて、〈あんた達を私の奴隷にしようって

言うんじゃないの。ただ星の準則を守りなさい、私が何か警告したときは

素直に従いなさい。少しはあんた達も利口になりなさい。〉ってことを当時の

人間のオツムのレベルに合わせて判りやーすく説いてあげたのさ。あんた達

すぐ忘れるし、子孫に伝達するのもヘタクソだから石版とか何かに書きとめろ

とか、絵にしろとか親切に教えてあげたりもしたんよ」

 お嬢様共々、唖然呆然だ。教科書で習ってきた歴史上の偉人達が、実は女性

だったってのもビックリどころだが、アスタさんが全人類の先生だったという

のも衝撃的だ。

「それなのに支配者連中、全然私のこと信じないし、色々反抗されて、あげくの

はてには使いの娘まで何人か迫害されたり殺されたりしちゃったんだ」

「昔は自分の思い通りにならない人間がいると、すぐに惨殺する自制の効かない

独裁者が多かったですからね」

「そうなのよ。それでさすがに私もアッタマきちゃったから、支配者連中が夜

寝てるときに、思いっきりヒドい悪夢ねじ込んでやって、とどめにハリケーンや

火山噴火、地震とか異常気象おこして脅してやったんだ」

 神様や悪魔にバチを当てられても実感は沸かないが、アスタさんは実在する本人が

直接手を下して、バチを当てるから、その恐怖は計り知れないだろうと苦笑する。

「そしたら政治親父・武器親父・石油親父・車親父・コンピュータ親父・食料親父・

薬親父・デザイン親父……、津波のように押し寄せてきて私の前んトコに金ピカの

祭壇部屋作って、貢ぎ物を何百年、何千年と山の様に積み上げて、あの有様さ!!」

「怖っ!!」 

 あの部屋はそういうワケか……!!

「無機生命体に〈物〉を貢いで喜ぶとでも思ってるのかなー?! でも、ああいう

オツムの足りないトコがカワイイんだよね、人間って」

 アスタさんが次々と明かしていく歴史の裏の真実(笑)に唖然とする僕たち。

世界中の学者やマスコミ達が聞いたら狂喜乱舞して喜ぶだろうな。

「さすが神様や悪魔より年季入ってるわね。そりゃあ、ヘタな神だのみするより、

あんたの方が御利益ありそうだもん。私も今年から大須観音にお賽銭投げるの

やめてあんたに投げることにするよ」 

「へんな見直され方ね、まぁいいけど。それでこれからが本題。リーナちゃんに

わざわざこんなトコまで来てもらった理由はね……」

「理由は!?」

「あなたに地球の指揮者になってもらって、この星の物理法則とか、いろいろ

たくさん舵取りしていってもらいたいのよ」

「ええ――――っ!!」

 思わずお嬢様とハモってしまった。


第四話 星の準則 その2 完


第五話 星の準則 その3 につつく

さあ、いよいよ物語も佳境になってきました。

ここから超展開(笑) になっていきますのでお楽しみに!

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