ねこみみみこの九姉妹
遠い未来。人類は「因果力」を手に入れ、超能力の様な大きな力を振るえるようになった。
しかしその代償か、原因不明の不妊症と遺伝子異常を持った子供の出生に地球上の全人類が冒された。この現象は生まれつき因果力を持たない地球外生まれの「圏外人類」には見られなかったことから「地球病」と呼ばれた。
一方で人類から枝分かれし、獣の特性を備えた亜人種がいまや地球上では栄えている。この亜人種は、地球病対策として他の動物の遺伝子を組み込んで生殖能力を維持した、人類の後継種だった。その後数百年が経ち、人口において地球の主の座は亜人種に取って代わられた。
「首都」の大学を十五歳で卒業したトウヤは「北奥」と呼ばれる北の果ての小さな分校のたった一人の教師となる。それは特殊な因果力「未来視」を持つが故に病室に隔離されている妹サクヤを助けるためには「北奥の地で『鍵』を見つける」必要がある、という予言に従っての事だった。
分校のあるワッカの里は、猫族(びょうぞく)が多く住み、彼らの信仰の対象となっているお社がある地だった。お社には昨年分校を卒業したイチコから、今年入学したばかりのコココまで猫族の九姉妹がいる。そのうち分校の生徒は十七歳の次女、ニコから、十五歳のミケコ、十四歳のショコ、十三歳のイツコ、十二歳のリッコ、八歳のナナコとハチコ、六歳のコココの八名。
トウヤは大学出の上、因果力の扱いも免許皆伝のエリートだが、教師としても一人の若者としてもまだ経験不足。生徒の姉妹達とのふれあいの中で、田舎の学校にありがちな事件を通して人間としても成長していく。
一方で妹サクヤの予言にあった「鍵」の探索も進められる。里帰りしてきたイチコから古龍、という存在を知らされたトウヤは古龍レタラと言葉を交わすことに成功する。因果力と龍脈の関係に気がついたトウヤは、お社が龍脈を奉る事から、龍脈の神薙でもあるミケコの協力を得て因果力と龍脈の真の姿に迫りつつあった。
まさにその時、邪龍ウェンカがレタラを付け狙う事件が起きた。トウヤたちも加勢して邪龍は滅ぼしたものの、龍穴を守るレタラは転生し力の無い幼生になってしまう。
ワッカの里の厳しい冬を乗り越え、トウヤとミケコはサクヤを迎えにいく。それは人間の姿をした龍穴ともいうべきサクヤの体質を鎮める第一歩となった。
二十六編の連作短編で紡ぐ少し不思議なSFファンタジー。
しかしその代償か、原因不明の不妊症と遺伝子異常を持った子供の出生に地球上の全人類が冒された。この現象は生まれつき因果力を持たない地球外生まれの「圏外人類」には見られなかったことから「地球病」と呼ばれた。
一方で人類から枝分かれし、獣の特性を備えた亜人種がいまや地球上では栄えている。この亜人種は、地球病対策として他の動物の遺伝子を組み込んで生殖能力を維持した、人類の後継種だった。その後数百年が経ち、人口において地球の主の座は亜人種に取って代わられた。
「首都」の大学を十五歳で卒業したトウヤは「北奥」と呼ばれる北の果ての小さな分校のたった一人の教師となる。それは特殊な因果力「未来視」を持つが故に病室に隔離されている妹サクヤを助けるためには「北奥の地で『鍵』を見つける」必要がある、という予言に従っての事だった。
分校のあるワッカの里は、猫族(びょうぞく)が多く住み、彼らの信仰の対象となっているお社がある地だった。お社には昨年分校を卒業したイチコから、今年入学したばかりのコココまで猫族の九姉妹がいる。そのうち分校の生徒は十七歳の次女、ニコから、十五歳のミケコ、十四歳のショコ、十三歳のイツコ、十二歳のリッコ、八歳のナナコとハチコ、六歳のコココの八名。
トウヤは大学出の上、因果力の扱いも免許皆伝のエリートだが、教師としても一人の若者としてもまだ経験不足。生徒の姉妹達とのふれあいの中で、田舎の学校にありがちな事件を通して人間としても成長していく。
一方で妹サクヤの予言にあった「鍵」の探索も進められる。里帰りしてきたイチコから古龍、という存在を知らされたトウヤは古龍レタラと言葉を交わすことに成功する。因果力と龍脈の関係に気がついたトウヤは、お社が龍脈を奉る事から、龍脈の神薙でもあるミケコの協力を得て因果力と龍脈の真の姿に迫りつつあった。
まさにその時、邪龍ウェンカがレタラを付け狙う事件が起きた。トウヤたちも加勢して邪龍は滅ぼしたものの、龍穴を守るレタラは転生し力の無い幼生になってしまう。
ワッカの里の厳しい冬を乗り越え、トウヤとミケコはサクヤを迎えにいく。それは人間の姿をした龍穴ともいうべきサクヤの体質を鎮める第一歩となった。
二十六編の連作短編で紡ぐ少し不思議なSFファンタジー。