魔法使いの青年
ずっと頭の中にあった空想を、形にしてみました。
魔法は昔からあった。それこそ人間が、自分たちの歴史を記録し始めるずっと前から。
今の人々が魔法を見る目を失くしてしまっただけ。あるいは見えないふりをしているだけ。
その世界は、いつだってすぐ隣にある。
パキリ、と小枝を踏む音。小鳥が木々の枝を揺らす。森の中は余計な音がしなくて良い。人の話し声も、生活音もしない。
ダリウスは珍しく高揚した気分で森を歩いていた。顔はいつもの通りの仏頂面だったが、歩幅は自然と大きくなっていた。
「あとは…」歩きながら、今日採取するリストに目をやる。花の花弁を何種類か手に入れれば、終了だ。この地域に多く自生する花を採るために、わざわざ足を運んでよかった。インドア派のダリウスにとって外出は億劫なものだが、今日は悪くなかったようだ。
「ん、なんだ?」ふと何かに気づいて足を止める。感じた何かは魔力のようだ。
強く、濃い魔力。生き物か?それとも魔法使いか?
魔力を感じる方角に向かって道を逸れる、まるで引き寄せられるように走り出していた。
背の高い木々の間を抜けると、煉瓦造りの建物が現れた。教会だろうか。魔力は確かに感じるが、生き物から発した物で、この建物からではなかった。
めったに走らないからか息が切れてしまった。ここまで呼ばれたからには絶対に見つけてやる、そう心に決めて建物の周りを歩き出した。建物の裏にさしかかった時、裏口から人が現れた。
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