第65話 復讐者
「オレガ……ツミブカイ……カ?」
「はい……とても。」
「オレヲウラムカ?」
「とんでもない。現状、私とあなたはお互いやりたいようにやり、お互いがお互いの支障にはなっていません。」
「ソレモ……ソウダナ。」
そう答えると間もなく、近くにあった人の気配が消えた。
本当に奴が何者なのかは彼も知らず、たまたま目に入ったから利用した。
ただそれだけの関係でしかない。
「シュコー……。」
「何事も……なかった、とは言えませんが。雑魚だけのようですな。」
「誰か他に来たかしら?」
「イイヤ……、ココニイルコノザコドモダケダ……。」
×××
コロシアム……クロエン内に最近出来たもので、プレイヤー同士の殺し合いができる所だそうだ。
参加方法は簡単。
一人目が登録をし、後はもう1人をプレイヤー名か偽名で指名するだけだ。
後は指名された側がその対戦を受けるかどうか。
なぜ俺がこんな所にいるかと言うと他でもない。
さっきの1期プレイヤーと殺人形が対戦をするらしい。
掲示板には『殺人形VSウルトル』と記載されていた。
「あの、ウルトルってプレイヤー名ですか?」
「違うわよ!あれが彼の偽名だわ!」
「ウルトル……確か復讐者って意味だよな。どういう事だろう。」
これはよくある、殺人形は俺の復讐するべき相手だ!みたいな展開なのか?
そんなテンプレートな展開ない……よな?
「驚きましたよ。まさかあなたからお誘い受けるとは。」
「ソウカ……?オマエナラヨソウ……デキタダロウ?オマエヲサイゴニ……オレハオレヲ……ヨリセイトウナ……モノニスル。」
「ふふふ……。やはりあなたは罪深い……。」
お互い仮面を被ってるせいで表情がわからない。
今2人は見合ってどんな表情をしているのか。
その黒い仮面の下に……そのピエロの様な仮面の下にどんな顔を浮かべているのだろうか。
最初に動き出したのは殺人形だった。
両手に持つナイフでウルトルを何度も何度も斬りつける。
それに対してウルトルは全く抵抗をしない。
「おやおや?まさか死んで全ての罪をなかった事にしよう、なんて魂胆ですかね?」
「シュコー……シュコー……。」
「ならばこちらもじわじわと痛ぶってあげましょう。」
何故だ。
何故彼は抵抗しない、反撃しないんだ。
このままじゃ本当に殺されるだけだぞ。
1期の男性もかなり険しい顔をしている。
「どうしたのかしら。彼の固有才能がわからないから作戦なのかもわからないわ。」
会場がザワつき始める。
コロシアムはつい最近出来たものでこの2人の対戦が初にもなる。
そんな初戦がこれでは観ている側も不安になる。
中には「ちゃんとやれ!」「何してんだ!」と野次を飛ばす者もいるくらい、会場が荒れ始めていた。
「はぁ……全く、あなたにもガッカリですね……。」
パチンっと指を鳴らすとマジックショーなどで見る箱が現れた。
「あれは確かつい最近実装された新しいスキルだったはずよね。」
「えぇ、何でも殺しに使うマジック道具を作り出すスキルだそうです。」
「てか、ウルトルさんあの箱の中じゃないですか!」
「串刺し……かしらね。」
「さぁて!それでは皆さんにはこれから殺人形こと、私が行う殺人ショーをお楽しみもらいましょう!」
箱を開かないように鎖で固定する。
脱出不可能……。
なんで彼は何もせずに死ぬなんて方法を選んでいるんだ。
1期プレイヤーで今まで生き残ってきたのに……こんな終わり方って。
そういえば、最初に何か話してたような。
まさか、イカサマ……っ!?
「IT'S SHOWTIME!!!」
完全に箱に突き刺さるナイフ。
だが、何かに恐怖をするかのように殺人形が尻餅をつく。
急にどうしたんだ。
いたぶったのもトドメを刺したのもあいつな……っ!?
すぐにレンや他の面々も違和感に気付く。
────箱から全く血が流れ出さないのだ。




