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第6話 荒れ果てた地と脅威

「シーナ!!!!!」

「……ふぅ。間一髪って感じだったー。」

俺がそう言って全身から力抜くと、近くのロッカーが開く。

「あの、レンくん大丈夫でした?」

「ああ。助かったよ、シーナ。」

俺はシーナと自分のレベルを確認したが、レベルは1のままだった。

あいつは死んでないって事か。

俺はナイフを回収し、シーナに声をかける。

「とりあえず、ここを離れよう。あいつがいつまた来るかわからないし。」

「そうですね。あの人、かなり危なそうですもんね。」

俺らはその場を離れる。


×××


僕は建物の影が工事中だったのか、そこに溜まった砂山に落ちていた。

そのおかげで体は痛むものの、怪我はしてない。

僕は……本当にツいてるな……。

彼は……僕の求めた通りの人間だったよ。

「嗚呼……。なんて君は……」

僕の理想で希望で……美しい。

「なんて君は素晴らしいんだ!!あははははっ!!!」


×××


「それにしてもびっくりしましたよ。いきなり頭の中にレンくんの声が聞こえるもんだから。」

「そうだよな、シーナはまだ協力とかによるシステムも理解出来てないんだもんな。」

そう、今回のゲームで俺があいつに勝てたのは他でもない。

協力関係によるテレパシーを使ったからだ。

「本当ですよ。(もしかして、レンくんの事意識しちゃってるのかも、って焦ったじゃないですか。)」

作戦は簡単なものだった、シーナを近くのビルへと移動させ、俺がそこへと移動する。

シーナの存在を知らないあいつが俺に勝ちに来たところを、シーナのワープで建物の外へ放り出す作戦だ。

この建物が4階な事から、あいつの危険性を考えるとここで殺せてしまえばと思ったが生きてるようだ。

というか4階から落ちてどうやって生きてるんだ。

けど、少しホッとしてる自分がいるのも事実だ。

俺もまだまだ甘いのかもな。

「それで、レンくん。なんで引き返してるんですか?」

「俺らはここで食料や武器を調達しようとしてたわけだ。武器はナイフが手に入ったが、食料がまだだろ?」

そう言うと彼女は理解したようで俺の言葉を遮る。

「でも、ここにはあの人がいるから戻るんですね!」

「そうだ、荒れ果てた地形も存在する以上、確実なのは元いた場所だからな。」


それから俺らは会話を続けて、元いた綺麗な街へと戻る。

誰かが来た形跡はなし。

建物に入ると、水や食料はたくさんあった。

最低限なものではなく、コーラや紅茶。

お酒やスナックなども大量に、だ。

殺し合いの場とはいえ、あくまで快適に暮らせって事なのか……?

「レンくん、レンくん。ここ家みたいです。ほら、寝室もあるし、お風呂やトイレもあります。」

ここは生活ができる空間なのか。

外見はほかの建物と変わらず、ガスなどを使っても周りにわからないように加工されてるようだ。

まぁ、中に入られたらアウトなんだけどな。

それでもここを生活の拠点にするのはありかもしれないな。

「じゃあ、ある程度休憩したら少し散策に出ようか。」

「え?なんでですか?もしかして、誰か殺すんですか。」

まだ殺人なんか起きてほしくない、そう思ってるんだもんな。

これを言うのは酷な気もするが。

「ああ。そうだ。レベル1のままじゃどっちにしろ、俺らが殺られるのは時間の問題だ。」

「そう……ですよ、ね。」

俺らはここを生き残れればいいんじゃない。

この世界を生き抜くんだ。

その為には無駄な甘さは出来るだけ捨てなきゃならない。

じゃなきゃ、自分が死ぬからだ。

「怖い、よな。俺だって誰かを殺すのは怖い。女子高生の君にこんな事……。」

俺らは確かにデスゲームを求めていた。

が、いざ合法的に人を殺せるとなってもそれは怖いものだ。

ここはリアル、生きた人間……血のかよった人間を自分の手で殺さなきゃならないのだから。

「怖い……です。けど、レンくんがいれば大丈夫、そんな気がします。」

なんかこれすごい恥ずかしくないか?

「いや、そんな信頼されても……ほら?俺らまだ出会ったばかりだし────」

「そんな事ないです。多分私、レンくんと出会ってなかったら今頃殺されちゃってたと思います。さっきの時もレンくん凄かったです。」

そんな風に思ってくれてたのか……、めっちゃいい子じゃん。

こんな子に対して俺はさっき、大きい……とか思ってたのか。

何を考えてんだ俺は、罰が当たるぞ。

「あ、その。ちょっと着替えてきますね!」

「あ、うん。わかった、待ってるよ。」


シーナの着替えが終わり、最低限の荷物だけを持ち、俺らは歩き出す。

「そういえば、あれから落ち着いてますよね。殺し合い。」

「そうだな。いわば今は膠着(コウチャク)状態なんだよ、どのプレイヤーも下手には動けない。1人を除いてね。」

そう1人を除いて、だ。

「1人だけ?なんでですか。」

「その1人ってのは最初の殺人をしたプレイヤーだ、俺らと違いレベルが上がってる。ステータス的に優位なんだよ。」

だからこそ、俺らも迂闊に動くわけにはいかないが。

それは間違いなんだ、逆に言えば全体が膠着してるうちに地形をある程度把握しておくべきなんだ。

更に取れる所で取ってレベルも上げる。

そうしないと最終的に出遅れて殺られる側になってしまうからだ。

「そうですね。……あ、レンくん。あれ。」

「町……か。」

これが説明書の言ってた荒れ果てた地、か。

確かに酷い。

建物の殆どが倒壊し、倒壊はしてなくともヒビが入っていたり、窓が割れていたり、傾いていたり、と状態はかなり悪い。

「あ、誰か出てきましたよ。おーぃ────」

「しっ。」

様子がおかしい、あの町の中から走って2人の人間が、多分あれは何かに追いかけられて────。

その瞬間、2人は真っ二つになった。

『プレイヤーが減りました。』

『プレイヤーが減りました。』

そこには黒い鎧を纏った何かが立っていた。

それが何かはわからない。

プレイヤー?だが明らかに動きが違った。

いや、正確にはステータスだ。

目にも見えないスピード、そして同等なはずのステータスであるプレイヤーを2人同時に切断するパワー。

「(どう考えてもあいつはやばい。隠れるよ。)」

「(は、はい。)」

幸い、あいつは俺らには気付いてない様子だ。

と、とりあえず相手のレベルだけでも測ってみるか。

「(……は?おい、そんなわけ……)」

「(どうしました?レンくん。)」


レベルunknown


俺の画面には奴のレベルがそう表示された。

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