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第5話 狂った男に終止符を

「いやぁ、本当に僕はツいてるな、と思ってさ。」

多分、俺にとってこいつとの出会いがプロローグ終了だったのだろう。

これからこいつが始めるゲームはそれ程までに狂っている。


と話を進める前に少し余談をさせてもらいたい。

俺らはさっきまでなにかに誘われるように歩いていた。

だが、ここに着いた瞬間その感覚が抜けたのだ。

来る途中、彼女と話していたのだがどうやらその誘われるような感覚は俺だけが感じてるようで。

ちなみに彼女と話してる中で名前がないとお互い話しにくいとなり、俺らにはそれぞれの呼名ができた。

彼女はシーナ。

そして、俺はレン。

そして、シーナなんだが今はどこかの建物で用を足している。

その間に周辺を見ていたらこいつに襲われたってわけだ。


「で、お前。何のつもりだ、いきなりナイフって。」

「僕は君と仲良くしたいだけだよ。」

ははっ……いきなりナイフ振り下ろしてきといて仲良くしたいって……。

「お前はようするにヤンデレ系でそれもあっち系なの?俺はどっちもあんまり受け付けないんだが。」

「そうなのかい?僕はこんなにも君を求めているのに。」

冗談のつもりだったんだが、まじか。

「そんな顔色悪くしないでよ。冗談、だからさ。まあ、求めてるのは事実だけどさ。」

意味がわからない。

そもそもこいつはなんだ、プレイヤーなんだろうが"才能"はなんだ。

何も情報がない、現状近付くのすら危ういだろう。

「出来れば俺はあんたとは関わりたくないな……。」

「うーん、ちょっとだけ付き合ってもらわないと困るよ。」

ちょっとだけって……そのちょっとで俺を殺す気なんじゃないのか、こいつ。

「ちょっとしたゲームをしてほしいんだ。ルールは僕からこのナイフを奪ったら君の勝ち。逆に首元に3回、僕のナイフを当てられたら君の負け。勝った方が負けた方に好きな命令を出来る。どう?やってみないかい?」

「やらない。お前の才能もわからないんだ。それをやるのは愚策すぎる。」

確かにゲーム自体は凄く俺に有利に出来ている。

そもそも奴は俺の首元にナイフを当てなきゃいけないが、それを俺が避け続ければあいつはまず勝てないのだ。

だが、やつの"才能"次第ではこの関係性すら崩れる。

もし触れた相手を痺れさせるとかだとしよう。

首に当てずとも触られたら負けだ。

そもそも敵から提案されたゲーム、乗る方が頭のおかしいやつだと思う。

「ははっ……、君は冷静だね。じゃあ、これはどうかな?僕は一切才能を使わない。使ったら君に殺されるよ、潔くね。」

「そんなの誰が保証するんだ。」

口でならなんとでも言える。

小学生でもわかることだ。

「うーん、じゃあ。説明書。今の聞いてたよね?」

『もちろんです。』

「僕が不正をしたら殺して、そして彼に経験値を与える。そういう事は可能かい?」

何言ってんだ、こいつ。

そもそもそのルールでゲームをしたら100%勝てない。

なぜなら俺の"才能"はたしかに無能だが、あいつはそれを知らない。

なのに"才能"を使わずにって。

ルール自体も相手が有利、それ程に自信が……?

いいや、あったってこんなの成功率が低過ぎる。

そもそも勝つ気がなく、俺を観察する。

それが目的だとすれば辻褄が合う。

『もちろん出来ますよ。』

「わかった、そういう事ならこのゲーム。乗ってやるよ。」

「じゃあ、始め。ほら、どこからでも来なよ。」

なめられたもんだぜ、"才能"も使えないお前相手なら俺の方が有利なんだよ!

俺は全速力で男へと向かって行くが一瞬だった。

俺は地面へと仰向けに倒され、首にナイフを当てられていた。

「……!?」

「これで……僕が1点だね。」

なんだ……今の。

体術か何か?いや、だとしてもいったいどんな。

体術なんて何もやった事ない、だから消去法すらも出来ないのだ。

これでは相手のカラクリがわからない。

ただ、一つわかる。

まず、あいつに真正面から挑むのは無駄だということだ。

「これで決着つけてやるよ。来い!『箱』!」

俺は右の手の平に箱を出し、それを開く。

・・・。

「やっぱ何も起きねぇじゃねぇか!!!」

俺は箱にケチをつけた後、それを男へと投げ付ける。

目くらましくらいには……。

俺はまた地面に仰向けで倒れていた。

だが、まだナイフを首元には当てられていない。

俺は奴のナイフを持つ方の腕をしっかり抑え、抵抗する。

「往生際が悪いね……。もうどうにもならないのはわかってるでしょ?」

「あぁ……もう無理だ。」

俺はそう言ってわざとらしく(・・・・・・)腕を離した。

「無駄な体力をつかっちゃったね。」

そうだ、体力はかなり使った。

「じゃあ、3ゲーム目と行こうか。」

男がそう言った時、俺は走り出していた。

男とは逆の方向へと。

そして、一つの建物の中へと入る。

「今度は鬼ごっこかい?……はあ。ガッカリだよ。」

この建物は、どうやら4階建のようだ。

生活感などはなく、ロッカーがいくつかあるだけだ。

俺はとりあえず無我夢中で4階まで駆け上がる。

俺は4階へ着くなり奥まで進み、壁へともたれかかり座り込む。

「そんなとこでどうしたの?無駄な体力を使っただけなのかい?」

「ああ。お前の体力を削ってナイフを奪う作戦だったが。先に俺がへばっちまったぜ。」

実際、4階まで階段使って上るのはかなりハードだった。

「本当……君にはガッカリだよ。」

「だろ?ほら、さっさとトドメ刺してくれよ。」

奴は階段の前、ここから出るにはそこしかない。

疲れきった俺が奴の横を走り抜けて逃げる術も当然ない。

そう、逃げる術はないんだ。

「言われなくても……そうさせてもらうよ。」

男は俺の前へと立ち、立ったまま俺を睨みつける。

「これでゲームセットだよ。」

「ああ。ゲームセットだ。」

そう言い、俺は深呼吸をする。

そして、叫んだ。

「シーナ!!!!!」




その瞬間ナイフだけがそこに残され、男は俺の前から姿を消したのだ。

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