第45話 霧の先の彼女
「おいおい、冗談だろ……?」
目の前に現れたピンク色の鎧を纏ったunknown。
背後には星5の怪物。
完全に逃げ道は絶たれていた。
「ど、どっちに逃げんの!?」
「レンくん!追ってきてるよ!」
どうすればいい、どうしたらこの状況を打開出来る。
考えろ、何か方法は……。
unknownの方へ走っても俺らなんかはただ殺されて終わる、時間稼ぎすら無理だろう。
星5の方へ突っ込む?いいや、未知の敵過ぎる。
下手をすれば誰1人として逃げれない……それは、unknownでも一緒。
もう、逃げ道なんてないんじゃないか?
そんな風に俺が諦めようとした時、unknownが動き出した。
だが、それは俺らを通り過ぎ星5へと斬りかかる。
「我、殺されなどせず。」
無駄だ、いくらどうしたって殺せるはずがないんだ。
それになんでunknownはやつへ攻撃を?俺らを守っているのか?
そんなはずはない、だってあいつらは俺らを殺すために……。
「我の邪魔とは、どういうつもりだァ?プレイヤーよ。」
「いくら攻撃したって死なないでしょ?小さい事気にしないで。」
「みんな今のうちに逃げるぞ!」
そうだ、これが最善の判断だ。
だけど、俺は確かめたい事がある。
みんなを先に行かせ、俺は立ち止まる。
「おい、なんで俺らを助けた?そいつに用があるだけか?」
「私はあなたを死なせるわけにはいかないの。」
それだけ言うとunknownはまた星5との戦闘を再開する。
俺を死なせるわけにはいかない?
どういう事だ、俺に何があるんだ。
よくわからないが、俺も逃げるしかないようだ。
俺はその場から離れた。
「これが……星5。」
「たった1体、それに倒せば一発クリアってだけはありますね。」
星5でこれ、星4、星3だってどんなものかわかったものじゃない。
もう諦めて人を殺した方が楽なんじゃないか?
もうこんな目に遭いたくないし、シーナやミホをこんな目に遭わせたくない。
「人を殺さない方法を諦めないでください!」
この期に及んでこいつは……。
「お前はなんなんだ!そんなんでやってけると思ってんのか!もうここはそういう世界じゃねぇんだ!殺さなきゃ俺らが死ぬんだよ!」
「それでも……です。」
「は……?」
「僕らが殺し合うなんておかしいと思うんです!」
何もおかしくなんかない。
こんな状況でまだ誰も殺さずにクリアしよう、その考えの方がよっぽど狂ってる。
「それにまだ可能性はあると思いますよ、ほら。この奥の部屋、宝箱のマークが付いてます。もしかしたら何かがあるのかもしれません!」
もしかしたら、あのモンスターに対抗するための何かがそこにあるかもしれない。
「わかった……そこへ行こう。誰も殺さずに済むならそれが一番だ。」
「レン!あんた本気?」
「ああ。もう少し俺に付き合ってくれ。無理だと思ったら諦めるからさ。」
「私はついて行くよ。レンくんの傍に必ずいるから!」
「私だって、見捨てたりしない。家族なんだから。」
そうだ、俺には仲間がいる。
こんなにも心強い仲間が……、何があったって乗り越えられるはずだ。
俺らは奥の部屋へと向かう……。
それが希望だと信じて。
×××
「まだなのー?奥の部屋ってのは。」
「もう少しで着くはずなんだが、少し休憩するか。」
俺らはその場に腰を下ろし、各々で休憩をする。
地図を確認するともうすぐで辿り着けるようだが、休める内に休んでおこうと思った。
「くかぁー……。」
「……は?」
トーイは眠っていた、本当にどこまで危機感がないんだこいつは。
実力者なのに色々不憫なやつだな。
なにか霧がかかり始めた気がする。
……っ!?胸が……苦しい。
なんだ、これ。
「レン……。」
その場に押し倒され、俺は相手の顔を見ると。
それはミホだった。
「お前、何のつもりだよ!」
「本当にレンは私の事、家族としてしか見てないの?……女としては見てくれないの?胸がないから?女の子っぽくないから?ねぇ、なんで?」
「は!?何言ってんだ!シーナ!ミホが変なん……だ?……シーナ?」
シーナの様子もおかしい、まさかお前までじゃないだろうな?
「レンくんはヒナさんが好きなんですか!?それともミホさんですか?私はレンくんにとって……何なの?ねぇ。教えて。」
本当にどうしたんだ2人は。
いきなり様子がおかしくなって、それでこの状況……この霧のせいか!
俺は何かがいると判断し、剣を1本。
それとガスマスクを2つ作り、2人に付ける。
少し時間が経つと正気に戻ったようだ。
「あれ……私なんでレンを押し倒して……!?あんた変な事してないでしょうね!」
「してねぇし、その解釈はおかしいだろ。」
「私も……大丈夫だよ、ね?レンくん。」
「その疑惑の目をやめてくれ、傷付くから。」
本当に何がどうなってんだよ、これは。
この霧のせいなのは確かだが、この霧が何を意味するのか。
何によって発生しているのか、どんな効力があるのか、何もわからない。
トーイは寝てるし、効いてすらないみたいだけど。
この辺りは離れた方がいいのかもしれないな。
俺が霧の先を見ていると人影が現れた。
「誰だ!……っ!?」
「そんなに身構えないでくださいよ。先輩。」
そこに現れたのは彼女だった。




