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CLOSE END  作者: Carmilla
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第4話 僕は運がいい。

「『移』といって……その、ワープです。」

ま、前向きに捉えるんだ!俺!

そうだ、逆に言えばそのワープを使えば逃げは最強。

生き残ればいいというこのステージでなら何とかなるはずなんだ!

いや、無敵だろう。

「あの……。」

「あ、え?どうかした?」

「その、この……ワープなんですが。半径10m範囲内を移動できるだけのものです。更にその……一回使うと5分程使えなく……。」

……あー、ダメだこりゃ。

「あは、あはははは……っ。」

逃げとしても使えない。

どう生き残るんだこれ、え、大丈夫?

それでも半径10m範囲か……それなら、今いる場所のように建物が多いところなら中に移動してやり過ごす事も可能かもしれない。

そうだな、まだ可能性が0になったわけじゃない。

「まあ、行こうか。ここにいても何が起こるかわからないし。」

「そう……ですよね。」

俺はなぜこの時、そう考えてしまったのだろうか。

だって、場所によっては荒れ果てた地だってあるわけだ。

今、建物が並ぶこの地にいるのが最善だったはず(・・・・・・・)なのに。

俺は何かに(・・・)引き寄せられるよう(・・・・・・・・・)に足を進めてしまった。


×××


「(このまま彼視点で物語が進む、そう思ってたんじゃないかな?残念だけど、ここからは少し僕の視点で楽しんでもらうよ。)」

僕は地面から立ち上がり空を見る。

眩しい……、ゲームの世界でも太陽は眩しいんだね。

「(あれ?そういえば、自己紹介がまだだったね。僕は47-19と今は名乗っておくよ。自主型(・・・)のプレイヤーさ。)」

この世界は素晴らしいよ。

僕は前の世界でも運が良かった、だけどこの世界でも運がいいようなんだ。

「出てきてくれるかい?説明書。」

『はーい、なんでしょうか。』

「本当に。僕のこの"才能"は何でも叶えられるのかな?」

僕の"才能"はメニュー画面の表記通りだと何でも叶えられる。

そんな素晴らしい力なんだけど……。

実際どうなのかな、と僕は思ってね。

『もちろんその通りですよ?何でも必ず一つだけ(・・・・)叶えられます。』

「本当に叶えられるんだ。例えば……僕以外全員死んでゲーム終了、なんて事も……可能なのかな?」

それが出来るのだとすれば、このゲームはなぜ盛り上がるのか。

僕は不思議でしょうがないよ。

『もちろん、出来ますよ。ただ、あんまりしてほしくはありませんがね。』

「ははっ、当然。そんな事、僕はしないよ?僕は楽しみたいんだよ、このデスゲームをさ。」

そうだよ、もっと僕は楽しみたいんだ。

最後の最後までこのデスゲームを……。

『あなたは大変運がよろしいんですよ?数え切れないほどの"才能"の中からそれが選ばれたんですよ。唯一のゲームバランス無視の才能です。』

唯一の才能……それを僕が。

「はっ…ははっ……あははははっ!僕はなんてツいてるんだ!」

そうだね、なら有意義に使わないとね。

この素晴らしい"才能"を僕の求めるもののために……。

「説明書。さっそく使わせてもらうよ。僕の『望』って才能をさ。────」

『そうですか、そういう使い方ですね、わかりました。』

さあ、僕を退屈させないでくれよ。


僕は昔から運だけが取得だった。

他者と比べて圧倒的な幸運の持ち主、僕に一番似合わない言葉は、不運ってまでの幸運。

僕は幼い頃からこのデスゲームに憧れを抱いていた。

だけど、決めていたことがあるんだ。

参加は18になってから、とね。

僕が応募をすれば抽選で選ばれるなんて事は当たり前のような事だからね。

そして、18になった僕。

応募をしようと思った時、とある家族に出会った。

お金持ちで自主型で参加させるはずだった息子さんが、事故でなくなってしまったんだ。

だけど、もう申し込んでしまった以上どうにか同い年の参加者を探している家族。

年齢は僕と同じ18、僕は最高にツいてると思ったよ。

自主型には特殊な特典(・・・・・)があるらしいんだ。

本来、抽選型で参加するはずの僕はこうして自主型として、このデスゲームに参加したんだ。

ゲーム開始の後、説明書が個人的に僕のところへ来た。

当然、特典についてだ。

その特典ってのが本当に面白いものでね。

わかるんだよ、全プレイヤーの位置が……さ。

そう、僕の地図には示されてるんだよ。

20人の位置(・・・・・・)がはっきりとね。

「(ははははっ!素晴らしいよ!こんな面白いもの(・・・・・・・・)が僕だけに見えているなんて!)」

「あぁ……。そろそろなんだね。」

僕は地図を確認し、そう声を漏らす。

僕が近くの建物に身を潜めると声が聞こえてきた。

「この辺も建物や道に傷はないっぽいな。それにしても変だな……気配はするのに、誰かがいる様子がない。」

僕はそっと彼の背後に近づき、ナイフを振り下ろしたんだけど。

普通にそれを避けられる。

彼だけなんだ……僕の求める存在は。

そんな彼がもうここへ現れて僕の襲撃を避ける……。

「はっ……ははっ、あははははっ!」

「何がおかしいんだよ!そんなに人を殺すのが楽しい────」

いいや、それは違うよ。

僕はそんな事では(・・・・・・)喜ばない。




「いやぁ、本当に僕はツいてるな、と思ってさ。」

もしかしたら3月までは不定期に更新するかもしれませんので、よろしくお願いします。

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