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第3話 戦闘能力0の俺ら

「え?」

「……え?」

簡単に現状を説明しよう。

俺は箱という才能を手に入れたが、その効果の不遇さに困惑していた。

とりあえず、戦いの前に自分に与えられた機能を見てみようと色々拝見し、有意義な時間過ごせた。

プレイヤーが減った通知が来た。

そして、このステージのことについて説明書に話を聞いていたところ、俺は彼女と出会ったのだ。

「えーと、はじめまして?」

なんて律儀に挨拶してどうすんだ俺。

これはもうバトル開始の展開でしょう。

俺は少し身を引き、構えると彼女を睨みつける。

「あ、あの……!」

「は、ひゃいっ!!」

突然、大声出すから驚いたんだ。

ビビったわけじゃない、少し驚いただけ。

「その、出来れば、穏便に終わらせたいのです。」

穏便に……?いやそれはこちらとて願ったり叶ったりで。

そんな事を考えながら彼女のレベルを見ると"Lv1"。

本当に戦う気はないのか?

「えーと、確かに俺自身もそう出来たらありがたいんだけど。それは俺が手を引いてあなたが逃げるって事、かな?」

彼女は暫しの沈黙の後に小さく頷く。

「はい、そうなりますね。」

それは危険だ、俺が手を引いた途端に彼女が襲ってくる可能性。

こんな事はしないが、彼女が安心し逃げようとしたところを俺が襲う。

ようするにそれを予測できない彼女は非常にこのデスゲームに向いていないのだ。

殺し合わずに済む、穏便に終わらせたい。

その気持ちが強すぎる、甘さ。

一番最悪なのは、この場を誰かに目撃されていて俺らが別れた後、順番に殺られる事だ。

そう、俺の才能なども踏まえ。

今最善の判断は────

「俺と……協力しませんか?」

さっきメニューを開いた時に協力というコマンドを見つけた。

内容は2人1組のグループになれるというシステムだ。

これを使う事によるメリットは人を殺した際、どちらが殺そうと経験値がお互いに入る。

更に離れていても通信が出来る。

通信と言ってもチャットのようなものではなく、テレパシーのように脳内で会話が出来るのだ。

あまり殺伐としたやつと組んでも、自分の身の安全が確保出来ないからな。

戦意のない彼女と協力関係になるのがいい手だろう。

現に俺の"才能"は戦闘に不向きだしな。

「その……協力というのがよくわかりませんが。私はあなたを信用して良いのでしょうか。」

「信用……ですか。まず、お互いのレベルを確認してわかるように俺もあなたもさっき減ったプレイヤーとは関わりがない。」

これじゃ決定的な信用に繋がらない。

"才能"や戦闘能力で判断しないだけありがたいんだ。

なんとか納得させる事……。

「俺が自分の才能を先に見せる。その上で詳細も教える。これで……どう?」

「……わかりました。」

彼女は小さく頷く。

俺は少し下がった後、右の手の平を突き出し、箱を作り出した。

そして、恐る恐る箱を開ける。

・・・。

箱は空っぽでしかも何も起こらなかった。

「くそ!やっぱデタラメ才能かよ!」

と、俺は箱を叩きつけ石を投げたり、蹴ったり、踏んだりし少しストレスを発散した。

まあ、このタイミングで何も起こらなかったのはありがたいんだけど、本当に何も起こらないと何かイラッとする。

どんな事をしても箱には傷一つ付かないのが、また腹立たしいけどな。

「ふぅ……。それで、なんだけどさ。俺の才能は『箱』手の平から何が起こるかわからない箱を作り出すんだ。見ての通り何も起こらない事もある。いや、そもそもこれが初めてだから何か起こるのかすら怪しい。」

本当に怪しい。

初めての使用時くらい、それなりに激しい事が起きてもいいはず。

なのに、バフでもなけりゃデバフでもない。

それどころか無反応とか、これ程に期待の出来ない力はない。

「その……信用は出来ました。けど……。」

「けど……?」

彼女が顔を少し下げ上目遣いをしている。

少し冷静になって気付くがかなり綺麗な人だ。

長い茶髪に少しウェーブをかけていて、綺麗な青い瞳。

長いスカートの上からでもわかる程、細くスラッとした長い足。

ただ細いだけでなく、間違いなく丁度いい肉付きをしてるであろう太もも。

更に色白で何よりも大きな────。

いや、その男なんてみんなそういうとこを見るだろ?

ほら、デスゲームなのにどうこう思うかもしれないが、ここはもう一つのリアルなわけで。

当然煩悩だってセットで、ね?

「いや、私でよろしいのか、と思いまして。」

「もちろん!むしろ、こんなしょぼい能力の俺でいいのか?ってくらいで。」

そう言って俺は協力申請を送ると彼女も承認してくれた。

これで美女との冒険がこのランク1内では約束されたのだ。

嗚呼、薔薇色なデスゲームの予感。

そういえばかなり大人っぽいし2つ上の22くらいか?

ちょっと聞いてみよう……。

「あの、嫌だったらいいんだけど。いくつ?」

「あ、その。18です。高校3年生をしてました。」

まさかのJ!K!キタぁぁぁぁぁあ!

おっ、と取り乱すな俺。

てか、2つ下か……凄いな、今のJKすごいな。エロいな。

いや、なんでもない。

「あ、それと私の才能なんですが。」

「そうそう!いったいどんな才能を?」

彼女は少し顔を下げ、一呼吸置く。

もしかして、そんなにすごい────

「『移』といって……その、ワープです。」

あぁ、うん。

ワープと無能な箱……そう、俺らの暫定戦闘力は間違いなく0だろう。




そんなこんなで俺らは動き出すのだ、戦うため?いいや、逃げ続けるために!

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