第2話 プロローグは突然終わる。
才能……『箱』
「……は?」
箱?なんだ箱って。
おいおい、ゲーム開始早々ハズレ引いたとかないだろうな。
「……えーと、なになに。」
才能『箱』の詳細、なんと箱は箱でもびっくり箱なのです!
発動モーションなどはなく、自由に発動できます。
手の平に箱が出現しますので、それを開く。
簡単でしょう?
あー、ちなみに何が起こるかはわかりませんのでお気をつけて。説明書より。
「……は?」
使い方もクソもない、運要素のみのクソ能力かよ。
20人のプレイヤーが半分になるんだぞ。
そんな状況でこれって。
……だからと言って諦めはしねぇけどな。
俺は死ぬ気はない。
この世界で生き抜いてやるんだ、あんなクソッタレな世界の時の俺じゃない。
なんとかしてみせる、自分の手で。
メニューを開くと地図もあり、少し確認したがかなり広い地形の様だった。
「(この広さなら、とりあえずメニューのシステムを見るくらいなら出来そうだな。)」
メニューで出来ることは地図とステータスへのポイント振り分け、才能の詳細だけでなく。
今所持しているポイントや。
現在生き残っているプレイヤーの人数。
機能としては他のプレイヤーのレベルを見ることも出来るらしいが、レベルが一定以上離れるとunknownと表示されるとの事だ。
「(同クラスのプレイヤーが集まりのにこのシステムは必要あるのか?休憩の時に他のプレイヤーとの関わりがある、とかそういう事なのだろうか。)」
そして、プレイヤーの名前。
47-01〜47-20となっている。
ちなみに俺は47-18となっている。
多分これは何期であるか、それと適当な番号なのだろう。
ここらで戦闘を仕掛けてレベルを上げたいとこでもあるが、今は様子見しよう。
まだプロローグ感覚でいいよな。
いきなり大戦乱に巻き込まれたら、それこそ無駄になる。
だからこそ、ここは穏便に時間を使って出来る機能を調べておこう。
才能を使ってみたらどうだ?と思う人もいるだろう。
使用制限がないんだ、使ってみるに越したことはない、と。
それは違う。
この才能は昔あったゲームドラ○エのパル○ンテのようなものだ。
有利な効果だけでなく不利な効果すら発生する可能性があるんだ。
だからこそ、本番でもここぞ、という時にって言えたらいいんだけどな……。
最も怖いのは有利でも不利でもない、全く何も起こらない。
これが一番最悪だ。
ピンチだって時に何も起こらずそれで終わり、ようするにこの才能使う場面がない、と言っても過言ではない。
俺はあの世界でも運がなかった。いくら世界が変わっても運ばかりは変わらないのかもな。
運が悪いって考えている時は決まって妹を思い出す。
35期としてデスゲームに参加した妹はよく俺に「本当にお兄って運がないよね〜。私はこんなに運がいいのに!」と言ってきたものだ。
今も生きているのだろうか。
ちなみにデスゲームの募集は年に4回ある。
四季に1回だ。
生きていたら妹はランク10にいるのだろう。
生きているのなら、いつか出会えたらいいな。
それには、俺も生き残らないとな。
必死に、全力に、がむしゃらに。
ティコンッ。
と、音の後に視界へとお知らせが入る。
『プレイヤーが減りました。』
もう死人が……、って死人だけじゃなく殺した奴もいるわけか。
残り9人……死ぬ人がいる。
もちろんその1人に俺がなる可能性だってある。
それにしても、本当に綺麗だな……この町は。
本当に才能という名の超能力がぶつかり合っている殺し合いの現場だって事を、忘れさせる程に建物などが綺麗に保たれている。
「説明書に聞けば何か教えてくれんのかな。……なぁ、説明書。」
『はーい、なんでしょうか。』
「うわっ!」
自分から呼んだものの、呼べば出てくるとは夢にも思わずお化けでも見たかのように驚いてしまった。
『呼んでおいてそれは酷くありませんかね。』
「いや、これは本当に申し訳ない。まさか出るとは思わなくてな。」
『まあ……いいでしょう。それで何の御用です?』
意外とすんなり許してくれるんだな。
態度が気に食いませんね、消しましょう。
みたいに終わったりはしないって事か、少し安心した。
「あー、それでなんだが。この辺、建物が綺麗だろ?これってランク1ではそういうもんなのかなー、と思ってさ。」
『いえいえ、そんな事はございませんよ。かなり酷く潰れたエリアだってございます。まあ、そんな荒れ果てた地、初心者である皆様はすぐ逃げてしまいますがね。』
それもそうだよな。
まだ何もわからない俺らがいきなり荒れ果てたステージとか、予想はしていたって出来ることなら離れたい。
何よりも隠れる場所がない。
そういった恐怖心が俺らをそうさせるだろう。
その心配のない、綺麗な場所からスタートできた俺は運がいいのかもな。
普段運の悪い俺が……偶然、なんて事あんのかな。
『あのー、もうよろしいでしょうか?』
「あ……あぁ。わるいわるい、もう大丈夫だ。」
すっかり忘れていたよ。
『では、また用がありましたら。』
「あぁ、助かった────」
「え?」
俺の進む先から声が聞こえた。
女性の声が。
「え……?」
47-9……ということは、プレイヤーだ。
こうして、俺のプロローグは何の前触れもなく突然と終わりを告げるのだった。
1週間に1回の更新を目安と言いましたが、とりあえず3話までは今週中に更新させていただきます。
ですが、あまり期間が空いてしまうのも申し訳ないと思ったので。
手の空いている週は2回更新をさせていただきます。
水曜日と土曜日(基本的には土曜日)を目安の更新となりますので、よろしくお願いします。