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CLOSE END  作者: Carmilla
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第11話 諦めてたまるか

時は満ちた、って感じだな。

あいつは前に言ってた、「やはり、いくら雑魚を蹴散らしたとこで私の強化には繋がらないようだ。」と。

ようするに死ぬプレイヤーが残り1人になった時、強化されたプレイヤーを狙えば最低限の利益になる。

やつはそのタイミングを待っていたんだ。

この破壊もその為だろう。

隠れる場所を出来るだけなくす。

現に全てが崩れた、とはいえ。

まだ大きいものは形を残して、立っていたりもする。

とりあえず、身を潜めよう。

こんなところに2人でいても見つかって殺されるだけだ。

1人死ぬまで耐えるだけだ。

こんな事願いたくはなかったが、お願いだ。

誰か死んでくれ。

これはもう殺し合いじゃない。

生き残れるかの戦いだ。

それだけやつは危険で強大なんだ。

「ねえ、レン。」

「え……?」

初めて呼び捨てにされた、その時俺の目に映る彼女は、とても真面目な表情で俺を見つめていた。

思えば彼女は俺の中のデスゲームを変えてくれた存在だ。

彼女はデスゲームに似合わない性格の持ち主、そんな風に思っていたけど、違ったのかもしれない。

彼女がいなければ多分俺はまともじゃいられなかった。

今生きていなかったかもしれなかった。

「多分、ここから。なんだよね、何が起きてもおかしくないのは。」

「そうだな、正念場ってやつだ。」

俺にいつまでも希望をくれた君に気持ちを伝えたい。

俺は間違いなくシーナの事が好きだ。

けど、今はそんな事必要ないよな……。

生き残るまではそっと胸にしまっておこう。

そして、終わったら伝えよう。

「もし、何かあったらレンだけでも生きてね。」

「それはない。俺は必ず2人で生き残る、そう決めてるんだ。」

どんな事が起きようと、俺は彼女を見捨てない。

2人で生き残るんだ。


×××


「あの……本当にあたしを守ってくれるんですか?」

「ははっ。なんだい?その質問。」

彼女を守りきる事は僕にとっても十分にメリットがある。

助けない理由がないくらいだね。

「あたし……足でまといだと思うんで……その、もし、邪魔だったら見捨ててくださいね。」

目尻に涙を浮かべながら笑顔でそんな事を言える彼女は、誰から見ても素直ないい子って奴なんだろうね。

ただ僕はそんな相手でも無償で守ったりはしないんだよ。

「君は足でまといなんかじゃない。僕は経験したんだよ、協力し合う力ってのを、さ。だけど、僕の経験した協力と僕の今こうしてやっている協力は別ものでね。」

そう全くの別ものなんだよ。

彼らのそれは全く同じ立場、対等な関係による協力だと思う。

僕は違う。

これは協力というより主従関係に近い協力だ。

だから僕の言いなりになる彼女こそが理想の相手なんだよ。

「僕にとっても君は必要な存在なんだ。君は生き残るために僕へ提案をしたんだろう?なのにここで諦めるのかい?」

「諦めるわけじゃ……ない、です。ただ私だって死にたくないように……その、あなたも、死にたくない……と思うんです。だから、その。」

僕は彼女の唇にそっと人差し指を当て、それ以上言わせないようにした。

「なら、2人で生き残ろう。僕には君が必要なんだ。君は僕が必要ないかい?」

「そ、そんなこと!」

慌てて否定をする姿、普通の人だったらこれで落ちていくんだろうね。

この子は純粋にいい子なんだ。

「なら、僕は君を守り抜く。だから、君も生きる意思を決して捨てないでほしい。」

「……はい。」

そうだよ、僕は死なない。

だからこそ、君も生き残ってくれる事を僕は願っているよ。

ねぇ、レンくん。


×××


俺らは15階程の建物に身を潜めていた。

今いるのは5階とかだろうか?

2階より下はさっきの大規模攻撃で人の入れる場所じゃなくなっていたが、それより上の階は普通に居られるほどの状態だ。

まあ、揺れもすごかったから結構散らかりはしているが、それはしょうがない。

「そういえば、やけに静かじゃないか?仮にもあれが動き出したのに────。」

「レ……レン、くん。」

シーナが顔を青ざめ、震えながら俺の後ろ指差ししている。

「俺の後ろがどうかした……か……!?」

unknown。

俺の背後に位置する窓に立っていたのは紛れもなくunknownの姿だった。

あまりの出来事に俺は動けなくなっていた。

unknownが手に持つ矛を突き出そうとしているにも関わらず、だ。

「レンくん!」

シーナに背中から飛びかかられ倒れる事で、その攻撃は俺に当たらず、俺は死なずに済んだ。

「何やってるの!バカ!」

「ご、ごめん。あまりに咄嗟の出来事で。」

unknownのその攻撃は反対側の壁に穴をあけるほどのもので、間違いなく当たれば即死だった。

とりあえず上へ逃げよう。

俺はそう思って立ち上がり、シーナの腕を取り階段を駆け上がっていく。

奴が歩いて追ってきてるのがわかる。

だが、その歩くスピードも尋常ではなかった。

これが100以上の差、対面して初めて実感する恐怖。

12階辺りに着いた時だった。

『プレイヤーが減りました。』

「終わ……った。」

生き残れた、そんな気持ちが俺の気を一気に緩ませた。

『はーい。皆様お疲れ様です。ゲームは終了ですが、転送まで5分程かかります。それまでの殺し合いももちろんありですよ。』

5分間……殺しも、あり。

俺が振り返ると矛を振り上げるunknownがいた。

「シーナ……!」

俺はシーナを勢いよく抱きしめ、そのまま横へと飛び込む。

振り下ろされた矛が地面を叩き砕く。

矛は打撃武装じゃねえだろ!

今の説明書の発言といい、あいつといい、そしてunknownといい。

どいつもこいつもふざけんじゃねぇ!

「シーナ!屋上へワープだ!階段が崩れた今なら時間を稼げるはずだ。」

「う、うん!」

俺らは2人で屋上へと移動する。

そう、後はこれで凌ぐ、だ……け。

背後からの大きな音と同時にunknownは現れた。

そうだった、ステータスの高いあいつならジャンプすりゃ上がってこれる。

こんな事を見落とすなんて。

「ど、どうするの!?レンくん!」

どうするんだ、俺。

逃げ道はない、シーナのワープも使えない。

もうダメだ、諦めるしか……ないのか?

────いいや、諦めてたまるか。

どうせ死ぬなら足掻いてやる。

何もしないで死ぬなんてごめんだ!

「シーナ!もう一か八かだ。俺に命……預けてくれないか?」

「今更何言ってんの。もちろんだよ、レンくん。」

ありがとう、シーナ。




そして、俺はシーナの手を引き建物から飛び降りた(・・・・・・・・・)

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