プロローグ:少年の始まり
ここは、とある王国
そこに一人の少年が住んでいました
少年は、町の人々にはない能力を持っていました
そう、少年は精霊を見ることができたのです
道端の石ころ、辺りの草むら、道に生い茂る木々、はたまた川の中・・・
ありとあらゆるところに精霊たちが宿っていることを知っていました
少年は、そんな精霊たちに暇を見つけては話しかけていました
しかし、精霊たちが見えない町の人々にとっては、少年は異質な存在でした
町の人々は、はじめこそ精霊たちと話す少年を不気味に思うだけでした
しかし、町の人々は次第に少年を恐れ、「化け物」と罵るようになりました
「化け物」と罵られた少年は、悲しそうな顔を浮かべるだけで何も言いませんでした
何も言い返さない、してこないことをいいことに、
町の人々は少年に石を投げつけるようになりました
少年は、それでも反撃もせずにじっと耐えていました
町の人々に見つかっては、石を投げつけられる・・・
そんな日々を少年は過ごしていました
そんな日々を送る中、ある日突然少年のもとを一人の老紳士が訪れました
その老紳士こそ、数多の王国で名が知れ渡る偉大なる精霊魔法使い
グラン・グラッセでした
「キミは、精霊たちと友達になりたいかい?」
「うん、もちろんだよ!」
「キミの隣にいる精霊と同じように他の精霊たちも大切にできるかい?」
「うん、大切にするよ!」
「じゃあ、さいごにキミは精霊たちが好きかい?」
「うん、大好きさ!!」
少年は、グラン・グラッセの周りにいるたくさんの精霊たちの姿が見えていました
そうして、少年はグラン・グラッセが校長を務めている
精霊魔法学園へと通うことを決意しました
学園の寮へと向かう道すがら、グラン・グラッセは少年に語りかけました
「学園を卒業した者は、各王国の要職に就いている者が多い
しかし、精霊魔法は使い方を誤れば強大な力として簡単に身を滅ぼすものだ」
「だからこそ、キミには、表面的なところだけでなく
きちんと精霊魔法の本質を知ってもらいたい
さすれば、キミの意思だけで自由に世界を動かせるようになるだろう」