『死霊艦隊:私掠船とリザードの姫』
宇宙空間を光速の三十パーセントで、俺専用の黒い宇宙機に乗って地球から木星へ飛ぶ。
現状について、言葉だけ並べてみると、現実の話とは思えない。
一ヶ月前まで、俺にとって乗り物といえば、通勤用の電車をのぞけばアパートの大家所有のママチャリであった。
週に一度の割合で、少し遠くの、しかし品揃えが良いレンタルビデオ屋に映像ディスク(婉曲的表現)を返しに行くため、鈴に鍵を借りてせっせとこいでいったものである。ついでに帰りには、スーパーに寄って豆腐とか牛乳とか卵とかを買わされるのだ。
それが今や、宇宙である。木星である。人生、何が起きるかわからない。
これで、木星に向かっている理由が大赤斑の見物や、ガリレオ衛星を観光に行く、というのならば気分もよかっただろう。
しかし、実際には、俺は地球代官としての仕事で木星へ向かっている。星系外から転移してきた二隻の宇宙船に停船を命じて臨検し、応じなければ攻撃するためだ。
相手が抵抗した場合、反撃で俺の方が殺されるかもしれない。機体の性能はともかく、俺自身はド素人のパイロットなのだ。
これでは、宇宙を旅していても気分が盛り上がらないことおびただしい。
なので、ブラック・ダイカン号のコクピットで俺が何をしていたかというと、サポート用の人工知能を呼び出して、戦闘について簡単なレクチャーを受けていたのである。泥縄もいいところだ。
――宇宙人相手に茶の湯やってる場合じゃなかったな。
今さらながら後悔するが、しかし、数日の訓練で何ができるようになったかを考えるに、あまり差もない気がする。
『マスター。パイロットとは特殊技能です。マスターの反応速度や精神能力の傾向を考えると、不向きなパイロットとしての技能を伸ばすことはおすすめしかねます』
ブラック・ダイカン号にまでこう言われてしまう始末だし。
「戦闘になったら、任せるよ。優先順位は、一番目が、俺の命。二番目は、敵をソル星系から逃がさないこと。三番目は、ブラック・ダイカン号、お前の安全だ。四番目は、敵の命。これでいいか?」
『了解』
それからしばらくしてから、ブラック・ダイカン号が俺に声をかけてきた。
『面白い人ですね、マスターは』
「なんだよ、突然」
人工知能に面白がられるようなことを口にしただろうか。
『いえ、素人パイロットはもう少し曖昧というか、どっちつかずの命令を出すものなんです。少なくとも、私のデータライブラリには、そうあります』
「どっちつかず?」
『たとえば、敵の背後を取ってエンジンを打ち抜けるようにしろ、とか。後でデータか捕虜を回収できるよう、コントロールブロックは攻撃しないように、とか』
「それは、どっちつかずというよりは、具体的な命令なんじゃないのか?」
俺もそう言った方が良かったのだろうか。
『違います。たとえば敵の後方に位置することと、エンジンを攻撃できるのとは、同じではありません。標準的な無慣性ドライブでは、加速時に機体の前と後に強烈な空間圧縮を行いますので、むしろ攻撃は通りにくくなります。このように、命令の内容は具体的にしたことでかえって本来の目的に合致しないことがあるわけです』
「へえ。そいつは知らなかった。じゃあ、俺の命令だと、えーと、『敵をソル星系から逃がさないこと』だったか。これだと、どうするのが正しいんだ?」
『状況によりますが、相手が跳躍航法で逃げようとしているなら、エンジンを狙う必要はありません。今の私の武器であればレーザーをパルスモードにし、光の散弾を敵の表面にまんべんなくばらまきます』
「あまりダメージは与えられそうにないな。それで大丈夫なのか?」
『はい。これだと装甲に覆われた部分にダメージは通りません。しかし、その外側に出ている観測用のアンテナを破壊することができます。跳躍航法は時空に穴を開けて飛ぶ航法で、精密な観測なしではうまく跳躍できません。時空の狭間で遭難したくないなら、観測用アンテナを破壊されれば、敵は跳躍航法を取りやめるでしょう。結果として、敵をソル星系から逃がさないという目的を達成できます』
「ほー」
『彼我の状況によって目的に合った行動は変化する、ということです。どんな場合でも最善手が決まっているようなら、専門スキルは不要です。マスターが私の専門家としての判断を尊重し、自主的な決断を縛る命令を出さなかったことは、機体を制御する人工知能として好ましく思います』
そこまで考えての命令ではなかったのだが、もっともらしくうなずいておく。
――これは勉強になった。
ごく平凡な地球人で、戦闘だけでなく、宇宙技術も、国家運営も、何もかも専門知識がない俺は、あらゆる面で他人を頼るしかない。
専門知識を持つ他人を頼るには、そいつが専門知識を活かせるように頼む必要がある。だが、そもそも自分の頼み方が正しいのか否かが、専門知識がない俺には判断がつかない。
今回は、たまたまうまく頼めたのかもしれないが、いつもこうとは限らないだろう。
――まずは自分の願い、望みを正直に明け透けに頼むのが正解への近道なんだろうな。
俺は、死にたくない。
こういう仕事だから、命を賭けなきゃいけない場面はいくらでも出てくるだろうが、今回に関しては、ここで死ぬのはイヤである。
それを最初に口にできたのは、俺が、自分に正直になれているからだろうか。
俺は自分の右手をじっと見る。
――目を閉じておっぱいを揉むこの異能の力のおかげ……というと妙だが、この力のせいで、自分を偽るのがバカバカしくなってるのはあるよな。
どれだけ高尚なお題目を唱えようが、今の俺の心の底からの望みは、メシエのおっぱいを揉むことである。
地球文明の新たな飛躍も、ネロス皇国の再興も、もちろん大事である。
しかし俺が、一星銀河という個人が、その人生を真に賭けるのは地球文明やネロス皇国ではなく、メシエ・N・ジェネラルという女の子にだ。
俺がメシエを幸せにし、そのおっぱいを揉むためには皇国を再興しなくてはいけないし、地球文明にも発展してもらわなくてはいけない。その優先順位を間違えてはいけない。
おっぱいが先で、地球が後だ。
そして、死んではならない。死ねばおっぱいは揉めない。
俺は自分が死なないため、ダイカン号と打ち合わせを続けた。
三時間はあっという間に過ぎた。
前方に、オレンジ色の惑星が、肉眼でも確認できるようになった。肉眼といっても、コクピットは密閉されていて窓はないので、内側に投影された映像での話だが。
『標的を確認。以後、UⅠ(ユーワン)、UⅡ(ユーツー)と呼称します』
ホログラフで木星とその周囲を巡る衛星群の模式図が表示された。木星は太陽系最大の惑星だけあって、大所帯だ。主立った衛星だけで六十以上。土星ほど立派ではないが輪も幾本も存在する。
跳躍航法で太陽系にやってきた二隻の所属不明の宇宙船は、木星最大の衛星、ガニメデの近傍を飛んでいた。木星からの距離は百万キロメートル。
ここまで、ブラック・ダイカン号はレーダーやそれに類するアクティブセンサーを使っていない。標的に気付かれずに近づくためだ。標的の情報は、可視光線のカメラの他は、赤外線探知機、重力探知機などのパッシブセンサーで得ている。
「こちらは気付かれていないな?」
『はい』
こちらの現在位置は、木星の北極側だ。宇宙に上下はないが、地球や木星が太陽の周りを巡る公転軌道を平面とすれば、その平面から垂直に離れた場所に位置している。
『ただし、ここから大減速すれば、生じる重力波によってすぐに気付かれるでしょう』
「無慣性ドライブは、隠れるのに向いてないわけか」
『はい。ですが、ロケットエンジンの場合でも、噴射ガスが赤外線を放射します。大きな加速や減速をすれば、敵に気付かれます。基本的に宇宙空間が隠れるのに適した場所ではない、ということです』
「そりゃ、何もないものな。よし、手はず通りに動いてくれ」
『了解』
光速の三十パーセント、秒速で十万キロメートルという猛烈な速度で飛んでいたブラック・ダイカン号がくるり、と回転して進行方向に尾部を向ける。
『第一大減速、開始』
機体後部の無慣性ドライブが唸りをあげ、コクピットに座る俺の尻にその振動が伝わる。この時の空間圧縮によって、強烈な指向性重力波が発生し、周辺の空間を震わせて広がっている。俺には原理はさっぱりだが、光も出ているらしい。
わずか数秒で、秒速十万キロメートルから、五万キロメートルへ減速。この間に、最大で二〇〇万Gの荷重が俺とブラック・ダイカン号にかかっている。戦闘機の旋回時の加速が最大で十Gだから、その二十万倍だ。普通なら俺も機体も一瞬でペチャンコである。
『第一大減速、終了。慣性吸収剤、交換』
ガション。ガション。無慣性ドライブに取り付けられた巨大なシリンダーが回転する。回転式拳銃の弾倉によく似た形状で、弾丸の代わりに詰めてあるのは、大きなドラム缶型の慣性吸収剤だ。これが二〇〇万Gを吸収してくれたのである。
『第二大減速、開始』
再び俺の尻を震わせる振動。もしエンジンに何か手違いがあれば、次の瞬間、俺はペチャンコである。
『第二大減速、終了』
二回の減速で、光速の三十パーセントあったブラック・ダイカン号の速度は、木星の公転速度とほぼ同じにまで落とされた。
『放熱翼、展開。慣性吸収剤の余熱を放出します』
折り畳まれていたブラック・ダイカン号の翼が広げられる。真空の宇宙だから、この翼には空力学的な意味はない。熱を宇宙空間に放出する放熱翼だ。
ブラック・ダイカン号が持っていた秒速十万キロメートルの運動エネルギーをたらふく吸収した慣性吸収剤は、そのままでは再利用できない。蓄えたエネルギーを熱に変換し、放出することで再び使用可能になるのだ。
俺はちらり、と放熱翼の状態を示す画面に目を向けた。シリンダーに搭載された八本のドラム缶型慣性吸収剤のうち、二回の大減速で四本が使用不能となっている。残り四本のうち、せめて一本は残しておかなければ、いざ状況が悪化しても最大加速で逃げることができない。急減速だけでなく、急加速でも慣性吸収剤は使うからだ。
「UⅠ、UⅡの反応はどうだ?」
俺はブラック・ダイカン号に聞いた。
『UⅡがアンテナを展開しています。アクティブセンサーの逆探知に反応あり。UⅠが加速してガニメデの影に隠れようとしています。訓練されたいい動きです。素人ではありませんね』
「そうか」
慣性吸収剤を半分使ってまで急減速をしたのは、デモンストレーションのためである。
宇宙戦闘については素人の俺の理解によれば、ブラック・ダイカン号の戦闘力や機動力は、このサイズの宇宙船――全長五十メートルだが、宇宙では戦闘機サイズだそうだ――では破格のものらしい。
それが、性能を隠そうともせずに、出現した。
となれば、UⅠ、UⅡの指揮官はこう考える。
『他に、隠れている連中がいる』『本隊が後からやってくる』と。
まさか、この一機だけとは思うまい、である。
そうやってこちらの戦力を過大に評価してくれれば、停船命令も臨検もうまくいくはず、という計画だ。
「ハッタリが通用しなかったらどうするんだ?」
俺がそう聞いたら、ブラック・ダイカン号はすました声で答えたものである。
『ハッタリが通用しない、ということは停船にも臨検にも応じないということです。攻撃して撃沈するか、かなわないなら逃げましょう』
「なるほど」
人工知能にしては、肝のすわった奴だ。
『大丈夫です。私のカンでは、ハッタリが通用しなくとも即座に戦いにはならないはずです』
しかも、カンとか言い出しましたよ、この人工知能。
「どうしてだ?」
『利益がないからです。情報を解析してみましたが、あの二隻は私掠船です』
「私掠……海賊か?」
『宇宙の傭兵です。ただし、報酬のほとんどは、給金ではなく、奪った宇宙船やその積み荷から得ます。あの二隻は、アルタイル通商連合に所属する私掠船ですね』
「政府公認の海賊か。けれど、団体名とかよくそこまでわかるな」
『簡単な話ですよ。私掠船は、通信で戦う前に私掠免状コードを発信します。あの二隻、こちらに気付いた瞬間、まず通商連合の私掠免状コードを送信してきました』
私掠免状コードというのは、私掠船に海賊行為のお墨付きを与える特殊な信号だ。宇宙連邦から星間国家や団体に発行され、そこから私掠船に与えられる。私掠船が戦闘に入る前は、まずこの私掠免状コードを発信する決まりだとか。
「でも、シグナルを出せば、当然、相手にも気付かれるよな。私掠免状コードを発信しなかったらどうなるんだ?」
『ただの海賊行為として扱われます。バレなきゃ大丈夫ですが、バレたら縛り首ですよ』
「シグナルを出しても普通に海賊行為だと思うが……けれど、シグナルを出したってことは、あっちはやる気なのか?」
戦闘はイヤだなあ、というのが俺の正直な気持ちである。
『逆です。戦闘したくないから、シグナルを出したのです。身元を明かすことで、自分たちがアルタイル通商連合が私掠を許可していない相手とは戦わない、と言ってきたのですよ』
「その私掠許可、ネロス皇国はどうなんだ?」
『許可されていません。アルタイル通商連合とは対立していません』
「よし。こっちがネロス皇国で、ここが保護惑星を含む立ち入り制限の星系だと伝えてくれ。停船と臨検を求めると」
『了解。圧縮通信を送ります』
後は相手の対応を見ながら、となるが――。
この段階での俺は、それなりに楽観的な気分であった。
===another view
銀河たちがUⅠと呼称した私掠船は名を〈緋竜〉、UⅡは〈碧竜〉と名付けられていた。
全長二百メートル、全備質量一万五千トン。商船を改造した巡航艦サイズの武装宇宙船としてはたいそうな名前だ。
「ネロス皇国だぁ? あいつら滅びたんじゃねーのか」
太い尻尾を甲板に叩きつけ、〈緋竜〉船長のドランは胴間声を張り上げた。
「そうだっけ?」
「一ヶ月ほど前のGニュースでやってたろ」
「俺は賭け事とスポーツしか見ないからなぁ」
「つうか、アレとんでもねえ機体だぞ。戦うのか?」
周囲のリザード人たちも、尻尾をびしびし甲板にぶつけて、それぞれの意見を口にする。
リザード人は、ネロス皇国に仕えたワール人と同じ、爬虫類型の知的生物だ。生まれた星は違えど、外見や習性は地球人とネロス人ほどに似ている。
「だーっ、役に立たねえな、お前らっ!」
ドランが吠えると、頭に乗せた鶏冠に似せた冠がずり落ちる。
「しょーがないっすよ、親分」
「俺ら、ただの煉瓦卵っすからね」
「自分の尻尾にしか責任は持てませんぜ」
「逃げましょうやー。別にここに用があるわけじゃねーですし」
部下のリザード人の覇気のない様子に、ドランはイライラと尻尾を甲板にぶつける。
怒鳴ろうと口を開けたら鶏冠の冠が目元までズレたので、それを直す。
――無理もねえか。
ここにいるのは、ドランも含め、巣と女王リザードを失ったはぐれの群れだ。ドランにしたところで、戦長の鶏冠を託されていなければ、自暴自棄になっていただろう。
鶏冠と、そして、巣の未来を。
「いい加減にしろ! このボンクラども! おまえたち、みんな鱗なしかっ!」
力強い声が、戦闘指揮所に轟く。
戦闘指揮所の片隅に作られた間仕切りから出てきたのは、目元の金の鱗が麗しい、若いメスのリザード人だった。
ひゅんっ、と細く鋭い尻尾が宙を斬る。
ぴぃぃん、と尻尾の先端についた尻尾飾りから、澄んだ音が鳴り響く。
「ひ、姫様」
「いけませんぜ、こんなところに」
「姫様は女王卵のところにいてくだせえ」
「だまれ! お前らの泣き言の方がよっぽど妹の発育に悪いわっ!」
ぴぃぃん、ぴぃぃん、尻尾飾りの音が鳴り響き、オスのリザード人が押し黙る。
リザード人のオスはメスに逆らえない。
進化の中でそう定められている。
「ドラン、通信文を読んだぞ。ここはネロスが保護する未開種族の星だそうだな」
部下が静かになったところで、姫様と呼ばれたリザード人が、ドランに聞く。
「へい、リュミス姫様。そいつはどうでしょうかね」
鶏冠には慣れていないが、私掠船の船長としての経験は豊富なドランは尻尾の先をくるり、と回した。人間なら首をひねることに相当する仕草だ。
「あの機体は、相当なモンです。古い巣を持つネロスの奴らでも、そうは持っていない秘宝を使ってます。これが仕事なら、一発逆転狙いで仕掛けてもいいくらいの。未開種族の星を守るためだけに、アレが配置されてるってのは、どうにもおかしいですわ」
「ならば、クーデターから逃げたネロスの生き残りか?」
「アレが本当にクーデターなら、ですけどね」
ドランはいつもの癖でペチン、と床を尻尾で叩きそうになってあわてて自分の尻尾を丸めた。オスが床を尻尾で叩くのは、知性化する前のメスへの求愛の儀式、そして他のオスへの挑戦の仕草が元となっている。そのため、高貴なメスの前で、それはたいへん不作法な仕草とされる。
「乾燥鱗のワールどもはいけすかねえ舌鳴らしですが、あいつらがネロスを裏切るってのは、冗談でも聞いたことがねえ」
リュミスはドランの言いたいことが何であるか、察した。声が低くなる。
「まさか……死霊か?」
「わかりません。ですが、気をつけた方がいい。死霊の危険がある以上、停船はともかく、臨検には応じられませんや。まして、ここは女王の巣ですぜ」
女王の巣、という言葉に、それまでだらけていたリザード人のオスどもの目の色が変わる。
「……そうだよな」
「おう、この船は女王の巣だ」
「女王様はいねえが、女王卵があるんだ」
「そいつを臨検たぁ、礼儀知らずのふてえ野郎だ」
「ネロスを追い出して、ここを俺らの営巣星にしようぜ」
リザード人は、巣と女王のためであれば命を賭けることを厭わない。それは彼らが知性化される前からのDNAに刻まれた習性である。言語すら持たない時代に知性化され宇宙連邦に加盟したことで、その習性は文明による風化や変質を伴うことなく今に続いている。
「臨検を断り、挑戦信号を出します。ドンパチになると思いますので、姫様は女王卵と一緒に中央隔壁内の防護カプセルへ」
ドランが促すが、リュミスは、尾を素早く振ってそれを断った。
「何を言う。戦士たちが巣を守るために戦うというのだ。女王代として、戦士を督戦するのが我の使命。妹だけ防護カプセルに退避させればよい。戦士よ! 我らが未来の女王のために戦え!」
リュミスが煽ると、リザード人は尻尾を立てて狂喜乱舞する。
十分に指揮が高まったところで、ドランは軍艦における戦闘信号に相当する挑戦信号を放ち、僚艦の〈碧竜〉に続くよう命じた。
銀河やブラック・ダイカン号の予想とはまるで違う形で、戦いが始まろうとしていた。
===another view end