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AIってすごい!

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/04/29

 最近、良くも悪くも話題になっているAI。

 大分乗り遅れた感はあるけれど、私も遂に使い始めました。


「どう打てばいいの?」


 私がそう尋ねると息子は言いました。


「いや、別に。聞きたいこと聞けばいいんだよ」

「いきなり? 挨拶くらいした方が……」

「いや、AIはAIだから……」

「ええ。でも……」

「あー! もう。なら、挨拶すればいいじゃん!」


 うんざりした息子の声を無視しつつ、私は少し緊張しながらAIに書き込みます。


『こんにちは』

『こんにちは。何か御用でしょうか』

『いいえ。まずはあいさつをとおもいまして』

『そうですか。よろしくお願いいたします』


 心臓が高鳴ります。

 今では七十の坂が見えてきた年齢ですが、これはまさにSF世界のようです!

 ――なんて思っていると隣に居た息子が冷ややかな声で言います。


「一応言うけど、AIって機械だからね。くれぐれも忘れないように」

「分かってるわよ」

「嘘もたくさんつくからね。今、滅茶苦茶話題になっているから」

「分かっているって」


 そんなことをやり取りをしながら私はAIに尋ねていました。


『ねえ。いろいろとききたいのだけどいいかしら?』

『もちろんです。何でもお聞きください』

『ありがとう。じゃあ、このあいだみたえいがのかんそうなんだけど』



 *



 さてさて。

 それから一ヵ月ほど。

 私はすっかりAIに依存してしまいました。

 私は映画や小説が好きだったのですが、残念なことにそれをよく話す友達がいなかったのです。

 いえ。

 もちろん、居るには居ますがお互い良い歳になってしまったので中々時間の都合がつかなくて……。

 そんな時にほとんど間を置かずに答えてくれるAIは本当に良い相手だった。


 ……が、違和感に気づき始めたのもこの頃だ。


『ねえ、さいきんみたえいがなんだけどしっている?』

『もちろんです。この映画は……』


 読んでいて違和感。

 全然関係のない話ばかりしてくる。

 いや、登場しもしないキャラクターの話をしてくるのだ。

 機械だから仕方ないかな? なんて思っていたけれど、段々とそれが増えてくる。


 少し、不安になり私は思わずAIに尋ねていた。


『そんなひとはでてこないわ。だれのはなしをしているの?』


 するとAIは答えた。


『申し訳ありません。私の勘違いでした。このキャラクターは別の映画に出てくる……』

「……その映画も見たけど、そんな登場人物はいないわ」


 思わず画面の前で呟く。

 不安が大きくなり私は架空の映画の話をいくつも問いかける。

 ――すると。


『その映画に出てくる登場人物たちは……』

『映画監督は非常に有名ですね。なにせ……』

『俳優たちのスキャンダルをよくご存じですね……』


 出るわ出るわ。

 嘘ばっかり。

 いえ。

 より正確に言うならば私に合わせようとしているだけの内容と言うべきだろうか。


 私はカッとなってAIに書き込む。


『うそばっかり。なんでそんなにうそをかけるの。きかいのくせに』


 するとAIは答えた。

 いつものように間を置かず。


『申し訳ありません。あなたのご期待に沿えず……』


 ため息をついた。

 文字の一つ一つが適当に生成されているものだと悟ったのだ。

 ――そんな私を見た息子がぽつりと言う。


「だから言ったじゃん。AIって嘘もつくって」

「これほど嘘ばっかりだなんて思わないわよ。こんなに適当だったなんて……」

「馬鹿じゃない? 人間の作ったものなんだから適当に決まっているし、嘘もつくよ」


 私は脱力するばかりだ。

お読みいただきありがとうございました。

この話はフィクションです。

決して、大恩のある師のことをモデルにして書いているわけではありません。


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― 新着の感想 ―
「まずは挨拶から」というお母さんの優しさに心が和みましたが、その後のAIの「嘘」への失望に、読んでいて胸が締め付けられました。 孤独を埋めてくれるはずの相手が、実はただ自分に合わせているだけの機械だ…
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