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Hint is circle.  作者: 天気そら
訓練の巻
9/13

初めは誰でもできるって勘違いする

神座(カムクラ)が笑いながら「じゃあな〜」と食堂を去って行った後、(スグル)が食堂にやって来た。

そして二人と合流した卓の突発的な提案により、誰がカレーを奢るかジャンケンになった。

カレーは一人前三百スズであり、三人前で九百スズだ。


「くっそぉ…」


天明(アマアケ)は泣く泣く金を払った。一番自信ありげだったのにもかかわらず、一人負けである。


そんなカレーを飲み物のような速さで食べ終わった天明は、卓のカレーに手を出していた。

それを受けて卓はXのカレーに手を出している。Xだけが得をしないサイクルの出来上がりだ。


(こいつら、失礼にも程があるな…)


「X、ちゃんと食べないと力出ないだあよ」


(お前のせいだよ)


Xは脳内でそう突っ込みながらも、「そういえば」とスプーンを皿の端に置いた。


「神座って奴、卓も知っているか?すごい良い奴で俺に協力してくれる…」


「か、神座!?」


卓はカレーを喉に詰まらせてゴホゴホと噎せ始めた。


「おい、卓どうしたんだよそんな焦って」


天明は卓に水を差し出すと、卓はそれを飲み干した。

そして口から水を垂らしたままXの肩を掴んだ。


「神座は、駄目だあよ!!

…神座は男も堕とすクズ男なんだあよ!!」


天明は「確かにあいつは俺に勝てないし…」と意味不明なことを呟き出し、卓はそこじゃない、という冷たい視線を送った。


「え?」


Xはキョトンとしたまま卓に口を拭けとティッシュを渡す。しかし卓は自分の服の袖でゴシゴシと口を拭った。まだ全て拭けていないが。


「Xは馬鹿狸二号なところがあるから、天明に惚れて…成人向けコースになっちゃうだあよ!」


いやらしい妄想が三人の頭上に現れる。

天明は「きもいな」と一言放ち、Xは顔を赤らめて「なんだこれ!」と叫んだ。


「あれ、Xと卓ちゃんだ〜」


「え、なんで…だあよ…」


卓がギギギと音を立てて振り返ると、黒い笑顔を浮かべた神座がいた。先程食堂を出たはずなのに…、と卓が言う前に、卓の目の前に拳が振り下ろされた。



°・*:.。.☆°・*:.。.☆°・*:.。.☆




「……そこまでしなくても、良かったんじゃ…」


Xは気まずそうに笑いながら卓の顔を見た。

卓はまんじゅうのような腫れた顔で残りのカレーを咀嚼している。

X、卓、天明の順番で並んでいるが、Xの隣には神座が座ってニコニコと痛そうにカレーを頬張る卓を見つめている。

天明は遠くから神座に「勝負勝負」と吠えている。


「卓ちゃん、君にはその腫れた顔がお似合いだよ」


卓が神座を睨んで無視を貫く。そうすれば天明は「酷いじゃないか♡」と言いながら長い指で卓の腫れた赤い部分をつついた。


「ぎゃぁーーー!!!痛い!痛いだあよ!!」


神座はXにニコニコと微笑みかけた。


「X、明日は俺が基本天術を教えてあげるよ」


「え、でも卓が…」


Xが横目で卓を見ると、神座は卓に「良いよね?」と黒い笑みを浮かべた。

卓は真顔で感情もクソも無い顔でコクコクと頷く。


「はい文句ないですXをどうぞよろしくお願いします」


「卓??」


Xが卓を見ると、卓はなんとも言えない顔で笑っていた。


「X、GOOD LUCK」


Xは知らない。自分がどんな可能性を秘めているかということに。

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