香水より洗剤の匂いの方がウケがいい
「俺たちチームだぜ!なあ卓!」
天明はXの両肩を掴んだまま頬を嬉しそうに染めて卓を見た。
笑う度に天明の七三分けで上げられた金髪がふわりと舞うように動いた。
天明は卓と違い、忍服と和服が混ざったような服装をしている。
「そう、そうだあよ…!」
卓も興奮している様子でふんすふんすと鼻を鳴らしている。
天明と卓に囲まれてベラベラと様々なことを話され、Xは右から左へと言葉を適当に流していると、卓は笑った。
「まあでも、良かったあよ。Xって変な人だったらどうしようと思ってただあよ」
ね?と卓は天明に同意を求める。
「そうだぜ、俺だって昨日このドブスといきなりチーム組めとか言われて…ほぼ初対面なのにだぜ!酷いよなあ」
天明がこのドブスと言いながら卓を指すと、卓はその指された指を真顔で一瞥し、「ハハ」と乾いた笑みを浮かべた。直後、指をあらぬ方向にグキっと一発曲げた。
天明の顔が痛みでピシリと固まる。
卓はそんな天明を空気のような扱いでXの背中を叩いて前の方向を指さした。
「X、訓練室にむかってるだあね?私と一緒に行くだあよ」
「おい待てやドブス!!」
後ろで指を曲げられた天明が涙目でそう叫ぶが、卓は「今日はなんだか愉快だあね」と子供の遊び声でも聞くように笑いながら話した。
Xが「あはは」と苦笑いしながら卓と同じ歩幅で歩く。
後ろで天明が「なんか指めっちゃ青いんですけど!」と丁寧な言葉遣いに直して文句を言っていると、卓は心底面倒臭そうな顔をして天明を睨んだ。
「自分で歩け、この馬鹿狸!!!!」
廊下中に響いたその声は、Xの耳にキーンと鐘のように響き渡る。そのとき、Xは失礼ながらに思った。
(こいつらと同じチームとか、大丈夫かな…)と。
「にしても、Xは何で反対方向の道歩いてただあね?
訓練室はこっちなのに…」
卓は根性のない天明を廊下の床に引きずりながら歩いた。
当の天明はそれもそれで楽だから良いらしく、されるがままである。
「ああ…それは、メテオラって奴に食べた分働けって言われて部屋を飛び出して道印が指す方向に歩いてたんだよ」
長い無機質な廊下を歩きながらXが言うと、天明はそれを聞いて「ガハハ」と笑いだした。
「お前マジかよ!馬鹿だな。本部の道印は敵が攻めてきたときその場所にたどり着けないように目眩しとして設置された道印だぜ?」
「うん、この馬鹿狸の言う通りだあよ。だから私たち戦士は本部の設計を頭の中に入れておく必要があるだあよ」
卓が微笑みながら教えてくれたおかげで、Xは「へぇ」と納得する(根本を教えてくれたのは天明だが)。
「さぁ、ここだあよ訓練室は」
卓が立ち止まったと同時に天明は引きずられていた卓の手を離して勢いよく立ち上がった。おしりを叩きながら「うし」と気合を入れている。
「これから気合い入れて行くぞ、卓、X!」
「うん!」
「あ、うん…」
エイエイオー!と三人が拳を空に突き出すと、それぞれの手が蛍光灯によって白く見えた。




