表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『億り人だった私、老後資金が底をつく前に異世界を救います』 〜今日も散財して召喚しまくってます〜  作者: talina
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/61

第31話 剣聖と将軍

 崩れた城壁の上。


 炎に染まる王都を背に、二人の男が向き合う。


 剣聖アルディオン・レイス。

 高位魔導士かつ無双の剣士ヴァルド将軍。


 かつて同じ師のもとで剣を学び、同じ夢を語り、同じ戦場で血を浴びた親友。


 今は、互いの国を背負う敵。


 瓦礫の間を、熱風が吹き抜ける。

 遠くで響く雷鳴。

 悲鳴と炎の爆ぜる音が重なる。


 だが、この場所だけは奇妙な静寂に包まれていた。


「先に言っておく」


 アルディオンが低く言う。


「手加減はしない」


「望むところだ」


 ヴァルドは剣を構える。


 炎が刃を包み、揺らめく。


「……俺はお前を止める。何があっても」


 アルディオンの口元が、わずかに緩んだ。


「そうでなくちゃな、ヴァルド」


 次の瞬間。


 ドンッ!!!


 地面が砕ける。


 二人が同時に踏み込んだ。



 金属がぶつかる。


 衝撃波が瓦礫を吹き飛ばし、周囲の兵士が立っていられずに転がる。


「ぐっ……!」


「はっ……!」


 刃と刃が噛み合い、火花が散る。


 重い。


 アルディオンの一撃は、まるで落下する岩山。


 ヴァルドの腕が軋む。


 だが押し返す。


「腕は鈍ってないな」


「そっちこそ……!」


 再び激突。


 斬撃が空気を裂き、音が遅れて追いかけてくる。


 二人の動きは、人の域を超えていた。


 見えない。


 速すぎて、残像だけが交差する。



 アルディオンの姿が消える。


「右だ!!」


 ヴァルドが反射で振り向く。


 ギィンッ!!


 背後からの斬撃を受け止める。


「相変わらず勘がいいな」


「お前の癖は覚えてる」


 鍔迫り合い。


 至近距離で視線がぶつかる。


「戻ってこい、アルディオン……!」


 ヴァルドの声が震える。


「まだ間に合う!」


 アルディオンの目が揺れる。


 だが次の瞬間、冷たい光に戻った。


「間に合わないから、ここにいる」


 力が弾ける。


 ヴァルドが吹き飛ばされ、瓦礫を滑る。



 アルディオンが剣を大きく引く。


 空気が震える。


 大剣の刃が音を吸い込み、周囲の音が消える。


「……来る!」


 ヴァルドが歯を食いしばる。


 アルディオンが踏み込む。


「ソニックブレード!!」


 振り抜かれた一閃。


 剣圧が衝撃波となり、一直線に城壁を抉る。


 石が消し飛び、空間そのものが裂けたかのような斬撃。


 ヴァルドは剣を構え、全魔力を刃に注ぐ。


 炎が蒼く変色する。


「うおおおおおお!」


 踏み込む。


「ブレイジング・イージス(ざん)ッ!!」


 炎の防壁を纏った反撃の一太刀。


 斬撃と斬撃が激突する。


 轟音。


 衝撃波が空へ弾け、雲が吹き飛ぶ。


 地面が放射状に砕け、周囲の兵士が吹き飛ばされる。


 全くの互角。


 両者の技は拮抗している。


 アルディオンの衝撃波の刃。

 ヴァルドの炎の盾を纏う斬撃。


 互いに押し合い、刃が重なる。


「ぐぅっ……!!」


「うおおおお!!」


 歯を食いしばる二人。


 足元の石が砕け、血が滲む。


 だが、どちらも退かない。


 ついに均衡が弾け、衝撃が爆散する。


 二人の体が逆方向へ吹き飛ぶ。



 土煙の中。


 アルディオンが膝をつく。


 口元から血が流れる。


「……はは」


 かすかな笑み。


「剣聖である俺に血を流させるとはな……やっぱりお前は、俺の好敵手だ」


 反対側。


 ヴァルドも膝をつき、肩で息をしている。


 腕が震え、感覚が薄い。


(重い……速い……やはり、奴の方が、剣の腕は一枚上手か……)


 それでも、立ち上がる。


「まだ、終わってない……!」


 炎が再び刃を包む。


 アルディオンも立ち上がる。


「当然だ」


 剣を構える。


「俺たちの勝負は、いつも延長戦だったろ」


 二人が同時に笑う。


 戦場の真ん中で、血を流しながら、親友だった頃と同じ笑い方で。


 だが次の瞬間、表情が敵同士のものに戻る。


 背後では王都が燃えている。


 炎と雷の光が交差する中、剣聖と将軍の激突は、戦場の中心を飲み込みながら加速していくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ