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靄①

「じゃあ、こことここ、問題解いてみて。しばらくかかると思うから、その間に俺は本山先生手伝ってくる。あ、解き終わったらこっちの応用問題もチャレンジしてみてな。中等部の数学って藤崎先生だろ?この辺まで解ければたぶん中間まではそれなりに解けるはずだから。」

しばらく勉強を見てくれた兄ちゃんが俺と紬に問題を出した。


「はーい」二人で声をそろえて返事をする。


もくもくと問題を解く紬。紬は俺より成績がよく、兄ちゃんの言うこともすいすい飲み込んでいく。

学年末試験も、悪かったといっても学年で20位くらいには入っていたはずで、正直、学力上は兄ちゃんに教わる必要なんてないはずだ。


「なによ。」考えながら、紬のことを凝視していたらしい。紬からいぶかしげな声が上がった。



「なあ、紬ってやっぱり、兄ちゃんのこと好きなの?」



まずい。慌ててとっさに考えていたことが言葉に出てしまった。


「え?」時すでに遅し。紬の顔はみるみる真っ赤になる。


「なんでそういう話になんのよ!」放課後も遅く、俺たち以外に人気のない図書室に紬の声が響き渡った。


「もう、私先生と結人さん手伝ってくる!」紬は図書室を飛び出していった。


ああ、もう。なんであんなことを聞いたんだ、俺は。

答えてくれるはずなんてないのに。

一瞬躊躇したあと、紬を追いかけることにした。

あれ、でも…「なんでそういう話になる」…?

てことは、好きな人は兄ちゃんじゃない…?


その時、

「きゃあああああ!」

叫び声が聞こえ、慌ててあたりを見渡す。

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