秒針は剣
秒針は剣、分針は鞘。
おさまるのは、重なった時だけ。
当然のことであるのだが、私はそれが恐ろしくてたまらない。
丸いガラス板は意識を映す鏡となる。
ならば、切り刻まれているのは私自身にほかならない。
それが、現在なのか、過去なのか。
仮に未来であった場合、私の救いはこの世界にはないこととなる。
この世に時計がある限り、私の救いはこの世界にはないこととなる。
世界には無数に時計があり――
せめてそれがデジタルであってくれれば――――
(私がバラバラになることはなかったのだろうか)
(ならばせめて安らぎは?)
「重なった時だけである」