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車内3

 電車が動き出した。それと同時に、全面に浮き上がっていた顔もすーっと消えていった。残ったのはボロボロの車内とユカ、そして男だけだった。

 二人は向かい合わせに座り、しばらく電車に揺られていた。ふとユカが口を開いた。

「あなたはどこから来たの?」

男は答えられなかった。気がついたら駅のホームにいて、様々なことに巻き込まれた。

「わからない。気がついたらここにいた。その前は家にいたと思う。」

男はなんとか口から言葉を出した。そうでもしなければ先程の恐怖が襲ってきそうだった。

「私は今までずっとお母さんの言うことを聞いてきたの。」

ユカはこれまでのことを男に話し始めた。

 物心ついた頃から母親の言うことを聞いてきたこと。父親の記憶はないこと。母親が大好きだということ。母親は自分のことをとても大事にしてくれているということ。先日9歳の誕生日だったこと。プレゼントは人形だったこと。

 本当にいろいろなことを話した。男は全てに耳を傾け、いつの間にかユカととても仲良くなっていた。だが男が窓の外を向いた瞬間流れたユカの涙には気づくことができなかった。

 そして、男が再びユカに向き直ったとき、そこにはフードを深く被ったマユリの姿があった。

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