表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

モノローグ

 


 自身の素性(すじょう)も知らないまま、あたしは日々を過ごしていた。


 神に(ひど)(しいた)げられる毎日。それが(おさな)(ころ)記憶(きおく)


 その神が、エンリルというお(えら)い神だったことは少女に成長する中で知ることになる。


 少女に成長した(ころ)には、自分が只者(ただもの)じゃないことに気づいていた。――だから、あたしは神に(ひど)い仕打ちを受けても死ななかったのだろう。


 (がけ)から落ちようと、大火傷(おおやけど)致命傷(ちめいしょう)を負ったとしても、あたしが死ぬことはなかった。時間経過(けいか)身体(からだ)()え、元に戻る。人間に(おそ)れられた。


 だから、時には神に見つかって拷問(ごうもん)を受けたりと色々大変だったけど、遠くへ行った。神の手の届かないトコを探して。(さいわ)い、()え死ぬこともなかったから。


 拷問(ごうもん)を受けた(さい)、少女へと成長したあたしに対して(よこしま)な考えを(いだ)(やから)(おそ)われそうになって、ソイツのことを(たた)きのめしてしまった。(われ)(わす)れて。やり過ぎたとは思ったけど、あのまま襲われてたらと考えたら不快(ふかい)過ぎて忘れることにした。――そうして、神の命令で拷問(ごうもん)をしたその男を叩きのめしてしまったあたしは、気づかれる前に逃げた。


 遠くへ何とか逃げ()びたあたしは、自然の中で、静かに長い時を過ごす。


 そうして、1000年がたった頃。あたしは生まれ育った国、ニップルに戻る決意をした。

 その途中、ウルという都市(とし)国家(こっか)で、アンリルと呼ばれる少年と出会う。

 空と風を合わせた名前を持つ彼は聡明(そうめい)で、優しい少年だった。


 彼は、あたしを人として(あつか)った。地位(ちい)権力(けんりょく)も持たない彼と、波長(はちょう)が合った。(はじ)めて、人というモノを信用(しんよう)した。


 そこで、初めて(だれ)かを失う(おそ)ろしさが、あたしの中に生まれてしまったんだ。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ