第7話 ジュナ
「驚かせてしまってすいません。」
目の前の小鳥が小さく頭を下げた。私は突然のことに困惑し、腰を抜かしてしまった。
「ジュナさん、と言ったかしら。あなた、鳥の獣人なのね。」
私の代わりに母が質問をした。
「は、はい。昨日はそっちの子に助けてもらって、お礼を言いに来たんです。」
「アキレア、私の娘よ。でもなんで私たちについてきても良いかなんて聞いたの?」
その通りだ。お礼を言うだけならまだしも、ついていこうとは普通思わないだろう。
「それは、たまたまアキレアさんたちが魔王を倒しに行く、と話しているのを聞いたのでもしかしたら役に立てるかもしれないと……」
おどおどとしながらも、目は強い意志を宿しているように見える。鳥の獣人なら役に立ってくれることもあるだろうと思ったが、私が何か言う前に母が先に口を開いてしまった。
「それはとても危険よ。気持ちは有難いけれど、」
「行かせてください!お願いします!」
ジュナの声が森に響き渡り、気がつけば少年の姿に戻っていた。彼はまっすぐと母を見ながら先を続けた。
「僕は、この森が好きなんです。でもここの皆は、友達は人間や他の強い動物に殺されてしまう。そんな中アキレアさんは僕をためらいなく助けてくれた。そんな人と一緒に旅をして力をつけてこの森を、皆を守りたいんです!」
ジュナは言い終わってからハッとしたように口を押さえ、視線を下に向けた。母は小さく笑い、口を開いた。
「そこまで言うなら、仕方ないわね。」
私は嬉しさのあまりその場で立ち上がって飛び跳ねてしまった。ジュナは信じられないといった様子で母を見つめている。
「ありがとうございます!お母様!」
「全く、行儀が悪いわよ、アキレア。……ジュナさん、これから大変になると思うけれどしっかり自分の役目を果たしてこの森のみんなを守れるようになるのよ。」
「はい!本当にありがとうございます!」
ジュナは母からの言葉を見に染み込ませるかのように何度も頷きながらそう言った。
こうして、私たちは三人で魔王討伐への道のりを歩くこととなったのだった。
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