第6話 獣人?
「ん~~」
私は大きく伸びをし、目を覚ました。まぶしい朝日に目を細める。昨日の小鳥はいなくなっていた。
「大丈夫かな……」
「どうかしたの?」
後ろを向くと母が立っていた。
「お母様、おはようございます。実は昨日の夜小鳥を助けたのですがいなくなっていたのでつい……」
私は辺りを見渡しながら言った。明るく緑が映える森に、昨日助けた小鳥の影はない。落胆していると、母がそっと肩に手を置き、「動物だもの、仕方ないわ。」と言った。私は小さくうなずき、微笑み返した。
「それはそうとして今日はどうしましょうか。まず行くのはオリーブ国だけどアキレアが少しゆっくりしたければ出発は明日でも良いわよ。」
「いえ、できるだけ早く魔王に近づきたいのでもう出発しましょう。身支度は完了しています。」
「そうね、アキレアがそう言うのならそうしましょうか。」
私と母が立ち上がったその時だった。
「あ、あの、それって僕もついて行っていいですか……?」
聞き覚えのない声が聞こえ、1人の少年が姿を現した。肩まで伸びた薄い黄色の髪に、羽のような形をしたものが頭の上に2つついている。
洋服は袖のない上着に短いズボンで、幼い雰囲気を漂わせていた。
「えっと、あなたは?」
私は少し当惑しながら彼に問いかけた。
「あっ、えっとジュナって言います。あの、昨日は本当にありがとうございました!」
ジュナと名乗った彼はペコリと頭を下げた。何の話かさっぱり見当がつかない。
「ひ、人違いじゃないかな?」
「えっ……」
ジュナは驚いたような顔をし、目を泳がせた。
「あっ、そっか昨日は……」
何かを理解したような声を上げ、次の瞬間ジュナが明るく光り輝いた。思わず目を伏せてしまったが、小さく母が声を上げるのが聞こえた。薄く目を開けたとき私は思わず息を呑んでしまった。
そこには美しい小鳥、昨日私が助けた小鳥がそこにいた。