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第31話 勇者ボルテックス2

「ボルテックス様。中央大陸が見えてきましたよ。」


「ああ。だけどマチルダ。あそこに魔王はもういない。あそこにいた魔王は俺達が倒してからな。これから南に移動して、次の魔王の場所を探すのが今回の俺達のミッションだ。」


「まだ船旅が続くんですか~。アタシもう船旅は飽きちゃった。」


「ははは。しょうがないだろ。それに・・・船旅もなかなか楽しいだろ?」


「・・・もうボルテックス様ったら。今日もお部屋に行っていいですか?」


「ああ。待ってるよ。」


マチルダは顔を赤く染めたまま、ボルテックスの傍を離れて行った。


「ボルテックス。程々にしろよ。」


「なんだガウラスか。お前だってサリーとよろしくやってるじゃねぇか。」


「俺は鍛錬もちゃんとやってる。感が鈍るからな。お前は鍛錬もせずにずっとイチャイチャしてるだろう。」


「船を降りたらちゃんとやるさ。マチルダにレベリングを頼まれてるからな。マジカルシュートはどうした?」


「相変わらず部屋に籠って魔法の研究してるよ。」


「アイツには船旅は最高の時間だろうな。」


(ローズマリー程じゃないが、マチルダもかなり良い女だったな。ミュラへの求婚が魔王の登場で流れたのは痛かったし、ローズマリーに逃げられた時はどうなるかと思ったが、悪くないな。魔王を倒したらローズマリーもミュラも俺の者になるって考えれば差し詰めマチルダは前菜か?逃げ場もないし、迫れば喜んで受け入れたからな。ガウラスの方もサリーと良い感じになってる。その点はレイドールがいなくなっていい感じにまとまったな。アイツはその辺うるさかったからな。)


ボルテックス達を乗せた船は、中央大陸を南下していき、探索を開始した。


「ここからは気を付けろよ。サリーは周囲を注意してくれ。俺とガウラスが後に続く。後ろはマジカルシュートとマチルダだ。何心配しなくても魔物は俺の敵じゃない。気楽にいこうぜ。」


(俺とガウラスとマジカルシュートはレベル100でカンストしてるから魔物を倒してもこれ以上強くなることはない。中央大陸の魔物は俺達と同じレベル100クラスばっかりだが、俺達の職業である勇者、剣聖、賢者は最上級職だ。レベル100だろうと相手にはならない。サクッと魔王の城を見つけてミッションを終わらせるか。まあ魔王が強いと言ってもあの時の強さぐらいなら、聖獣の珠を持つ俺達とサリーとマチルダがいればなんとかなるだろう。)


ボルテックスの思っていた通り、中央大陸に出てくる魔物は、ボルテックス、ガウラス、マジカルシュートの3人で容易に倒す事ができた。マチルダにサリーはレベルがまだ60程しかなかったが、ぐんぐんとレベルを上げて行った。


そして・・・


「ボルテックス様。あっちに城がありました。」


「本当かサリー?」


「はい。」


サリーが見つけた場所を見に行くと、前回見た魔王城と似た城がそびえ立っていた。


「ボルテックス?」


「ああ。まちがいなく魔王城だろうな。」


「戻るのですか?」


「いやどんなヤツか確かめてみてもいいだろう。」


「お、おい大丈夫なのか?レイドールの野郎はいないんだぞ?」


「ガウラス。俺達は前よりも強い。そうだよなマジカルシュート?」


「ああ。それは間違ってない。」


(あの時はレイドールが前に出てただけで俺達が弱かった訳じゃない。そうだ。俺は勇者だぞ。魔王なんかに負ける訳ないじゃないか。どうして今まで気づかなかったんだ。レイドールが強かったんじゃなくてアイツが前に出て出しゃばってただけじゃないか。考えてもみろ。魔王城周辺の魔物に対して俺は苦戦したか?俺の技もガウラスの技、マジカルシュートの魔法だって普通に効いていた。俺達はレイドールに騙されてた。そうさ。そう思えば今までの事だって納得だ。よしそうと決まれば。)


「なら問題ないだろ。別に魔王に恐れる必要なんてない。俺がいれば大丈夫だ。」


そして、ボルテックス達は見つけた魔王城に乗り込んだ。道中に出てくる魔物は気を良くしたボルテックスが得意の雷魔法と勇者の剣技で倒して行った。


そして・・・



「クソッ!!あそこでMPが切れなけりゃ魔王を倒せたのに。」


「何言ってんだ。あれだけ攻撃を受けりゃマチルダだって回復するのに手一杯だぜ。」


「ガウラスの言う通りだ。戦略的撤退というヤツだな。だが、ボルテックスの言う通り魔王城に乗り込んだのはよかった。おかげで私達に足りないモノがわかった。」


「ああ。タンクだな。」


「その通りだ。」


(そうだ。俺は負けたんじゃねぇし逃げ出したのでもねぇ。今回は魔王の捜索だったから、ちょっと顔を見ただけだ。そうだそうだ。)


魔王城の中を進んだボルテックス達は、順調に魔王城の中を進み、魔王のいる間へと辿りついた。魔王との戦いになりボルテックス達は攻撃を仕掛けるも魔王にはあまり効いていなかった。


ボルテックス達は攻撃が次々に当たるので、魔王を倒すのも時間の問題だと思っていたが、実際の所はファーラミストを倒した者達に興味を持った魔王アルフェンがただただ、ボルテックスの様子を見ていただけだった。


ゲームで言う所の、『魔王はずっと様子を見ている』の状態だ。


その内、ボルテックス達のMPがなくなった所で、魔王は一つの魔法を放った。その魔法によりボルテックス達は瀕死になり、撤退したのだ。


それを、タンクがいれば魔王の攻撃も防げたし、あれは魔王がヤバくなったから放った魔法で、あれさえ耐えていれば魔王は死んでいた。と解釈したのだ。


もちろん撤退などという事実が広まれば勇者の名に傷がつくので、魔王城を見つけたので戻ってきたとボルテックスは報告していた。


魔王との力の差がわからない勇者ボルテックスの冒険はまだまだ続く。

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