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第30話 猿の聖獣エンキとファンドラへの帰還

東大陸の中でも最大と言われているダンジョン、キュービダンジョンの地下60階にレイ達はいた。キュービダンジョンの最高攻略記録は地下52階だ。レイ達はその記録を大幅に更新していた。


それは歴史的快挙であり、地下60階で倒したヒュドラのドロップ品を持ち込めば、一躍有名になる事間違いなしだ。


だが、地下60階はキュービダンジョンの最下層ではないみたいだ。レイ達の前には下に降りる階段がある。つまりそういう事だろう。そして、階段の横にある聖獣の珠。レイはフェニクの時と同じように聖獣の珠を手に取る。


すると・・・


聖獣の珠は光輝き、光が収まると、そこには可愛らしい猿のぬいぐるみのような体調80㎝程の猿がいたのだった。


「お主が青龍様の言っていた聖獣マスターであるな。吾輩の名はエンキという。吾輩はこの世界で散々利用されるのにうんざりして青龍様にお願いして自らを封印してもらったのであります。ここまで来るお主の実力と4体の聖獣と契約してる人柄。お主はおもしろそうであります。。いや契約するのにお主では失礼でありますな。レイ殿。是非吾輩と契約してくだされであります。」


青龍様は俺なら契約は大丈夫って言ってたけど、言葉通りすんなり契約で来たな。エンキか・・・どんな能力なのか気になるな。


「エンキよろしくな。それでエンキと契約するとどうなるんだ?フェニクの場合は俺が一度死んでも生き返る瞬間蘇生のスキルを覚えた。お前にもあるんだろ?」


「もちろんであります。吾輩と契約した者は、普通よりも魔法がたくさん使えるようになるであります。簡単に言えば消費MP節約のスキルであります。だいたい2割程少ないMPで魔法が発動すると思うであります。吾輩は猿の賢者と呼ばれておったのでな。魔法の扱いならまかせてくれであります。」


魔法か~・・・ミストと役割が被るな・・・。てか口調がかなり独特だな・・・まあそれはしょうがないし気にしたら負けか。消費MP節約は助かるな。転移魔法しかり極大魔法しかり、強くて便利な魔法はMPの消費が激しいからな。それにこれで俺の能力は聖獣2体+神獣様の加護で、2.1倍になる。今の俺のレベルが90だから2.1倍でレベル189相当の力を手に入れた。


ボルテックスと同等の力を手に入れた事になる。マリーもレベル95になった。ボルテックス達のパーティと比べるとまだ俺達の方が弱いだろう。だけど、キュービダンジョンの攻略記録更新に加えて、勇者並みの力を得た俺と、回復だけじゃなく攻撃と支援もこなすマリー。きっと可能性を示す事ができるだろう。


このダンジョンはまだ先があるようだが、とりあえず一旦帰還だな。ボルテックス達も戻ってきてるだろうし、その時の情報も気になる。アイツらが次の魔王を倒せるかどうかはわからないが、俺なら中央大陸にも転移でいけるからアイツらとは別で魔王の所に乗り込む事もできる。


時間はあるようでないが俺が強くならないとキュビ達を助ける事はできない。今は素直に新しい力を手に入れて新しい仲間、エンキが増えた事を喜ぶとするか。


「よろしくね。エンキちゃん。」


「俺様が先輩だからな。」


「よろしくおねがいするであります。」


地下60階で聖獣を仲間にする目標を2か月以内で達成したレイ達は、帰還魔法を使いダンジョンから帰還した。そしてその後、一日ゆっくり休んで疲れを癒したレイ達は転移魔法でファンドラへ移動した。


ファンドラに移動したレイ達は、ファンドラが活気に包まれてるのを肌で感じた。


「なんかすごい活気にあふれてるわね。」


「そうだな。何かあったのか?あっそうかボルテックス達が戻ってきたからじゃないか?アイツら中央大陸に魔王の調査に行ったんだろ?無事に戻ってきたからお祭りみたいになってるんじゃないか?」


「なるほど。たしかにそうね。でも魔王を倒した訳じゃないのにいいのかしら?」


「まあ不安を抱くよりよっぽどいいだろ?それよりここにはボルテックス、マジカルシュート、ガウラスがいる。いくら俺達の見た目が変わってるからって気づかれたら困る。バレないように行動するぞ。フェニクもエンキもな。聖獣なんて見つかったらそこから俺の存在が伝わるかもしれないからな。」


「わかってるぜ。」

「承知したであります。」


「それでどうするの?城の中にボルテックス達がいるかもしれないわよ?」


「だよな~。王様とも約束があるし行くには行くんだが、正面から行って鉢合わせするのはまずい。かと言って何度も侵入するのもな~・・・」


「なら吾輩にまかせるであります。吾輩は遠話の魔法が使えるであります。これは、話したい相手を思い浮かべるだけで遠くにいても話す事ができる魔法であります。これを使えば大丈夫であります。」


「遠話の魔法・・・ミスト?そんな魔法があるのか?」


「うむ。たしかにあるぞ。」


「なんだミスト。そんな魔法があったなら最初から教えてくれよ。それがあれば始めに来た時も苦労しなかっただろ?」


「すまん。すっかり忘れておったのじゃ。」


まあ今更ミストに言ってもしょうがないか。全てを魔法を知ってるとは言っても、魔法の数も多いからそういう事もあるか。


エンキから遠話の魔法の存在を教えてもらい、ミストが使えるという事がわかったので、レイは魔法を使ってミュラにコンタクトを取ったのだった。

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