とても賑やか
初めて投稿しています。
更新頑張ります。拙い部分も目に付くと思いますが、気長に見守って頂けると喜びます。
木の精霊との話が一段落付いたところでふと気になったので尋ねてみる。
「そう言えば精霊って何人?で良いのかな。どのくらいいるんだい?」
〖この星に存在する物質の数だけはいるだろうな〗
〖さらに細分化した固有の眷属もいるわよ。火の精霊のところの炎とか〗
「そ、そっか…みんなを呼ぶ時不便だから名前を聞いておこうと思ったんだけど、それを覚えるのは無理そうだ」
〖気持ちは有難いが、俺らはその気持ちだけで十分だ〗
〖そうね。もしあなたが名付けてくれるのならその名前を聞いてみたいけど、今さら変えたらみんな混乱しちゃうわよ〗
〖まぁ、精霊をあえて分類するなら上位、中位、下位と分かれておってな。それぞれに眷属や相性があると思っておれば良い。上位、中位、下位も能力で分かれてる訳でも無く、元を辿るとそこに行き着くという意味の分類なのでな〗
〖またそんな適当なこと言って…上位から派生して誕生して来たのだから上位が1番古株の精霊になるのではないですか。上位の皆様にはその威厳を持ってもらいたいものです〗
〖っと、色々ややこしいけどよ、お前さんは気にする必要は無い。好きに付き合ってくれや〗
〖付き合って行くうちに呼び方なんてどうでも良いって事に気がつくじゃろうしな〗
〖アタシらはそれで良いけどアンタの事はなんて呼べばいいんだい?〗
「あ、そうだ先に名乗るべきだったね。俺は城という名前なんだけど…街に行った時にこの響きだと違和感がありそうだと感じてたんだ。なので、ルークと名乗ることにした。よろしくね。みんな」
〖ルークか良い名じゃねぇか。ジョーも響きとしては悪く無いけど、固有名詞としては馴染みがないかもな〗
「うん。街の人達の雑踏の中、呼び合う様子を見た時にここの人達の名前はいろいろ聞けたからね。ルークも城を別の言葉の呼び方に直した意味なんだ。城や塔という意味の言葉だよ」
〖ほー。あちこち渡り歩く儂らでも聞いた事の無い言葉と意味じゃな〗
「あぁ…俺はこの星の生まれじゃないからさ。とても似た環境ではあるけれど、別の星の出身なんだよ」
〖!?〗
〖…すげぇ話を聞いたもんだ…〗
〖星を移動するなんて聞いたことも無い〗
〖アンタ何者なんだい?いや、違う星の出身以外の部分でさ〗
「星どころか多分、時間という概念も飛び越えてここにいるんだ。でも、俺はただのルークだよ。それで良い」
〖まぁ儂らもただの精霊だ。それで良いと過ごしておるからな〗
〖ああ細かいことはどうでも良い〗
〖わたしはただこの人の綺麗な魔力に触れていたい。それだけで幸せ。他のことはどうでもいい〗
「俺も君たちの素性はどうでも良いよ。こうして話している今が全てだと思う」
一様に頷きあって笑いが零れた。
「さて、じゃあ作業の続きをするよ。日が暮れるまでには形にしておきたい」
〖分かった。この後は何をするんだ?〗
「畑や果樹を植えるスペースを作ろうと思う」
〖なら土だな。おい土の〗
〖言われなくても分かってるわよ。ルーク一緒に行きましょ〗
「来てくれるのか。分かった。よろしくね」
そして予定場所に移動する。
何故かみんな着いてきたけど。
「この辺から広げてあの辺までを畑に、対角のスペースを果樹園にしようと思う」
〖なるほど。で、方法は?〗
「やりながらで良いかな?魔力をこうして広げて…先ずは地質を調べる。その後、上に広がる草は素材として回収させてもらってと。で、こうして耕しながら土の中の植物にとって有用な物質を均等に配分していく。って、こんな感じだね」
目の前に広大な畝と畦がみるみる広がる光景に目を丸くしてポカンとした顔を浮かべている精霊達。
(あ、うん。このリアクションが見れただけでも魔法でやって良かったって思うな)
〖非常識だわ…〗
〖魔法なのは分かる。でも、何の魔法を使うとこうなるんだ?まるで見当がつかねぇ〗
〖土魔法で土の形を変形させて工事したり、畑の土地の下拵えをすることはあるけど、なんでこの土達はこんなに喜んでるのよ…早く何かを育てたいって気持ちで溢れているわ〗
「そっか。土も喜んでくれてるんだ。早く種を用意しないとね。じゃあ、果樹園も済ませてしまおう」
同じ工程だがこちらはしっかりと根が張れるように深く耕しておく。
〖なんて心配りをしやがる。こんな土地に今何も無いのが勿体くて仕方ねぇじゃねぇか…〗
「残念ながら今日この星に来たばかりなんだ。あいにく手持ちが無くてね。これから森の中や街の方でいろいろと育てる物を探そうと思ってる」
〖今この瞬間が惜しい。俺の予想通りなら…いや、今はいい。森の中なら俺達の庭だ。出来るだけ早く見繕ってやる〗
「あ、それは嬉しいな。よろしくね」
〖で、まだ他にやることはあんのかい?〗
「次は水だね。何時でも魔力で生成出来るんだけど、せっかく綺麗な湖があるのだからそこから引こうと思う。あの湖を汚したく無いから排水や排泄物なんかは魔法で処理してしまおうと思ってるけど。あの湖の水が天候で不足するようなら湖に雨を降らせるよ」
そう言いながら畑から湖に向かって歩き出す。
またみんなで付いてくる精霊達。
…歩くのに邪魔にならないようにって考えると地下かな。
湖の中、底の部分にろ過機構を加えた水道のトンネルを作ろう。
湖底からの水路なのでこちらの方が高い取水位置になってしまうけど、簡単なポンプの原理で水の必要量に応じて自動で動くように魔力で固定してしまえば良い…
〖おい土の〗
〖何?〗
〖ルークは何してんだ?ただ歩いてるだけじゃあねぇだろう?〗
〖歩きながら足を通して地下に何か作ってるみたいよ。もう驚き疲れたわ〗
〖まったくだな…〗
そんな精霊達の思いに気付くことなく作業を進める俺だった。
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