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武人とゲーマー  作者: 亜麗(あれい)
8/13

教会の食卓

「ふんふふ~ん♪」


「…機嫌いいな、メル」


 フライパンで刻んだ玉ねぎと豚肉を炒めていると、メルが茹でたジャガイモをへらで潰しながら楽しげに歌っていた。


「お料理が楽しくって〜」


「ふぅん、そりゃ良かった」


「ふふ~ん♪じゃがいも潰して~マッシュポテト~♪」


「そうだな」


 ご機嫌なメルを適当に対応する。


「ねね、カミラちゃんは何作ってるの〜?」


 レイチェルがカミラに問いかけた。


「コンソメスープですよ、軟骨とその周りについているお肉とを一緒に煮込むんです」


「へえ〜、そうなんだ~」


 レイチェルは、興味深そうに鍋を見つめる。


「なあレイ兄、ソースってこれでいいんだよな?」


 今度はハチが俺に問いかけた。作ったものは、牛乳とサワークリームと炒めた野菜を使ったソースの様なもの。


「…お、上手くできたな、んじゃあ次はこっちを手伝ってくれ」


「りょーかい」


 丁度炒め物が完成してメルがジャガイモを潰し終えたので、潰したジャガイモに水と小麦粉を混ぜる。そして、メルとハチとの三人で炒めた物を包んでいく。

 …と、玄関の扉が勢いよく開けられる音が鳴った。


「いいにおーい!」


「ごはーん」


 見ると、子供たちがドタドタと音を立てながら廊下を走っていた。


「こらー!さわがないの!」


 次に入ってきた少し年上の少女が、小さい子供たちを叱りながらこちらへ向かって来た。


「もうすぐ出来上がりますから、手を洗ってきてくださいね」


カミラは子供たちに向けて、手を洗うよう促した。


「「はーい!」」


 子供たちは返事をして、洗面所のほうへ向かった。




「では皆さん、神に感謝して頂きましょう」


「「いただきまーす!!」」


 子供たちは楽しげに、次々に料理を口に入れてゆく。


「おいしー!」


「おいしいねー」


 二人の子供達はそう言って、満足気に笑い合っている。


「じゃがいもの中に肉団子を入れるなんて、中々凝ってるね〜」


 レイチェルが肉を詰めたじゃがいもをフォークで刺しながら言った。


「メルが詰め物が好きなんで、子供たちも喜ぶかなとか思って」


「…あれ?私、子供扱いされてる…?」


「うん」


「もー!隠す気くらい見せてよー!」


 俺の二の腕をしっかりと掴み、片頬を膨らませながら怒る威圧感の欠片もないメルが、俺の体を揺らす。


「はいはい、ごめんごめん」


 それをなだめながら、肉を詰めたじゃがいもをメルの皿に一つ置く。


「はい、お詫び」


「いいの?!」


「おう」


「やった!」


 凄く喜んでフォークを手に取るメル。

 …そういうところなんだけどな。


「なら、俺のを一個レイ兄にやるよ」


 次はハチが俺に肉を詰めたじゃがいもを渡そうとする。


「いや、良いよ。たべとけ食べとけ」


「えっでもよ」


「いいんだよ、お前らがたくさん食べる方が俺は嬉しいぞ」


「…そっか」


「大人だね〜レイくん」


 からかうような笑みでレイチェルが言う。


「その笑みムカつくんでやめてれませんか」


「……そういう所は子供っぽいんだね〜」


 落差に可笑しくなったようで、レイチェルは軽く笑い、横にいたカミラもそのやり取りを見て、微笑んでいた。

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