教会のお手伝い
「倒したデビルボアってどうなるんだ?」
デビルボアを討伐して、組合に運び込み依頼達成したところで、疑問に思ったことをぶつけた。
「ん〜?組合の方で生態の研究や、服や薬の開発とかに使われるよ〜。ほら、受付の横にいろいろ売ってるでしょ〜?」
「あ、ほんとだ」
「売ってるものは全部、組合に納品されたものを使ってるんだ〜」
「へえ」
見ると、様々な種類の衣服や薬品等が並んでいる。
「さて、最後の依頼は孤児院のお手伝いだね。家事や子供たちのお世話をするよ〜」
「たのしそう!」
メルが活気のある声で飛び跳ねた。
◇
「やっほ〜子供たち〜」
「あ!レイチェルちゃんだ!」
組合の近くにある教会の庭で、子供たちが楽しく遊んでいた。レイチェルが声を掛けると、子供たちは集まって来た。
「レイチェルちゃんがオトモひき連れてるー!」
「お供じゃないよ〜、この人たちがお手伝いしてくれるんだ〜」
「レイチェルちゃん!いっしょにあそぼー!」
一人の少女が勢いよくレイチェルに飛び込んだ。
「ごめんね〜、今日は遊びに来たんじゃ無いんだ〜」
「ええー!」
「ほら、あんまりレイチェルちゃんを困らせちゃダメだよ」
子供たちの中でも年齢が高い、中学生くらいの少女がレイチェルの腕の中にいる少女をなだめた。
そんなこんなしていると、修道女の格好をした若い女性が庭の奥からやってきた。
「あら、今日は試験ですか?」
「そうだよ〜」
「神父様もお呼びいたしますね」
そう言って修道女は、教会の中に入って行った。しばらくすると扉が開き、中から神父の格好で歳を召した男性と一緒に修道女が出てきた。
神父は、レイチェルを見る。
「レイチェルか、調子はどうだ」
「もう絶好調〜」
レイチェルはそんな事を言って、少女の頭を撫でている。
「そうか…」
神父と修道女はこちらを向いて、腰を折った。
「私はクリフだ、よろしく頼む」
「私はカミラと申します。よろしくお願いしますね」
「あ、俺はレイと言います。こっちはハチで…」
「はいはいっ!メルメルです!」
「まあ、えっと…迷惑かけるかもしれませんが、よろしくお願いします。」
「いえ…ふふっ、賑やかになりそうですね」
「まったくだ」
カミルは微笑んで、クリフは無愛想に溜め息を付いた。
「では、さっそく手伝って貰いたいことがあるのですが…まずはこちらへ」
「私はこの子達をみてないとね〜。クリフおじさんは、子供たちを見ときなよ〜」
「老人は労らないか、まったく」
愚痴を言いながらも、しっかり子供たちを見ているクリフを残して、教会の横に建っている平屋の中に入り、居間に案内された。
そこで、カミルが口を開く。
「これから昼食を作る所なんですが…何分、人数が多いものですから…お手を貸してもらいたいんです」
「なるほど、わかりました。…ハチとメルは、料理をしたことは?」
「お料理は得意だよっ!」
「手伝いなら何度か…」
腰に手を当て胸を張るメルと、手伝いの経験はあるというハチ。
「まあ、惨事にはならなさそうだな」
「では、何を作りましょうか…」
「食材は、どんなものがあるんです?」
「ジャガイモに豚肉、チーズやバジルとかもありますね」
「じゃあ、ジャガイモを潰して、刻んだ豚肉にでも包みましょうか」
「それは、美味しそうですね」
こうして、料理の手伝いが始まった。