アバター
『アバターを作成してください』
頭の中に響く声とともに、前髪で目が隠れていて襟足が首まである様な、自分の姿がインナーを着た状態で目の前に立っていた。これを言うと身も蓋もないが、相変わらずパッとしない姿である。
「さてどうするか…」
まずは種族選択からだ。
獣人、エルフにドワーフ、数え切るには少し時間がかかるほどの種類があった。どうやら種族ごとに能力の違いがあるようだ。
俺はその中で人間を選んだ。
次は体の変形と名前決め
手元には骨格や体型の微調節できるコマンドやら、肌や髪や瞳の色を変えられるパレットやらが置いてある。
試しに身長を高くしてみようか。…おお、高い
「すごいなこれ」
だんだん楽しくなってきて、目の大きさを変えたり、髪の長さを変えたりと色々いじってみた。しかし
「やっぱ元の体が一番だな」
そう感じて、右下にあるリセットボタンを押した。
とはいえ、どこかは変えたほうがいいか、うーん
「髪色とかかな」
何色がいいだろうか。
赤、青、紫、白…
あ…
「そういや俺の名字「灰原」だし、灰色にしようか」
少し安直な気がするけどまあいいかな。
というわけで髪の色を灰色に変更する。
ついでに瞳の色も灰色にしよう。
「あとは名前か」
これは素直に「レイ」でいいかな。
次にスキルの選択
全部で3つ、すべてが自身の素質となる固有スキルというもの。
スキル一覧表にはずらりと数え切れないほどスキルが並んでいる。
だがカテゴライズされているので見やすくはある。ここでプレイスタイルが決まるわけだ。
「プレイスタイルか…」
そういえば桜はどうしているのだろうか。アイツのことだから魔法使いは確定なんだけど。
「そうだな…」
どうせなら桜を活かせるような構成にしよう。となると支援系統かな。
「お、これとかいいかも」
『支援上手』
バフ効果が上昇する(小)
他にも色々なものがあり、限定的だが効果の高い物から、効果は薄いが汎用性の高いものまでたくさんのスキルが並んでいる。
「うーん…中途半端なのはだめだよな。…よし」
決めたスキルはこの3つ。
『支援上手』
バフ効果が上昇する(小)
『魔力支援』
魔力に関連するバフ効果が上昇する(中)
『寄与貢献』
自身以外に対するバフ効果が上昇する(中)
「よし、これでいいか」
最後は装備決め。
剣や槍、杖や斧などたくさんの武器が選択できる。
俺は無難に剣を選んだ。
服装もフードにコートに革靴といった、旅人のような服装に決めた。
「これでよしと」
『アバターを決定しました。リベルタス・オンラインへようこそ』
響く声とともに、俺は光に包まれた。