暇ができた武人高校生
「よう、麗」
「あ、父さんただいま」
道場を入ると、父親である灰原 透が出迎えてくれた。
「麗兄やっと来たか」
「何かあったの?」
連と楓が、脇から近づく。
「ごめん、花織からヘッドギアとLOのソフトを貰ってな」
「諸々は、私が買ったんだがな」
俺の言葉に、父さんが補足する。
「へえ、麗兄がLOやるのか」
「…じゃあ、私もやろうかな」
「いいじゃねーか、みんなでやろうぜ!」
楓の呟くと、飛びつくように連が提案した。
「いいんじゃない?あ、でも俺すでに桜から誘われてるんだよな」
「えぇー!そうなの!?」
「うん」
俺の言葉に、楓はショックを受けたかのように聞き返した。俺はその問いに肯定する。
「じゃあ一緒にLOやるとかは…だめそう?」
そう言って、楓が不安げにこちらを見上げた。
「大丈夫だとは思うけど…ちょっと聞いてみるわ」
ポケットに入れていた携帯を取り出し、電話をかける。
『れい君どうしたの?』
「父さんからヘッドギアとLOを買ってもらって…」
『ほんと!?』
俺が言いかけると、桜は食い気味にとても驚いた様子で聞き返す。
「それで連と楓もやりたいらしんだけどいい?」
『良いよ!むしろ嬉しい!』
「良かった、ありがとう。じゃあまたな」
『うん!またね!』
別れの挨拶を済まして、電話を切る。そして、連と楓のほうへ身体を向けた。
「大丈夫だって言ってた」
「やった!」
「良かったあ」
連は喜び、楓は安堵の表情を浮かべた。
…ふと気づく。
「あれ?父さんは?」
「えっと、なんか道場を出てったんだけどよ…」
「連!楓!」
そんな話をしていると、道場の扉が開いた。両腕には、段ボールが2段重なって抱えられている。
「これをお前らにやる」
「…え?これって」
父さんが連と楓に渡したものには見覚えがあった。
「まさか3台買っていたとは…いや、まさかではないか」
正しく、ヘッドギアとLOのソフトが入った段ボールだった。
「いいんですか!?」
楓は驚いた様子で父さんに聞く。連は呆れていた。
「はっはっは!そろそろ金を使おうと思っていたところなんだ、気にするな」
父さんは豪快に笑いながらそう言って見せた。
「いや、気にするってーの」
「今度お礼させてください!」
「なに、私の息子と遊んでくれれば礼などいらぬよ」
連と楓の言葉にそう言って、笑顔を見せる。
「あ、そういえば、花織の分は買ってんの?」
「当たり前だろ、ただプログラミングに夢中でな、納得の行くところまでやるそうだ」
「あー…数日はかかるな」
「私もそう思ったよ!はっはっは!」
あいつ、一度やり始めたことはとことんやるからな…。
「さて、これから稽古と行きたいところなんだけど…」
早くLOを遊びたそうな顔してんな。父さんもそれを察して口を開いた。
「今日はお前たちは解散でいいだろう、たんと遊んでこい」
「稽古は明日からでも遅くないしな」
「そうだな…よし!なら早く帰るか」
「透先生ありがとうございました!麗先生またです!」
「おう、気をつけて帰れよ」
そうして、連と楓は身支度をして急いで帰っていった。
「よし、俺も準備するか」
「麗、夕飯時までには降りてこいよ」
「わかってるよ、んじゃ」
道場を出て自室に戻り、机に置いた段ボール箱に向かう。
「よし!開けるか」
段ボール箱のテープを剥がし、ヘッドギアとカセットケースを取り出す。
「まずは説明書を見ないと」
なにぶんこの手のゲームは初だから、少しは知識を入れとかないと少し怖い。
「えっと?電源ボタンがここで…カセットはここに入るのか…で、充電ケーブルはここに挿すと」
説明書を読みながら、着々と準備を進めてゆく。
「電源を入れて目を瞑るとフルダイブ出来るのか」
更に読み進める。
「お、スマホと連携したら、連携したスマホの機能をつかうことが出来るのか」
要はチャットアプリや検索エンジンとかが使えるということか…とても便利だ。
「じゃあ早速」
早速ケースからLOのカセットを取り出す。
「やってみよう」
ベッドに座り、ヘッドギアにカセットを挿し込み、電源ボタンを押して頭に被る。
「楽しみだな」
少しの胸の高鳴りを覚えながら、目を閉じた。