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男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される   作者: 山口三


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48/52

連行


「私の父が殺人犯・・?」

「そうよ! 私が調べたんだから間違いないわ! あんたに幸せになる資格はないのよ!」


 ショックを受けて青ざめる沙耶を見て馨は立ち上がった。


「そこまでだ」そしてドアに歩み寄りコンコンと軽くノックした。


「君は随分と思い込みの激しい人のようだな。その情報が正しかったかどうかは留置場で知るといい」


 ドアが開き涼と二人の男が部屋に入って来た。


 二人は景子の前と後ろに立つと警察官であるバッジを見せ名乗った後、景子の住所を告げた。「~にお住いの高野景子さんで間違いありませんか?」


 景子の顔からは血の気が引いて行ったが声は平常を装い答えた。「ええ、そうですけど」


「石井沙耶さんへの傷害罪、および殺人未遂事件の嫌疑が掛かっています。署の方でお話を聞かせて頂けますか?」


 この光景にリカは凍り付いていたが、はっと我に返り警官に抗議した。「待ってください、何かの間違いじゃないですか。景子は有名な女優なんですよ、沙耶を突き飛ばしたりするわけないでしょ!」


「お母さん!」

「・・はっ」


「高野リカさん、お母様ですね。ご一緒にお話を聞かせて貰いましょう」


 慌てて口元を抑えたリカだったがもう後の祭りだった。



 廊下には制服姿の警官も二人立っていた。

 

 私服の刑事と制服姿の警官二人に挟まれた高野景子とリカがエレベーターで1階に降りると、そこには沢山の報道陣が詰めかけていた。


 無数のフラッシュがたかれ報道陣が一斉に高野景子に詰め寄った。だが1階には制服警官が多数配置されており高野景子に近づく事は出来なかった。


 警官たちが報道陣をけん制する声、カメラのシャッター音や景子に投げかけられる質問の声でビルの中は騒然としている。外も大勢の見物人で溢れかえっていた。



受付嬢A「今の高野景子よね? あなたも見たわよね?」

受付嬢B「ええ、二人が同じ錯覚を見たのでなければそうね」


A「どうしてこんなに警察やら報道陣やらが集まってるのか分からなくて、私ちょっと怖かったわ」

B「警察に連れて行かれたのが高野景子だったっていうのが何より驚いたわ」


A「まっ、まさか!」

B「まさか、何?」


A「高野景子はうちの社長の本命だったんでしょ? でもうちの社長は女嫌いじゃない、やっぱり別れるとか言い出されてカッとなって社長を殺しちゃったんじゃ?!」


B「・・・・あんたの妄想には脱帽だわ。小説家にでもなったら? 今流行りのライトノベルなんか書いてみたらいいわよ」


「俺がどうかしたか?」


 ふいに後ろから声がして受付嬢ふたりの肩がわずかに上がった。


「「社長!」」


A「良かったご無事だったんですね」

馨「?」

B「いえ、こちらの話です。それより高野景子はどうしたんですか?」


 馨は何かを言いかけたが報道陣が馨の姿を認め、一斉に向かって来た為に馨は足早にエレベーターに乗り込んだ。



 社長室では沙耶が青い顔をしてじっとソファに座り込んでいる。


「沙耶、君の父親について高野景子の言った事はデタラメだ。君の父親は殺人犯なんかじゃない」

「でも・・調べたって景子が・・」


 そこへ涼が3枚の紙を持って沙耶の前に座った。


「沙耶さん、これは高野景子が言っていた殺人犯の逮捕当時の住民票の写しです。そしてこちらが沙耶さんのお母様・麻里子さんが住んでいらした住所、〇〇アパートのA-1号」


「この殺人犯は母と同居してたって事ですよね。じゃあ私の父はやっぱり・・」


「いえ、3枚目のこれはコピーですが、この〇〇アパートの大家さんの家賃帳簿です。これによると沙耶さんのお母様が住んでいらしたのは確かにA-1号ですが、殺人犯の男の部屋はB-1になってます。現在アパートは取り壊されて新しくマンションが建っていますが大家さんは同じ方でしたのでお話を聞くことが出来ました。それによるとやはり男とお母様は同居されていなかったようですよ」


「どうやら男が住民票に書いた住所が間違っていたらしいな」

「そんな事ってあるんですね!」


「それにしても報道陣が駆け付けるのが随分早かったな」馨は意味深な視線を涼に投げかけた。


「ああ、やり返しましたよ。高野景子へのお返しです。高野景子が警察に連行されると情報を流したんです」




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