転生
不定期に連載します。
「おはようございます、風雅様」
メイドが毎朝起こしに来るのにはやっと慣れた。俺は日本からの転生者、日本での名前は神城拓真だった。今の名前は八坂風雅だ。どうやら俺は異世界のお貴族様らしい。
イストニア大陸南東部に位置するこのステラ王国の八坂伯爵家の三男として生まれた俺はある程度裕福である。ただし長男の母と次男(兄貴)と俺の母親は違う。長男の母親はアリス・フォン・アマテリアだ。彼女はアマテリア侯爵家の令嬢で、降嫁してこの家に来たらしい。それで俺の母親
ミネルバ・マグノリアという踊り子らしい。そして俺を産んだ6年前から行方不明である。
ミネルバとアトン兄様(長男)は兄貴(八坂裕人)と俺をいつも虐げている。使用人の一部も俺たちを見下す始末だ。俺の専用使用人、まぁいま起こしてくれた奴だがルキナという。彼女は16歳で親元を離れて内で働いているらしい。
そういえば何故こうなっているかってはなしてなかったなぁ。
〜回想〜
俺は東京と文京区出身のサラリーマンだった。
公立の小学校を卒業後私立の男子校k学園に進学した。
そこで、わいわい6年を過ごし、S大学の経済学部に進学後はアルバイトやらなんやらをして全国民の6割以上は知っているであろう大企業に就職した。ここまでは順風満帆だった。
会社の営業部に入って3年間はミスが続いた。向いていないのかとも思った。そんな時に大きなプレゼンを任された。
それを緊張で相手企業の名前を間違えるなど会社に多大な損害を与えてしまい、クビになった。
上司からクビを言い渡された日の帰り。やけ酒を飲んで家に帰る途中、プレゼンで疲れていたいことクビのストレスが重なって酔い過ぎたおれはフラフラと赤信号に突き進んだ。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!」
悲鳴が聞こえた。なんのことか分からず辺りを見回そうと思ったが体が自由に動かない。なんか体がとても暑かった。
そこで俺の意識は途切れた。
目が覚めたらそこには白い天井があった。
これは言うしかない。
「知らない、天井だ」
「おっほっほっほっほっほっほ。」
右を見るといかにも強そうな老人が笑いながら立っていた。
「そのセリフはテンプレの塊じゃのぉ」
「おじさん誰ですか?」
「わしか?わしは冥王ハデス。聞いたことぐらいあるじゃろう?」
「へーそうなんですか.....ってぇえ!マジかよ!
ってことはやっぱり俺って死んだんですか?」
「まぁそういうことじゃ。ところで同じに頼みがある。」
「それって強制か?」
「いや、じゃが断れば一生冥界でわしとふたりきりじゃ」
このおじさんと過ごすのは嫌だ。いくらここに呼んでくれたとしても嫌だ。俺は即決した。
「はい、やります。」
「いい返事じゃ。これから要項を説明するぞ。」
依頼を要約すると、いまから転生させられる世界は壊滅するからその災難から守ってね。何人かの神が加担してるかもしれないから力も与える。じゃあ宜しくてきな感じだ。
「あと、もう一つ.....」
―バリンッ!
「奴め、もう来おったか」
時空が割れて大きな巨人が顔を出した。
「早く行け、こやつはわしが引き受ける。
後でまた伝えることがある。世界の命運を宜しくな。」
そう言われて俺の意識はまた途切れた。
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