1-15 ギリシャ風の公園
続いてやってきたのは島内にある公園だけど、ギリシャをモチーフにしているという事もありそこは今まで訪れた場所と比べて一際異彩を放っていた。
「なんだか歴史を感じます! 遺跡みたいデスね!」
今いる石の広場であるエリエストローダもそうだけど、基本的にここはギリシャをモチーフにしているのであってギリシャではない。だけど伸び放題になった草木により本物の遺跡のようになっていたんだ。
「そんなに歴史は……なくはないか。この世界にあるものは大体ほとんどが数百年前のものだから」
いや、違う。本物の遺跡もその多くは観光地になって整備されている。そういう意味では手つかずのこの場所はまさしく本物だと言えるだろう。
「さて、みのりさん。せっかく遺跡っぽいところに来たので古代ギリシャっぽい何かをして見ませんか?」
「古代ギリシャっぽい何かって何なのさ」
「全裸でオリンピックとかでしょうか? さあ、カメラで撮影してあげるので溢れんばかりのエロトスをさらけ出してください!」
「やらないからね。だからさっきからナビ子ちゃん変だよ。あとエロトスって言葉が気に入ったの?」
別に何もしなくてもこんな非日常的な風景を映すだけで撮れ高は十分だろう。服を脱がなくてもナビ子ちゃんはアイドルみたいに可愛いし。
「うーん、けどお弁当でも持ってくればよかったデスねー。おにぎりとか」
「ギリシャの遺跡風の場所でおにぎりかあ。すごいミスマッチだね」
「ではギリシャっぽい料理にしますか?」
「ギリシャっぽい料理? そもそもギリシャ料理がパッと思い浮かばないけど。場所もどこにあるのかイマイチピンとこないし。ここ出身のタレントさんとかもいなかったよね」
「ムサカとかスブラキがあるじゃないデスか」
「ごめん、全然イメージ出来ない」
「タレントは、確か声優の池○春菜さんはアテネ出身だそうデス」
「へー」
豆知識を知って少しだけ僕は賢くなった。ギリシャは日本とはそんなに絡みがないからイマイチイメージがわかない。唯一イメージ出来たのはヨーグルトくらいだ。まあピクニックには向かないかな。
「なんか面白いものはないでしょうか? おお、オリーブの木を発見しました!」
ナビ子ちゃんは目当てのオリーブの並木道を発見し早速とてて、と走っていく。無邪気にはしゃぐナビ子ちゃんを見て僕はそれだけで幸せだったんだ。
「オリーブは後で回収するとして早速ハート形の葉っぱを発見しました! これでみのりさんと恋人になれますね!」
「あはは、そうだね」
ナビ子ちゃんはハート形と言うにはやや無理がある細長い葉っぱを手に取り、僕に自慢気に見せつける。
こんな可愛い彼女がいて、羨ましいでしょ?
いや、冗談だよ。僕はノンケだからね。