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5-8 (天気予報とか地域フェアで)孤独なるシズオカ

 最終ステージはもちろんシズオカ。現実世界でも栃木とは餃子の消費量一位の座を巡って日々熾烈な戦いを繰り広げている宿敵だ。


『ファイナルステージ:シズオカ・ぐらんぱ公園』

「さあ、ここからは未知の領域だ。全員が一度も死なずにこの面のボスを倒せば裏ボスと戦えるから頑張ろうな」

「うん、任せて!」

「オッケー」

「了解デス!」


 この先は子供の頃の僕らがたどり着けなかった場所。少しだけ大人になった僕らはようやくその場所に辿り着く事が出来たのだ。


 ……まあ、僕はやっぱりこのゲームをやった記憶がないんだけど。あまりにも衝撃的な内容だったから記憶の片隅に封印しちゃったのかな。


 ハママツが待ち構えているシズオカのステージはアスレチックをイメージしており若干のアクション要素も取り入れられている。下に落下しても死なずに戻ってくるけどダメージは受けるので気を付けたい。


 特産品でもあるウナギのモンスターはまるで龍のようで雑魚的なのに倒すのも一苦労だ。だけどナビ子ちゃんはやっぱりこんな言葉を漏らしてしまう。


「ウナギ食べたいデスねー」

「なら今度探してみようか。人間がいなくなったから数も増えてきっと見つかるよ」


 こんな雑談をしながらもやや苦戦しつつも先に進む事が出来た。昔と比べてやっぱり僕らも強くなっているようだ。そして、どうにかハママツが待ち受ける決戦の舞台に辿り着く。


『来たか……ウツノミヤ』

『年貢の納め時だ、ハママツ!』

『語る言葉は不要。かかってこい! どちらの餃子が正しいか決着をつけよう!』

「餃子に正しいもなにもあるのかなあ」


 僕はやっぱりこのゲームのノリに最後までついていけなかった。制作者もどういう感情でこのゲームを作ったのだろう。


 ハママツはウツノミヤとそっくりな見た目どおり同じような行動をして、中華包丁を振り回して攻撃してくる。トリッキーな攻撃はしてこないけどそれゆえに手強い敵だった。


「ここはどう戦う、勇者様?」

「もちろんゴリ押しさ!」


 僕の問いかけにヒロはドヤ顔で返事をする。


 僕にもわかる、この敵は細かい調整なんてしていないキャラクターだって。特徴がないため攻略方法なんて存在せずそれしか方法はないのだろう。


『ホイホイチャーハン!』


 ウツノミヤは必殺技を繰り出しちまちまとダメージを与えていく。こんな感じで速攻を仕掛けるしかないのだ。


「あれ、今ホイホイチャーハンって言った?」

「気のせいだ」

「餃子と言えばチャーハンデスね~」

「じゃ、次はあたしだな!」


 そして攻撃の要であるつるぎちゃんがオブジェクト武器のハンマーを拾ってひたすら殴打する。かなり苦戦はしたけど僕らはようやくハママツの撃破に成功したのだった。


『なあ、ハママツ。どうしてお前はこんな事をした!』

『俺は孤独だった。俺は自分が何者なのかわからなかった。シズオカは東海地方という事になっているが実際は違う。東海地方はアイチ、ギフ、ミエだけだ。うちはニュースの天気予報でも地域フェアでもハブられる。いつも、いつも、いつも除け者なんだ! じゃあ中部地方なのか、それとも関東地方なのか……シズオカはどこ地方なんだよ!』

『……そうか、お前も辛かったんだな』

「本当にローカルネタが好きだね、制作者の人も。でも静岡ってどこ地方なのかな?」

「明確な定義はないデスねー。なので静岡県民はいつも肩身が狭い思いをしているのデス。まあどこでもいいんじゃないでしょうか?」

「それを言っちゃあお終いだろ」


 つるぎちゃんは一息ついて水を飲み水分補給をする。これから裏ボス戦があるのにやっぱり締まりがないなあ。

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