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たった2話でもうブックマークが……!!
閲覧いただきありがとうございます。
のんびり更新していきますので、よろしければお付き合いください。
p.s.プロローグを追加しました。(6月2日)
浮遊感が消え、視界が戻った。右にはシューズラック、後ろにはドア、左には姿見。Anschlussのセットアップ中に調べておいた通り、Attack Sectionの初期ログイン地点、『ホーム』の中にある『玄関』にログインしたみたいだ。
ちなみに事前に調べた情報によると、この『ホーム』はAttack Sectionをプレイする時に拠点的な役割をもつらしい。基本的に何をする時もここから始まるらしく、例えば、このホームでコースと乗りたい車を選んで玄関から出る。すると、そこは選んだコースのピット裏(パドックと言うらしい)で、ピットに入れば選んだ車があるっていう感じなんだとか。
ちなみに、キッチンや寝室、お風呂なんかも一通り揃っているんだとか。
そして、この『ホーム』にはプレイヤーの他にもう1人がいる。
「ログインお疲れ様でした。」
周りの様子を少し確かめていたら、ふいに声をかけられた。声のした方を見ると、俺より少し小さい、落ち着いた茶色の髪の女性がいた。
「……君がアシスタントAIであってるかな?」
「はい。イナリ様の今後のサポートをしていくアシスタントAIのセラです。よろしくお願いいたします。」
彼女がホームにいるもう1人だ。
ゲーム内の情報を集めてくれたり、設定をいろいろしてくれたりの万能お手伝いさん。物凄く優秀なAIだそうで、話したりする時も普通の人相手と変わらないらしい。ちなみに、困ったときは彼女に頼めば基本的に解決するんだとか。
「ひとまずお上がりください。奥にリビングがありますので、そちらでホームの基本的な機能をご説明します。あ、靴はそのままで大丈夫ですよ。」
言われるままに玄関を上がると、靴が自動的にスリッパに変わった。さすがゲーム内だけあって、便利だな。
さて、案内されるまま付いていくと、そこそこの長さの廊下に出た。いくつかの扉があるそこをさらに突き当りまでいくと、結構な広さのリビングがあった。しかも、キッチンつきのいわゆるリビングダイニングだ。
「こちらへどうぞ。かけてお待ちください。」
セラさんが示したのは、見ただけでフカフカそうだとわかるソファだった。こんなの現実で買おうとしたら、いったいいくらかかるやら。たぶん諭吉さんが10何枚……う、頭が痛くなってくるな。やめよう。
セラさんは俺を案内したあとでキッチンの方へ入っていった。
「うわ、やっぱりフカフカだ。……これ、俺の家より確実に豪華だよなぁ。」
このソファといい、周りにあるテレビだのスピーカーだのといい、明らかに俺の現実の家より豪華だ。
「おまたせ致しました。オレンジジュースになります。」
ソファにかけてボヤきながら待っていたらセラさんが戻ってきて、オレンジジュースの入ったグラスを置いてくれた。どうやら飲み物を取りに行っていたらしい。そういうところは簡略化してないのか。
「あ、どうも。……あれ?なんで俺の好みのものを……」
「脳波から今飲みたいと思っている可能性が高いものを読み取ることで、ご用意しています。もし他のものが良ければおっしゃってください。問題なければ説明に入らせていただきますが。」
「あ、あぁ。大丈夫だよ。」
とりあえず脳波がどうのこうのは聞かないことにしよう。……たぶん聞いても理解できないし。
「では、簡単に説明させていただきま「あ、ちょっと待って。」はい、どうかされましたか?」
「いや、その、あれだ。あんまり固い話し方だと気疲れするから、もうちょっと普通の話し方でお願いできるかな、と。」
「なるほど……じゃあ、少し砕けた話し方にするわね。……こんな感じかしら。」
「そうだね。そのくらいで。」
これならさっきに比べてかなり楽だ。敬語相手だとどうしても固くなってどうにもやりづらい。
「それじゃあ説明にはいるわね。ここのホームはAttack Sectionのプレイヤーにとっての拠点的な場所になるわ。リビング、キッチン、お風呂、寝室の4つが今の主な部屋ね。このリビングではちょっとした休憩だとか、あそこのテレビを使ってレースのリプレイを見れたりする感じよ。さすがに現実のテレビは見れないけど、ネット配信なんかは見ることが………
とまぁ、そこそこ長かったのでまとめると
・リビングはくつろいだり、リプレイを見たりすることができる。
・キッチンは簡易的なもので、プレイヤーも使えるが、基本的にはアシスタントAI,つまりセラさんが主に飲み物の用意などに使う。
・お風呂はお風呂。ゲーム内なので汗でベタベタなんてことはないが、雰囲気作りらしい。あとは精神的な疲れを癒すためだとか。
・寝室はログアウト時に睡眠ログアウトなる方法をするため。
こんな感じだそうだ。
「この他にも機能を備えているけど、それはチュートリアルが終わってから開放されるわ。てことで、早速チュートリアルに行こうと思うのだけど良い?」
「あぁ。大丈夫だよ。」
「じゃあ、玄関行きましょうか。」