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Attack Section〜レーシング物語〜  作者: 秋雨前線
チュートリアル編
3/11

2

ちょっとしたミスをしていたので修正しました。(6月2日)

 Anschlussが起動したようで、視界が無くなり、音が聞こえなくなった。匂いも消え、味も感じなくなった。


「Attack Section VRへようこそ。」


 最後に浮遊感がしたと思ったら、そんな声が聞こえてきた。……いや、聞こえてきたというより、頭の中で直接響いてる?


「……、……?」


 あれ?声が出せない。そういえば、さっきから体を動かそうにも動かせない。どういうことだろうか。


「あ、今はまだキャラクタークリエイト前ですので、発声をしたり、行動をしたりといったことができません。ということで、まずはキャラクタークリエイトへ移ります。」


 ああ、なるほど。まだ体がないから何もできないよ、と。……今の俺ってどんな状態なんだろう。

 などと思っていたら、足が地面に着く感覚がした。続いて徐々に浮遊感が薄くなり、数秒もすれば完全に無くなった。恐らく視界も戻り、声も頭に響く感じではなく普通に耳から聞こえ、そして体も現実と同じように動かせるようになった。

 視界が恐らくなのは周りがどうやら真っ暗らしく、何も見えないからだったりする。


「……あー、あー。」


 お、声もちゃんと出せるようになったみたいだ。


「ただいまキャラクターを作成いたしました。これで様々な操作が可能となります。」


 ふむふむ。とりあえずの体が作られたから動くわけだ。……できれば最初から用意しておいて欲しかったけども。


「それでは、初めにプレイヤーネームの設定をお願いします。」


 まぁ、キャラの体が無かったことはおいておこう。名前はいつも使ってるやつがあるから、あれでいいだろう。

 目の前に表示されたキーボードで打ち込んでいく。


「イナリっと。」


 うん。ただの本名もじりだから全く持って面白くもなんともないな。小泉の「い」と哲也の「也」から読み方を変えて「なり」で「イナリ」にした。……いなり寿司じゃない。


「イナリさんですね。…………登録完了しました。ゲーム内表記は国籍を表す文字、イナリさんは日本ですのでJAPANのJと、Inariで【J.Inari】となります。後ほど変更も可能ですので、変更がありましたら後ほど設定をお願いします。続いて、キャラクターエディターへと移行します。エディターモードと発声されれば、キャラクターのエディターメニューと、現在のサンプルモデルが表示されますので、ご自由に容姿を変更してください。メニューで項目を変更されると、その都度サンプルモデルに反映され、その後確定して頂くことでキャラクター本体に反映されます。なお、ゲーム本編のレース中はヘルメットで顔は見えなくなります。ご了承ください。」


 さぁ、次は容姿だな。ただ、気になるのは最後の部分か。


「ヘルメットで顔が見えないってどういうことだ?ヘルメットっていうと、頭に被るだけで顔は見えるけど。」


 ヘルメットと言えば、だいたいが頭の上部を覆ったり多少横を覆うくらいじゃ……。


「ゲーム内で使用されるヘルメットが、フルフェイスヘルメットと呼ばれるものだからですね。事故などの際により安全性を確保する為に頭部全体を覆う形のものです。大型バイクなどに乗る方は使用される事が多いものですね。あくまでゲームですので、実際に怪我をする恐れはないのですが、雰囲気作りの一環として採用しております。」


 すると、目の前にヘルメットが表示された。……うん、見たことはあるな。ただ、普段自分が使わないから忘れてた。たしかにこれなら全体が覆われていて、見えるのは目の付近くらいだ。その目付近もシールドをおろしてしまえば見えないだろうな。


「……ていうことは、キャラクターの顔はほとんど見えないと?」

「いえ、Attack Sectionでは車から降りればヘルメットは任意で外すことが可能ですし、ヘルメットを外した状態では、オンラインルームで他のプレイヤーから普通に見られることになります。」


 つまりあれだ。レース中はどうせ見えないけど、レース中以外は普通に見えるよってやつだ。

 ……まぁ、そんなにこだわりもないし、ランダムの今のままでも大丈夫だとは思うけど。


「なるほどね。それじゃ、『エディターモード』。」


 すると、すぐに半透明のウィンドウが出てきた。右側半分にキャラクターが立っている。

 身長はおよそ170センチ。黒髪黒目で、中肉中背……あれ?どこかで見たような……


「……これって俺か??」


 髪型は変えられているし、顔立ちも多少違うけど……現実の俺の姿にわりと似ている。……なんでだ?ランダムじゃないの??いや、というよりどうしてここまで再現できてるんだろうか。


「現在は、事前に登録していただいたデータを元にしたキャラクターとなっています。」

「ん?……事前に?」


 そんな登録……さては父さん、勝手に俺のデータを登録してから送ってきたな?いや、たしかに高校の頃からほとんど身長伸びてないし、それを元にしたんだろうけどさ。俺はそんな操作してないから、あり得るとしたらそれくらいだろう。


「もちろんここから大きく変更することも、そのままの状態で続行することも可能です。ただし、大きく身長等を変更すると、現実の体との差が大きくなることで、動作に支障が出ることがあります。Attack Sectionというゲームの性質上、細かな操作が要求される場面がありますのでご注意ください。」


 細かな操作か。んー……ランダムだと思ってたのが違っただけだし、そのままでいいか。


「じゃあ今のままで大丈夫です。」

「承りました。なお、キャラクターの見た目は今後変更はできませんが、レーシングスーツやヘルメットの見た目は、ゲーム内で自由に変更することができます。以上で初期設定は完了ですので、『ホーム』へと転送します。それでは、Attack Section及びバーチャルカーライフをお楽しみください。」


 その声が聞こえたと思ったら、青い光に包まれて視界が青一色に染まり、ログインした最初に感じたような浮遊感がやってきた。

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