”空き家”でヒーロー活動!?
昨日は見事にサボってしまったので、
「今日は頑張る」と決意をし、大学へと向かう。
「今日は頑張る・・・」
この決意を何度しただろうか。自分の弱さをいつも嘆くが、一度寝ると、そんなことはどうでもよくなっている。
大学は歩いて行ける距離にある。
今日はいつもの大学に行く道ではなく、商店街を通っていくことにした。3年生にもなると、昼食を大学の食堂や売られている弁当以外のものにしたくなる。
家を出たのが、朝9:00であったため、
商店街の店舗はオープンしている。
「おはようございます。」
みなさんに挨拶をして、肉屋の佐藤に向かう。
「おばちゃん!お弁当できてる???」
「あと30分くらいだよ。」
「わかった。待っとくね。」
今日は午後からの講義のため、ゆっくりと大学へと向かっても良い日だ。30分もここで待っていてもすることがないため、近くを散歩することにした。
商店街の周辺は何もない。
”住宅”と”公園”が点在している。
歩いていたら公園でも見つかるだろうと思い、何も考えずに歩く。
————
「よ〜し、お前が鬼な!」
「逃げろ〜〜。」
「いいな〜。私も無邪気に遊びたいな。。」
偶然見つけた小学校でしばらく立ち止まり、子どもたちを見ていた。あっという間に小学校・中学校・高校を卒業し、大学生になり、そして今、就職活動をしている。
「早かったな・・・ホントに・・・」
小学校の前で立ち止まって、呟いている私は、傍から見たらヤバいやつだと我に返る。
そろそろ30分経つ頃であろう。商店街に戻ることにした。
商店街からはあまり離れていなかったため、同じ方向で戻れば、着くだろうと思い、帰り道を変更することにした。
特に何もない普通の住宅街を歩いていると、大きな看板が立っている土地と建物が目に入った。
「売ります・貸します」といった内容であると思ったが、近づいてみると、
「空き家を利用しませんか・・・」
昨日のポスターを思い出す。
「空き家ってこれか・・・」
その土地には小さな平屋の住居があった。
失礼だが、”これに住みたい”って人はいるのかと疑問に思った。
と同時に、私ならどのように利用するのかなと想像していた。
・・・空き家で何かできないだろうか・・・
高橋のおじちゃんが言っていた。
「新しい移住者を増やすために活動している・・・」
大学に入学してから、この土地や、人々にはお世話になっている。
私がこの地域の魅力を発信したらどうだろうか。その発信の場として、この”空き家”を利用する。
「うん。いいんじゃない。地域活性化とかヒーローぽいっよね!あと”空き家”も”基地”みたいにできるよね。」
思わず口に出していた。
「お姉ちゃん。ヒーローになるの???」
先ほど遊んでいた小学生たちがそこにいた。
「うん、なるよ!!!」
「えっ、こいつ気持ち悪りぃ〜。逃げようぜ〜。」
逃げられた。
小学生の言っていることは正論だ。
でも今はそんなことより、早くやってみたいと気持ちで高揚している。
看板には連絡先が載っている。メモをしようとカバンから、チラッと見えた就活の本を見向きもせず、筆記用具を取り出した。
やってやるぞ!!!
「ヒーローになれるかもしれない」
自分が空き家を使って、ヒーローになっている姿を想像しながら、商店街へと向かった。