第三話 素寒貧になりそうです
すいません!!!!約二日ほど遅れまして申し訳ない!!!
予約投稿ですので、朝方から見れると思います!!!よろしくです!!!
ドサリ。と盗賊の最後の一人が倒れ込む。
辺りを見渡せば、ピクピクと小さく動く盗賊が十数人。
剣やら槍やらが散乱し、所々血が飛び散っている。
「さて、盗賊どもは御覧の通りだ。もう安全だろう。だから、少しだけ話を色々聞かせてくれないか?」
俺こと黒鉄 遊兎はそう切り出した。
視線を戻した先には豪奢な馬車とその傍らで剣を納めている騎士様がいる。後ろの馬車の中には多分お姫さんでもいるのだろう。
「……。助けていただいたのは感謝するが、私たちは忙しい身の上でな、申し訳ないが先を急がせてもらう」
少し上ずった声で甲冑を着込んだその騎士が言う。
俺は、それを慌てて止める。
「ちょ、ちょっと待ってくれって。その気持ちは察するが少しは俺に対する恩義ってモンを感じてくれないか?なに、ちょっと話をしてくれるだけでいい。本当に少しだけだ」
俺が止めると、騎士はムッとした雰囲気で俺に荒く言葉を投げる。
「急いでいると言っているだろう?すまないが、貴様のような得体の知れん者に話すことなどない」
「いや、本当に少しだけだって!あんたらの知ってる勇者の情報を教えてくれるだけでいいからさ!」
俺がそう口にすると更に騎士の雰囲気に棘が感じられるようになる。
「だから!貴様に話すことなどないと言っている!!!大体、貴様のような浮浪者になぜ勇者様の話を聞かせねばならん!他を当たれ!!!」
騎士はそう言って馬車の御者席?に飛び乗ってそのまま馬を走らせてしまう。
その姿をため息をつきながら俺は見送った。
「んむぅ……結構な無駄足……。やっぱり助けるんじゃなかった……」
チラリともう一度視線を馬車が去っていったほうへ向け、足元に転がる盗賊どもに向ける。
「こいつらをどうしろと……」
もう一度ため息を吐いて、覚悟を決める。
「よし、放置しよう。めんどくさいことは知らない!こいつら連れていくにしても縛るものないから逃げられるだろうし、着いた先で事情説明やらなにやらでどうせ時間がとられる!これ以上時間は無駄に出来ないしな!!!」
大きく声を出して気分転換をしながら、言い訳をつらつらと吐く。
そして消していた補助魔法を改めて起動させ、その場からとんずらした。
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盗賊を放置してひたすらに進むこと数時間くらいか?やっと街が見えてきた。
余り高くない外壁の前には少しだけ人が群がっている部分があり、そこが多分街へ入るための関所のような場所なのだろう。
俺は街が見えてきたので進むスピードを早歩きで通用するくらいに落として、街に近づく。
群がっているように見えたのはやはり関所のようで、大まかな少し膨れた列ができていたので、大人しくそこへ並んで待つ。
自分の番になるにはあまり時間がかからなかった。
「次!早く来い」
「あ、すいません。お願いします」
「身分を示せるものは?ないなら出入りの度に銀貨一枚かかるぞ」
「えっと、持ってないんでこれで」
俺は事前にメノスから渡されていた人間の領地で使えるお金を渡す。
なんでも、魔族と直接の取引をする人間はいないが、人間と取引をしている亜人が魔族とも商売をしているらしいので、そこから人間のお金を入手できるらしい。
「ふむ、問題ないな。ようこそ、メディウムへ。できる限り大ごとを起こさないように」
と注意されて、俺はメディウムというこの街へと入ることができた。
「さて、まずは所持金にあった宿屋探しかな?そのついでにダンジョンについての話も聞ければいいかなぁ」
俺はつぶやきながら街のにぎわっていそうな所へと足を伸ばしていく。
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歩きながら人に尋ねながら辿り着いた宿屋、ガストハウス。
なんだか大手の某ファミリーレストランみたいな名前だなぁ……。とか思いながらもそこで宿を取った。
時間はあまり遅くないと思ったが、予約ではないということで夕飯を出せないと言われたので別の店に行くことになってしまった。おいしいご飯と良い情報をくれる店を紹介してもらったのでそこへ行こうと思う。
「えっと、赤い炎のマークが目印だったか?……あ、あれか」
目印の炎のマークを見つけ、少し足を速めて店に入る。
ガヤガヤという独特の喧騒と食欲をそそるいい匂いが、入った瞬間から俺を出迎えてくれた。
そして、更に俺を出迎えたのは禿げ頭のいかついオッサン店員だった。
テンプレならここは美少女だろう……と思いげんなりしてしまったが、店員さんは構わず俺を席へ促す。
「いらっしゃい!一人?じゃああっちだ!」
オッサン店員は入ってきた俺をパッパッと席に座らせ、水を置く。
「んで?メニューは何にする。今日のお勧めはボアミートのステーキだ。銅貨三十枚の破格だぜ!」
「あ、あ~。えっと、〝ガスト特製ラートステーキとエクスプレスミックス〟を頼む」
俺がそう言うと店員さんの目が少しだけ細められ。
「あ~、うん。あいよ!ステーキとミックスジュースな!少し待ってろ」
今のメニューは宿屋で教えてもらった情報屋を呼び出す裏メニュー的なものらしい。こういうの簡単に教えていいのかなぁとか思うが、俺としては好都合なので、気にせず使わせてもらうことにした。
そして、十数分後、そろそろ水だけを飲んで粘るのも苦しくなってきたころに俺の前にさっぱりした服装のなんとなく記憶に残りそうにない男がドカリと座る。
「んで、てめぇが情報を欲しがった若造か?」
と切り出してきた。つまりは、この印象の薄い奴が情報屋なのだろう。
「あぁ、そうだ。ちょっくら教えてほしいことがあってな」
「ふぅん。まぁいいけどよ。何が聞きたい?ここいらでおすすめの娼館か?奴隷館か?それとも気持ちのいいお薬か?」
聞いてくる内容が思いっきり怪しく物騒だった。
まぁ、こういうやつらを頼るのはそういう目的の奴が多いんだろうと思ってしまう。だが、否定はしっかりする。
「いや、そういうんじゃない。娼館も奴隷もお薬も手ぇだしてる暇はないからな。
俺が知りたいのはダンジョンについてだよ」
俺がそういうと、この男ははぁ?と顔を不思議そうにゆがめた。
「いや、お前ダンジョンについてって、誰でも知ってるような事を俺みたいな奴頼って聞くのかよ?」
「あぁ、そうだ。こちとらド田舎出身で世間様の常識なんてそもそも伝わらない場所で暮らしてたんでな、こういう場所を頼らせてもらってんだよ」
「は、はぁ……。まぁいいけどよ、俺はそんな話で儲けさせてもらえるんだし。
んで、ダンジョンについてって、どういうことが知りたいんだよ。ダンジョンって言葉を知ってるってことはダンジョンがどういうモノなのかくらいは分かってんだろ?」
「まぁな。俺が知りたいのはゼクティウスってダンジョンの内部構成とどういう敵が出るのか、罠の種類、あとはソロで挑めるのかとかそういうのだ」
「なるほどなるほど、了解。そのくらいなら今からでも話せるな。
まず、ゼクティウスの内部構造だが、1層から15層の上へ上へと昇っていくタワー型のダンジョンだ。三層毎に階層の環境が変わっていく環境変異型でもある」
情報屋曰く。
1~3階層は自然のエリアと呼ばれていて、1階層が草原、2階層が草地、3階層目は森林となっている。
同じように4~6階層は水源のエリア、7~9階層は鉱石、10~12が溶岩、そして新たに発見された13~15までは遺跡エリアとなっている。
モンスターはその環境に適したモノが生息していて、上に行くごとに強さが上がるようだ。罠に関しては1~6層ではほぼ発見されていないらしく、本格的に気にしなければならないのは7層以降らしい。
「あと、エリアボスが各環境の最終層に居る。そいつらを倒さないと次の層には進めない仕組みになっている。お宝についてはそのエリアボスが居る近くにほぼ確実にあるくらいで、他はめったに見つからない。
あとは基本通常のダンジョンと変わらない構造をしている。
んで、最後に最近変わった点についてだ」
「最近変わった点?」
「そうだ、大体3年くらい前にできた事なんだが、ダンジョンに入るにはそのダンジョンの難易度に応じて冒険者ランクが必要になってくる」
「冒険者ランク?って、冒険者ギルドのランクか?」
「流石にこれくらいは知ってるか。そうだよ。冒険者ギルドで発行されるギルドランクの証明が、ダンジョンに設定されているランクと同程度かそれ以上ではないと入ってはならないってルールができたんだよ。
んで、ゼクティウスのランクはCランク。冒険者の中じゃあ一人前って言われるレベルじゃねぇと入れねぇのさ」
「まじかよ……。そのCランクって、上がるまでにどれくらいかかる?」
「そうだなぁ。最速記録がDランクになってから一年だったか?平均が三年~五年。長けりゃ十年はかかる。まぁ年単位の時間が必要になるのは間違いないな」
俺はその言葉を聞いて茫然とするしかなかった。
まさか、こんなところにきて冒険者という異世界召喚のテンプレに躓くとは、思っていなかった。
「お前さん、見たところ冒険者じゃなさそうだし、今からすぐに上げるのは難しいと思うぜ」
「そ、そこをなんとかできないのか……?」
「あ~?無理無理、基本無理だよ。そんな勇者物語みたいな一気にランクアップ!なんてのできないっての。てか、そんなの出来るのは超絶お金持ちであらせられるお貴族様の権力だけだっての。
そんな無茶を通してくれるお貴族様の知り合いなんていないだろ?せいぜい頑張って地道に上げな」
「まじかよ……。時間がねぇってのに……」
「お前さんが何に焦ってのかは知らねぇが、焦り過ぎたら早死にしちまうぜ。肩の力抜けよ。
あと、他に欲しい情報は?ないなら報酬もらって俺はずらからせてもらうぜ」
男は用が済んだなら。といって料金の催促をしてくる。
「あ、あぁすまん。もうないよ。んで、どのくらい払えばいい?」
「そうだなぁ……。お前の懐にある有り金全部って言ってやりたいとこだが、今回は初めてのご利用だ。銀貨一枚は残してやる」
「は!?たったこれだけでその要求はおかしいだろ!」
ダンジョンの情報を聞いただけで有り金のほぼすべてをむしり取ろうとする男。
だが、男は悪びれる風もなく、こういった。
「知らねぇよ。俺への依頼料はたけぇんだよ。もしお前が娼館やら奴隷に関して聞いてたらお前の懐の金だけじゃあ足りねぇんだよ。良いから出せや。
あぁいや別に、出さなくてもいいけどよ、そうするんだったらお前は衛兵に突き出されることになるぜ」
「な、おま……!」
「ほら、良いから出せって」
男は凄みながら俺の方へと近寄ってくる。
なんだかイラッとくるが、ここで俺が反抗してしまえばこいつは何の躊躇いもなく衛兵に俺を突き出すのだろう。こんなアホみたいな金を払いたくはないが、俺にはただでさえ時間がないっていうのに、冒険者のランクでまたありえない時間がかかるというのがわかったのだ。衛兵なんかにつかまっている場合ではない。
「くそ……わかったよ、払えばいいんだろ。ただ、銀貨三枚は負けてくれ、そこは、頼む」
「あぁ?……、チッしゃあねぇな、いいぜ銀貨三枚だけとって他は俺に渡せ」
俺は銀貨三枚だけを片手に握り、他の金をすべて男に突き出す。
「毎度あり」
そういって男は店から出ていく。足取りはメチャクチャ軽そうでイラッとしてしまったのは仕方のないことだろう。
「あぁ、クソ。金はとられるわ更に時間がかかるなんてわかるわ、今日はついてないな……。
さっさと宿に戻って寝よう……」
俺は肩を落としながら、宿へと戻るのだった。
如何でしたか?
終わりがちょっと強引な気もしますが、大目に見てやってください。
次回もまたまたまたテンプレをご用意させてもらっていますので、ご期待いただけたらと思います。
では、またノシ