表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/28

第十四話 後編、俺はお前を……!!!

どうも!ろくみっつです!!!

本日二回目の投稿となりますので、今日初めて読みに来た方は一つ前のお話から読み進めていただけたら幸いです!


では、どうぞ!!!

「え、あ?なん、で……?なんで、なんでなんでなんで!?」


 茫然とする彼女の__白木の声が聞こえてくる。彼女はナイフを握ったまま信じられないという顔のまま後ずさる。

 わき腹から、血が溢れ出る。みるみるうちに服が地に塗れ、地面に零れ落ちる。


「ふぉっふぉっふぉ。言うたであろうて、その人形は既に儂の支配下だと。

 儂が命令を下せば、その人形は意識の有無に関わらず動く。お前を刺したようにの?

 小僧、貴様は今からその人形に刺され死ぬのじゃ。言いざまじゃなぁ。ふぉっふぉっふぉ」


 あぁ、なるほど……。そういうことか。

 なるほど、なるほど……。てめぇは、そうやって白木に殺しを押し付けたわけか……。

 なるほどなぁ……。


「はっ……。爺さん、前言撤回だ……。

 お前の野望と顔面を滅茶苦茶にしてやるって言っただろ?あれ、やっぱ止めるわ」


「んぅ?なんじゃなんじゃ、貴様自分の非を認めるんか?ハッだとしても貴様をここで殺すことに変わりはないよ。後悔して死ね」


「フハハハ!グフッ……いやいや、笑わせんなよ。思わず笑っちまって腹いてぇじゃねぇか。

 違うよ。全く違う。

 俺今ここで決めたわ。

 ……てめぇは、その血肉一片残らずこの世から消し去ってやる!!!

 てめぇの!その、野望なんてちんけなモノは絶対に叶えさせてやんねぇし、白木に殺しを押し付けようとしたたんだ、その分てめぇの老い先短い人生を、全部掻っ攫って、地獄に突き落としてやる!!!!」


「はんっ!やってみろぃ。そもそもその状態からどうやっても貴様の負けは確定しておる!!!

 貴様は!貴様の助けようとした!その人形に殺されておれ!!!!」


 爺さんは再び杖を打ち付ける。

 白木の瞳から色が消え、手に持ったナイフで俺に襲い掛かってくる。


 俺はそれを躱す。だが、流石にさっき受けたわき腹の傷が痛みこけてしまう。


「やれ!人形!!!!」


 そう叫ぶ爺さん。

 白木はナイフを振りかぶり、俺に目掛けて振り下ろす。

 俺は、そのナイフをつかみ取ろうと、構えそのナイフを待つ。


 だが、その攻撃は、俺が止める前に止まった。横から別の手に遮られ、止められた。

 その腕の主は、ナイフを握っている白木本人だった。


「白木……?」


「なに、よ……」


「何ってお前!動けるのか!?」


「そんなわけないじゃない。今もギリギリよ……。たく、なんで私が自分の体を自分で止めなきゃなんないのよ……。

 あなたのせいよ。あなたが……、あなたが私を助けるなんて言うから……。

 期待しても、良いんでしょ?あなたは私を助けてくれるんでしょ?あなたのことなんて覚えてもいない、わたしを」


 彼女は苦しそうな顔をしたまま、俺にそう尋ねてくる。

 ギチギチと聞こえてきそうなほどに、自分の腕を握りしめて、そう聞いてくる。


「当たり前だ。言ったじゃないか。お前がたとえ、俺のことを忘れていても、忘れたままでも、俺は白木を助けるって。

 少しだけ、我慢しててくれ。少しだけ怖いかもしれないけど、すぐに助けるから」


「そう……ならいいわ。それじゃ、頼むわよ。黒鉄……ううん、遊兎」


 彼女はそう言って、自分で無理やり下がっていく。ゾンビみたいにゆっくりなその動きは、彼女と爺さんの鬩ぎ合いのように見えた。

 当の爺さんは、ものすごく困惑していた。


「な、なぜじゃ!人形!なぜ貴様の意思で動ける!!!ありえん、ありえんぞ!!!!」


 と。

 俺はその隙に立ち上がり、わき腹に力を籠め、踏ん張る。

 すると、傷がゆっくりとだが、塞がっていく。

 俺の補助魔法にある自己回復力を高める物に多くの魔力を流すことで、内臓にまで届きそうだった傷を塞いでいく。


 顔も体も汗まみれだし、血まみれだ。

 だけど、これでまたしっかりと地面に立つことができた。


「さて、傷は塞いだ。ちょっと血が足りない気もするけど、爺さん一人ぶん殴って、白木を連れて戻るくらいはできるだろうな。

 覚悟しろよ、爺さん」


「くぅ!!!苔にしおって!!!人形も人形で歯向かいおる!!!さっさと儂の言うことを聞くんじゃ!!!!」


 爺さんは杖を何度も地面に打ち付ける。

 それに伴って白木の顔から段々と生気が抜け落ち、能面のような無表情になってしまった。


「ふぅふぅふぅ……。手こずらせるわい……。じゃが!これでこの人形は完全に儂の魔力の支配下じゃ!!!

 フヒヒ、異世界人!今から貴様はこの人形に殺されるのじゃ!!!いけ!人形!!!」


 気持ち悪い笑みを浮かべる爺さんは白木に命令を下す。

 白木はそれに何も言わずに従う。腰に仕舞っていた杖を引き抜いて指揮棒のように振るう。

 それだけで、魔法が展開される。

 しかも、それは先ほど俺と戦っていた時よりももっとずっと多い数だった。


「おいおい、まさかさっきまではセーブしてたのか!?」


 驚く俺に白木は答えず、魔法を発動させていく。

 俺は気持ちを切りかえ全身に魔力を巡らせる。全身の魔法陣が起動するのを確認すると、殺到する魔法に自ら飛び込むように進む。

 四方八方から飛んでくる魔法を避けていく。その間にも両手に魔力を集中させる。


「魔法を避けながら魔力を練るのって、結構難しいなっ!」


 今からやることは、今の俺の状態__『限界突破(リミット・ブレイク)』を発動したときだけ使えるとある技だ。

 これをスムーズに使うには魔力を事前に練る必要があるのだが、生憎さっきまでこれを使う気がなかったので、白木の放つ魔法を避けながら魔力を練ることになってしまった。


 ならなぜ、この技を使うかというと、もしかしたらこの技で爺さんの支配下にある白木を解放できるかもしれないからだ。

 爺さんは、白木の今の状態を『儂の魔力の支配下にある』と言った。それが本当であれば、今から使う技を一発当てるだけで爺さんの魔力を吹き飛ばす(・・・・・)ことができるのだ。


「技自体は、日本にいた時にマンガとかラノベでよく見たモンだから、習得自体は簡単だったんだ。使う機会はあると思ってなかったけどな!!!」


 自分にできる限界まで魔力を練りこみ、拳に集める。

 そして、丁度よく俺に迫ってきた魔法を視認した。


「そいじゃぁちょっと、試させてもらうぜ!」


 そう言って魔法を迎え撃つ。走る脚を少しだけ止め、腰をひねる。拳は握り込まずに掌底打ちを放てるようにする。

 タイミングを計って、魔法に魔力の宿った掌底を放つ。イメージは、発勁だ。練り込んだ魔力を魔法へとぶち当てることで、ボウリングのようにピン(魔法)を弾き飛ばすのだ。


「ハッ!!!」


 ドパンッッ!という小気味良い炸裂音と共に、白木の魔法が一瞬にしてはじけ飛んだ!

 俺はそれを確認して頷く。爺さんはそれを見て驚いた。


「よっし。問題なく使えそうだ!!!」


「な、なんじゃ!その技は!!!一瞬で魔法を蹴散らすじゃと!?どういうことじゃ!!!」


「誰が馬鹿正直に教えるか。自分で考えてろっ!!」


 俺はそう吐き捨て、白木の元へと駆け抜ける。

 先程と同じように迫ってくる魔法を極力避け、しかし無理のないように適度に掌底打ちで蹴散らしていく。


 そうすると、数秒もかからずに白木の元へとたどり着いた。


「ごめんな、ちょっと待たせちまった。直ぐ楽にしてやるからもう少し我慢してくれ」


 白木にそう言うが、案の定答えは返ってこない。

 俺は少しだけ笑って、一歩踏み出した。その一歩で白木に掌底が届く距離へと近づいた。


「ハッ!!!」


 やはり、ドパンッッ!という炸裂音が響く。

 衝撃で浮く白木の体。後ろにはキラキラと何やら光の粉のようなものが散っていく。

 俺は白木を優しく抱き留めて地面へとぶつかるのを防ぐ。


「ふぅ……。やっと、かな?」


 そうつぶやいて、白木の顔を覗き込む。その顔は先ほどのような能面のような無表情ではなく、どこかほっとしたような顔があった。

 俺は安堵し、そして爺さんの方へと向き直る。


「よかった……。爺さん、白木は返してもらうぞ」


「ぐぬぬぬ……!!!一度ならず二度までも、人形を落すか!!このままでは儂の偉大なる望みがかなわんではないか!!!

 斯くなる上は、儂とて本気を出すしかあるまい!!!!」


「本気を出す?いまさら何言ってやがる。遅すぎるぜ?俺は白木を返してもらったからな、今回はここで引かせてもらう!

 じゃあな、また今度会おう。白木を散々な目に合わせた借りはそん時に返してもらうぞ!」


 俺は爺さんの戯言を無視して、回れ右。そのままメノスたちの居る方向へと走り出す。


 これで、やっと終わった。そう考えながら。


 だが、そうは問屋が卸させないようだ。

 突然、俺の目の前に影が差す。直後、俺の頭部に衝撃が走る。


「あがぁっ!」


 突然すぎて対応できずに横へと倒れてしまう。抱きかかえていた白木もそれに伴って手を離れてしまった。

 倒れ込んだままの白木にさっきまで後ろにいたはずの爺さんが近づいてくる。


「て、てめぇ……どうやって、一瞬で……!」


「ふん、儂は空間魔法の使い手じゃぞ?この程度の距離、一瞬で詰められるわい。

 言ったであろう、本気を出すと。貴様なんぞに転移魔法を使ってしまうのは、癪だがな!」


「さっきまでは手を抜いてたってことか。だけどな、転移魔法だか空間魔法だか知らねぇが白木を渡すわけには行かない。お前が立ってられなくなるまでぶん殴れば問題ないしな!」


 そう言って俺は立ち上がろうと力を入れる。

 だが、なぜか俺は立ち上がることができなかった。寧ろ全身の力が抜けていくような感覚に陥ってしまった。


「な、なんで立てねぇんだ!?」


「なんじゃ、粋がってはいたがもう貴様の体は限界のようじゃぞ?」


 爺さんにそう言われて、俺は自分の手を見てみる。

 すると、そこにあったのは、青黒かった肌がだんだんと薄くなっていき、元の健康的な肌色に戻っていく自分の手だった。


「まさか、時間切れか!?くっそぉ、こんな時に……!!」


「フハハハハ!!!やはり天は儂に味方をするようじゃな!この隙に、儂は退散させてもらうかのぅ。もちろん、この人形も持ち帰らせてもらうぞ?」


 爺さんは杖を持っていない方の手で白木を掴み、そして杖を掲げた。

 杖からは光がこぼれだし、段々と強くなっていく。


「では、さらばじゃ異世界人。次は必ず、お前を殺してやる」


 最後にそう宣言し、爺さんは杖を地面に打ち付けた。

 杖からこぼれていた光が一瞬で光量を増し、俺の目をつぶす。


「ぐぅぅぁぁぁ!!!てめぇ、待ちやがれ!!!」


 俺は目が見えないなかでも手を伸ばすが、その手が何かを掴むことはなかった。

 光が消え、視力が戻った眼で辺りを見渡しても、そこには爺さんも白木もいなかった。



「くそ!くそぉ!!!!」


 俺は自分の力が白木を助けるには及んでいなかったことを理解し、苛立ちをそのまま地面にぶつける様に拳を打ち付ける。


 そして、そのまま俺の意識は遠退いていく。悔しさに涙しながら、俺はただ助けたかった彼女の名前をつぶやくことしか、できなかった。

如何でしたか?

今回の一連の話はリメイク前とは結構違う進み方をしたんですけど、どうでしょうか?

自分はリメイク前も後も書きたいことが書けたので満足はしているつもりです。


次回からは第二章となりますので、皆様ご期待ください!

では、今日はこの辺で!ノシ


あ、別作品の方も読んでください!よろしくです!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
別作品もよろしくお願いします!
レオ・ザ・プライド
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ