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短編

異世界に行きたいのに、全くその気配がない

作者: oga

俺の名前はひろき。

俺は今年、とうとう30歳になってしまった。

まだ実家住まいで、仕事を探そうにも、今更何をしたらいいのか……といった具合だ。


昼頃に起きてきて、冷蔵庫をあさってみた。

「野菜しかねえし、あのおばさん、ちゃんと食えるもん入れとけよなぁ、冷凍でもいいんだからさぁ」

俺は腕に遠心力をきかせ、冷蔵庫を閉じた。

ブオン、と風が巻き起こった。

俺は部屋に戻って、財布をもって、コンビニに行くことにした。

ほんとはハローワークに行く予定だったが、仕方ない。

今日は中止だ。


パジャマ姿、髪がボサボサの状態でコンビニに行くと、少年○ンプの発売日だということに気が付いた。

「あ、今日○ンプだっけ、これはみなきゃですね!」

となんか独り言言いながら、「あ、ちょ、いいっすか」とサラリーマンの間に割って入った。

ヘヘヘ、と一人ニヤけながらページをめくる。

「あれっ、ねえんだけど」

周りのサラリーマンを見渡すと、一人の男と目が合った。

その男はコクリ、とうなずく。

そう、○ンピースは休載だったのである。

「おださ~ん、頼みますよお」

と俺は一人つぶやき、100円のシュークリームとマウントレーニアのコーヒーを買った。

心の中で、

(まあいいや)

と早足に帰っていった。


「ひろちゃん、最近失踪事件が多いらしいわよ、あなた、小学生とかに興味持ってないでしょうね?」

うちのおばさんが飯を食いながら暴言を吐いてきた。

「ばばあ、お前俺がそんなのに興味あるわけねえだろ、ってかそれより冷凍買っとけっていいましたよね?」

「あなた、冷凍ばっか食べてると、脳みそが小さくなるらしいわよ?前テレビで言ってたわ」

「テレビはしゃべりませーん、しゃべるのはテレビの中の人でーす」

うまくやり返してやったぜ。


しかし、失踪事件がとうとう世間にまで知れ渡るようになってきたか。

俺は薄々感づいていた。

異世界転生の件だ。

これは、俺の推理からして、フィクションでもなんでもない。

そもそも、ほんとにフィクションだったらこんな異常なまでに流行らないだろう。

要するに、みな異世界転生し、そこから帰ってきて、実体験(・・・)をもとに、創作活動をしているに違いない、そう思っていたのだ。

でなければ、あんな面白く、リアルに書けるわけがないのだ。

そしてその時が来る。

そう俺は信じていた。


異世界へはどうやったらいけるのか。

大体事故に巻き込まれたり、寝てたら異世界にいた、なんてものが多い。

俺は異世界転生するために車に飛び込む勇気はない。

よって、後者に賭けることにした。

寝る!

……そして、夜眠れなくなるのであった。


終わり



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― 新着の感想 ―
[良い点] バタバタしており、やっと作品が読めました! とっても読みやすくて、すらすら読めました。 異世界転生ものってジャンル、最近詳しく知ったのですが、なるほど、実体験に基づくものだったのですね…
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