月下鬼狗
「クソッ!」
豪奢な白ローブが顔に焦りを浮かべ、指先で宙に紋様を描く。
『シャドウ・サーバント』。
この魔法を使い、白ローブが自分の影から黒ずくめのヒトガタを呼び出した。
腕が刃となっているモノ。
巨漢とも言える体躯のモノ。
背中に翼を生やし、空を飛ぶモノ。
その数、50余り。
対して、敵は角と犬耳の二人ぽっち。
豪奢な白ローブが、数的有利による勝利を確信し、また笑みを浮かべる。
しかし────────。
「「これっぽっちか?」」
「何ッ!?」
この数をものともしないかのように、二人が問い、豪奢な白ローブが面をくらった。
「い…行けッ!殺せッ!」
影達が、主の命を受け二人の異形に襲いかかる。
「オラァッ!」
ツキオが、正拳突きで正面のヒトガタを消し飛ばし、その余波で後ろにいたヒトガタ数体を吹き飛ばした。
「セェイヤッ!」
つづけて、右の上段回し蹴りをヒトガタの横顔に叩き込み、囲い込むように飛びかかるヒトガタを巻き込んでいく。
「シッ!」
マックスは、ヒトガタの間を神速の脚捌きですり抜け、敵を切り刻んでいく。
「フッ!」
上空に躍り出たマックスは、鉄針を数十本単位で投げつける。
鉄針は、ヒトガタや普通の白ローブ達に突き刺さっていく。
「ハァアッッ!!」
そして、地上へめがけて電撃を雨あられと降らせた。
電撃は刺さった鉄針に電導していき、犠牲者は黒こげに焼き燃やされ、灰となっていく。
「ひっ…ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」
豪奢な白ローブが恐怖の余り、逃げ出していく。
「どこへ行くんだぁ…?」
が、マックスが目の前に立ちふさがり冷たい目を向ける。
ファイナル白ローブが周囲を見ると、ツキオが最後のヒトガタの頭を握り潰すのが目に入った。
「お…オレを殺せば、あのガキの居場所は分から───────」
言葉の途中でファイナル白ローブの眉間に鉄針が突き刺さる。
しかし、不思議な事に痛みは一つとして無く─────。
「あ…がぺ…」
「諜報部を舐めるな」
そういって、マックスはファイナル白ローブの左目に鉄針を突き刺す。
そして、右腕、左足、腹、肩口、と全身に鉄針を突き刺していく。
「屍を晒せ」
マックスが指を一本上に立て、天に向かって紫電を走らせる。
雷は、雲の中に消え、その雲は、轟音と明滅を繰り返す。
「か…ひへ──────────」
白ローブの視界が、光に包まれ、後には炭クズが残った。
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「全く、しょうがない人ですね…」
呟くミスミの脇には、マックスの探していた少年が抱えられていた。
TSホモ、有能。




