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異世界拳風伝/STORMBRINGER  作者: 岬式人
女王陛下の猿飛佐助
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月夜を駆ける

 煌々と光る満月の下。

 夜もふけた森の中を疾走するマックス。

 木々の間をすり抜け、枝から枝へと飛び移っていく。

 しばらくして、開けた場所へ出たマックスを待っていたのは杖を持った5人の白ローブだった。


 「貴様等か…!」

 「ほう、誰かと思えば雷鳴公のお出ましか、性奴隷を取り戻しにきたのか?」

 「アイツを返してもらおうか…!」

 マックスは全身に怒りを漲らせ、クナイを構える

 その怒りに呼応するように、マックスの周りを紫電がほとばしった。


 「フン」

 その様子を見て、白ローブの中で一際豪奢な白ローブが鼻を鳴らして嘲笑する。

 「馬鹿め!此方が何も対策をしていないと思ったかッ!」


 豪奢な白ローブが右手を上げる。

 すると、周囲に妖しげな霧が立ちこめた。

 瞬間、マックスがガクリ、と膝をつく。

 「これ、は…ッ!」

 「雷鳴公、お前の使う雷は魔力由来のものだ…ならば!それを封じてしまえば何の事も無いッ!お前は赤子同然よッ!」


 『ディスペル・ミスト』。

 この豪奢な白ローブが使用した媒介魔法の一つで、使用者が指定した者以外の魔力を奪う霧を発生させるという魔法である。


 黒雷犬ブラックドッグの雷は体内にある魔力を変換して発生させるモノで、それと同時に肉体の強化もその体内魔力で行っている。


 しかし、体内魔力自体は人間も持っているモノである。

 だが同然、その魔力がなくなるという事が何を意味するかという疑問が浮かぶだろう。


 答えは『ジ・エンド』である。


 立ち上がろうとしたマックスを普通の白ローブの一人が殴り倒す。

 「ぐ…あ…!」

 「ククヒヒヒヒヒヒ!!苦しいかッ!だが、お前に計画を邪魔された恨みは大きいぞ!」


 豪奢な白ローブがその姿に似合わぬゲスな笑いを上げた。

 豪奢な白ローブはマックスの身体を宙に吊り上げ、他の白ローブが火球や風の刃を打ち込む。


 「ぐ…うう…」

 褐色の美しい肌に無残な火傷と切り傷が刻まれ、マックスはうめきを上げる。


 「無様だなァ…!…やれ」

 白ローブの一人が杖を構え、魔力を火球へと変える。

 それに合わせ、豪奢な白ローブがそのローブの下で笑みを濃くする。


 (ここまでか…結局、俺の継いだモノは、何も見つからなかったな…)

 巨大火球が放たれ、マックスに迫る。

 (すまない…日本人…)

 

 



 「オラァッ!」

 突如、横合いから拳が伸び、火球を“砕いた”。

 「なッ!」

 「何諦めてる英国野郎…ッ!」


 マックスの目の前に立つのは、角を生やし、白い髪をした『夜叉』。

 鬼人・武原月雄だった。

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